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いつも自滅する保守派

Scott Sumner, “Conservatives are their own worst enemy“, The Money Illusion, September 14, 2013.


リベラル派(社会主義者)はただソファにゆったり腰掛けて保守派(およびヨーロッパリベラル)の自滅を待っていればいいだけだ。

1920年代に保守派は非常にダイナミックな税の低い自由市場レジームを生み出したが、「健全な貨幣(sound money)」という考えに囚われていたため、金価格の急激な上昇に通貨の切り下げで対応せず、デフレ恐慌(deflationary depression)を引き起こしてしまった1。その結果、国家統制主義者が実権を握り、資本主義を攻撃した。

1990年代にはアルゼンチンの新自由主義者が自由市場への政治改革を行い急成長を遂げた。しばらくはチリが辿ったあとを追いかけるように見えたが、「健全な貨幣」に囚われたため、90年代終わりごろのドルの急上昇に対して通貨の切り下げを拒否したため、ここでもデフレ恐慌に見舞われた。結果、将来を約束された政府が「新自由主義」を攻撃する国家統制主義者に取って代わられることとなったのである。

社会主義者にとって、私のブログにいつもコメントを付ける「Geoff」のような実物貨幣教徒(hard money nuts)ほど心強い味方はいないだろう2

幸運なことにスウェーデンはアメリカやアルゼンチンよりも思慮深い国であったため、そこまで酷い事にはならなかった。けれども多くの良い政策を行った中道右派政権は緊縮的な金融政策に固執したためにその道を譲ることになりそうである。2008年から9年にかけて急激に通貨安に導き、他のヨーロッパ諸国よりも早く経済が回復するという幸先の良いスタートを切ったものの、インフレ率も失業率も彼らの法的責任に及ぶはるか手前で緊縮を始めてしまった(どこかで聞いたような・・・)。漠然とした「バブル」への恐れ(どこかで聞いたような・・・)。Marcus Nunesがスウェーデンについて書いた非常に良い記事のなかで、彼はLars Svenssonがリクスバンク(スウェーデンの中央銀行)を辞めた理由をダイジェストで記している。また、エコノミスト誌が金融引き締め政策の政治的帰結についてまとめている。

次の選挙までわずか1年という状況で、ほとんどの世論調査で2006年にスタートしたReinfeldt氏の中道右派の4党連立与党は野党の後塵を拝している。Demoskopによる7月の世論調査では社会民主党、緑の党、左翼党の支持率合計が50.4%に対して、連立政権は37.1%に過ぎない。連立与党のうち2つ、中央党とキリスト教民主党は議会が要件とする4%にも満たない。

一体どこでおかしくなってしまったのだろうか。ヨーロッパの他の国々と比べてスウェーデンは経済運営をうまくこなしてきた。しかし、失業は目の上のたんこぶである。失業は2006年の社会民主党の大きな敗因になったのだ。2006年には失業率はたったの6%だったのだが、Reinfeldt氏は所得税減税と福祉カットによって雇用を促進することを約束した。現在、失業率は8%を越えている。若年失業率はどの北欧国よりも高い。社会民主党の党首、Stefan Lofven氏はこれを勝機ととらえ、雇用を最重要課題としている。

2010年にReinfeldt氏が再選された時、経済は好調であった。この年、GDP成長率は6.6%であり、Anders Borg財務大臣はその舵取りをヨーロッパ中から持ち上げられた。今回、経済状況は助けにならないだろう。低い需要と強いクローネ(スウェーデンの通貨)は輸出に打撃を与えている。2012年の弱い景気回復の後、ほとんどのアナリストは今年の成長率を1%〜1.5%と予想している。

いつになったら我々は学ぶのだろう?

  1. sound moneyとは「実需」に基いて通貨価値が決定されるべき、という考え方。 []
  2. 訳注:hard money nutsとは貴金属などの物質そのものを貨幣価値の源泉として信奉する人たちのことで、sound moneyと同じ考え方。金融政策による通貨価値の統制を否定する。 []

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