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アレックス・タバロック「Uber運転手報酬の男女差」

[Alex Tabarrok, “The Uber Pay Gap,” Marginal Revolution, February 7, 2018]

Cody Cook, Rebecca Diamond, Jonathan Hall, John A. List, & Paul Oyer の論文では、100万人以上の Uber 運転手と何百万件もの走行にもとづくデータを使って、女性の Uber 運転手の方が男性運転手に比べて報酬が 7% 少ないことを明らかにしている。ただ、この論文の新しいところは、Uber の大量データのおかげで、報酬の落差が存在する理由について非常に詳しく理解できるようになっている点だ。差別ではないんだよ:

Uber は性別を見ないアルゴリズムを使用しており、運転手たちは走行の時間と距離にもとづく透明な定式によって稼いでいる。ほかの状況では男女の報酬差をもたらすのがわかっている要因である交渉による報酬率や長時間労働に対する凸型リターンは見られない。また、本稿では、運転手に対する乗客の平均評価やキャンセル率が男女でおおよそ等しいことも明らかにする。Uber アプリや乗客による明白な差別によって男女の報酬落差が生じていることを示す証拠は見られない

著者たちによると、男女差を説明する要因は3つある:運転速度、経験、どこを走るかの選択、この3つだそうだ。

第一に、運転速度だけで、報酬の男女差の半分ちかくが説明できる。第二に、落差の3分の1以上が経験に対する見返りで説明できる。この要因は、報酬・労働供給・産出に関する高頻度なデータがない他の文脈ではほぼ評価不可能だ。残る約20%の報酬男女差はどこを走るかの選択によって説明できる。

およそ男性がそうであるように,Uber 運転手の男性たちも女性に比べて運転速度が速い.経験や場所で調整したあとで,およそ 2.2% 速い.Uber は距離と時間によって報酬を支払っているので、速度への見返りはそれほど高くないし、速度のちがいは小さい。それでも、総合するとこれで1時間あたり約50セントほど男性の報酬が高くなる結果となっている。

運転手たちは実際に物事をやりながら学習している。何年にもわたって、女性よりも男性の方が Uber の運転手を続けている:

このプラットフォーム〔Uber〕でこれまでに2,500回以上の賃走経験がある運転手は、100回未満しか経験のない運転手に比べて 14% 多く稼ぐ。ひとつには、いつ・どこを走ればいいかや、戦略的に配車をキャンセルしたり受け入れたりする方法を学習するからだ。男性運転手たちは、毎週の運転時間が女性より長く Uber で車を走らせるのを女性よりやめにくい。そうすることで、男性運転手たちは経験を蓄積しやすいのだ。

全体として、男女の Uber 運転手たちは非常に似た行動をとっている。それでも、大きなサンプルで小さなちがいが積み重なることで、小さいながら系統的な約 7% という賃金男女差が生じている。とはいえ、この差は統計的な人工物、社会的な構築物であって、「社会的公正」への含意はない。運転手たちは平等に扱われている。

著者たちの結論:

全体として、我々がえた結果からは、性別の見えない取引に関わる柔軟な大経済の環境においてすら、性別にもとづく選好(とくに対価を得て働くのでない時間の価値や、運転手の場合は運転速度の好み)によって、性別による報酬の落差が開きうる。弁護士や MBA の専門職市場で報酬のちがいに寄与しているのと同じ選好のちがいも、Uber で運転する人々の報酬落差につながっている。このことから、伝統的な職場だろうと片手間仕事の職場だろうと、技能分布の全体にこうしたちがいが広く行き渡っているのではないかと思われる。


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