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アレックス・タバロック 「賄賂の撲滅に向けて賄賂を合法化しよう」

●Alex Tabarrok, “To Reduce Bribery, Make it Legal”(Marginal Revolution, March 31, 2011)


そう語る(pdf)のはインド政府の首席経済顧問を務めている1 経済学者のカウシク・バス(Kaushik Basu)だ。もっと正確に言うと、賄賂のやり取りを減らすために(賄賂の受け取り(収賄)に関してはこれまで通り収賄罪が適用される一方で)賄賂の提供(贈賄)を合法化すべきだ(刑罰の対象外とすべきだ)と彼は語る(バスの提案についてはウォール・ストリート・ジャーナル紙でも紹介されている)。以下に彼の論文(“Why, for a Class of Bribes, the Act of Giving a Bribe should be Treated as Legal(pdf)”)の中から内容の一部を引用することにしよう。

贈賄も収賄もどちらも罪に問われる現行の法律の下では、・・・賄賂の提供者と受領者は共犯の関係に置かれることになる。捜査機関によって贈収賄の事実が発見された場合にはどちらもともに罰せられる可能性があるため、贈収賄の事実を包み隠して捜査機関の目から逃れることは双方の利益にかなうことになる。一方で、この論文で提案されているようなかたちで法律に修正が加えられるや状況は一変し、賄賂を介した「取引」が終了した暁には双方の利害は大きく食い違うことになるだろう。というのも、仮に贈収賄の事実が捜査機関によって発見されたとしても賄賂を提供した側は何の罪にも問われないばかりか賄賂として受け渡した金銭の一部が手元に戻ってくる可能性がある2一方で、賄賂を受け取った側は(贈収賄の事実が捜査機関に見つかり、裁判で有罪が確定すると)折角手に入れた戦利品(賄賂)が没収されるばかりではなく重い罰(収賄罪)が科せられる羽目になるからだ。

それゆえ、一度「取引」が終了するや賄賂の提供者は贈収賄の事実が捜査機関の手によって暴かれることを望むことになるだろう3。・・・賄賂を受け取る側もそのことは百も承知しているため、そもそも賄賂を受け取ろうとはしないことだろう。こうして賄賂のやり取りは大きく減少することになると予想されるのだ。

ただし、バスはすべての贈賄を刑罰の対象外とすべきだと論じているわけではない。賄賂の支払いと引き換えに手に入れられたものが何の違法性もないケース4――例えば、政府からビジネス活動を行う許可を得たり、所得税の還付金を受け取るために嫌々ながら賄賂を支払うといったケース――に限って贈賄を刑罰の対象外とすべきだというのが彼の提案である。

この話題に気付くきっかけをくれたSanjivに感謝する。

  1. 訳注;現在は世界銀行(World Bank)の上級副総裁兼チーフエコノミストの地位にある  []
  2. 訳注;バスの論文では、贈賄を刑罰の対象外とするだけではなく、(仮に贈収賄の事実が発覚し裁判で有罪が確定した暁には)賄賂として支払われた金品を(裁判を通じてその金額が判明した範囲で)贈賄者に対して返却するよう提案されている。 []
  3. 訳注;贈賄者自ら贈賄の事実を捜査機関に告発するというケースも出てくることだろう []
  4. 訳注;バスは論文の中でそのようにして支払われる賄賂を「嫌がらせ賄賂」(harassment bribes)と呼んでいる  []

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