経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

アレックス・タバロック 「資産価格と金利の関係」

●Alex Tabarrok, “Asset Prices and Interest Rates”(Marginal Revolution, August 28, 2013)


ここのところ、Fedの政策や(Fedによる)資産買い入れペースの抑制(tapering)、資産価格の「バブル」といった話題をめぐって議論が盛んだが、そのような議論に際して是非とも心に留めておきたいポイントがある。それは、金利の水準が低い状況では、合理的な手続きに従って算出される資産価格であっても大きく変動する可能性があるということだ。資産価格の決定に関する最もシンプルなモデルであるゴードンモデル(Gordon model)に沿ってこのことを考えてみることにしよう。ここにこの先永久に毎期100ドルの配当が支払われると予測されている株式があるとしよう。ゴードンモデルによると、この株式の価格は(100ドル/r)ということになる(rは金利)。例えば、r=0.1(金利が10%)の時、株価は1000ドル(100/0.1)となる。今後永久に毎期100ドルの配当が支払われると予測されているにもかかわらず株式の価格が(無限大とならずに;訳者挿入)1000ドルとなるのは、将来の配当が大きく割り引かれることになるためである。ここで金利が10%から9%に(1%ポイントだけ)低下すると、株価は1111.11ドル(100/0.09)へと上昇することになる。金利の低下に伴って株価が上昇する理由は、金利が低下することで将来の配当が割り引かれる程度が小さくなり、それゆえ将来の配当の重みが増すことになるからである。しかしながら、将来の配当の重みが増すとはいっても、かなり先の将来の配当は依然としてほぼゼロに近い値にまで割り引かれることになるため、株価の上昇には限りがある1  ことになる。金利が2%の場合には将来の配当が割り引かれる程度は一層小さくなるため、株価は5000ドル(100/0.02)と一層高い水準となる。さて、ここで何にも増して重要なポイントである。つい先ほど金利が10%から9%へと1%ポイントだけ低下する例を取り上げたばかりだが、金利が2%から1%へと同じく1%ポイントだけ低下すると株価はどうなるだろうか? 株価は2倍の10,000ドル(100/0.01)となるのである。つまりは、金利の水準が低い状況では、金利の変化に伴って資産価格が極めて大きく変動することが予測されるわけである。このことは資産価格と金利との関係をまとめた以下の図からも読み取ることができるだろう。

APricesIRates

金利の水準が低くなるほど、所与の大きさの金利の変化に伴って生じる資産価格の変動は一層大きくなる

 

確かにゴードンモデルはシンプルだが、将来の配当が一定の値(ここでは永久に100ドル)をとると想定する代わりに、将来の配当の成長率が変化する可能性を考慮に入れるとここでの結論はさらに強化される傾向にある。例えば、金利の水準が低い状況では、配当の成長率にごくわずかの変化が生じるだけでも(金利がわずかに変化する場合と同様に)資産価格が大きく変動することになる(doc)のである。

このエントリーから得られる教訓は次のようになるだろう。量的緩和を通じて資産価格を大きく変動(上昇)させるためには、資産価格にバブルを発生させる必要はない。そのためには(資産価格の大きな変動をもたらすためには)金利を低下させさえすればよいのである。

  1. 訳注;株価が無限大とはならずに、有限の値をとる []

コメントを残す