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ジャネット・イエレン「困難な10年間と今後の課題」

Jenet L. Yellen ”A Challenging Decade and a Question for the FutureAt the 2017 Herbert Stein Memorial Lecture, National Economists Club, Washington, D.C.,October 20, 2017


ナショナル・エコノミスト・クラブでお話しさせて頂くのを大変うれしく思います。また,慎重な分析,研ぎ澄まされたプラグマティズム,冴えた機転を特徴とするハーバート・スタインの公職や学業における功績は,私たち経済学者の中でも最高の事例であり,彼の名を冠した場にいられることを光栄に思います。ハーバートは,政府の政策に対する新たなアイデアやアプローチの着想に積極的でしたが,彼のそうした開明性は本日の私の講演の主題に沿うものです。というのも,本日は金融危機と大不況の勃発以降に連邦準備制度(Fed)が用いた非伝統的な金融政策ツールとそれらツールが将来の経済的課題において果たす可能性のある役割についてお話ししようと思います。

10年近く前,アメリカは大不況以来最悪の経済金融危機のぬかるみに陥り,連邦公開市場委員会(FOMC)は雇用最大化と価格の安定という議会より課せられた目標を追求するにあたり,ある大きな課題に直面することとなりました。すなわち,私たちの主要な伝統的ツールであるフェデラルファンド・レートが実質的にゼロにまで下がっている中,弱体化するアメリカ経済をどのように支えるかというものです。そして,この課題への対処によって2つ目の課題が沸き起こりました。それは,金融緩和策が必要なくなった場合に,それを秩序ある形で縮小できるということをどのように保証するかということでした。いずれの課題も,それに失敗していれば雇用最大化と価格の安定を促進するための私たちの能力を毀損し,数百万もの国民の生活に深刻な影響をもたらしたでしょう。

本日は,私たちが1つ目の課題を解決したということと,2つ目の課題の解決にも良い進展が得られているということをお伝えしたいと思います。部分的には危機後に行われた金融緩和,特に強化された金利のフォーワード・ガイダンスと大規模資産買い入れのおかげで,アメリカ経済は大きく発展してきています。実際,雇用の最大化が現在ほぼ満たされ,この先数年にわたってインフレ率はFOMCによる2%目標に向けて上昇するものと見られているため,FOMCは大不況への対応として行われた金融緩和の規模を縮小してきています。超過準備に利払いを行うという私たちの権限もあり,金融緩和を縮小するプロセスはうまくいっています。

Fedのバランスシートのサイズの縮小を始めるという先般の決定に関連するいくつかの論点について議論した後には,次の重要な問いについて述べたいと思います。すなわち,私たちが大不況に対処するために用いた非伝統的な政策ツールの将来における適切な役割は何かという問題です。短期金利に影響を与えることが引き続き金融政策の第一の梃子であるべきと私は考えていますが,将来的に経済の下落が短期金利を事実上の下限へと再び導いた場合には,非伝統的な政策ツールが再度必要となる可能性が高いでしょう。実際,実証研究によれば,中立的なフェデラルファンド・レート,これは経済が潜在的水準に近いところにある場合に拡張的でも緊縮的でもないフェデラルファンド・レートの水準と定義されますが,この水準が過去数十年よりもずっと低くなっていることが示唆されています。その結果,ある時点において短期金利がその事実上の下限にまで引き下げられる必要にせまられる可能性は残念ながら高まっています。これは,大きな金融経済危機の発生がなくともです。

私たちの様々な政策ツールについては後程立ち戻ることといたしますが,まずはこの10年間における私たちの経験を振り返りたいと思います。これは先の問いに答えるための一助になると思います。

追加緩和供給における課題
Fedが大不況への対処に用いた非伝統的な金融政策ツールがなければ,アメリカ経済は今日よりもずっと落ち込んでいたことが多くの主要なエビデンスにより示唆されています。重要な二つのツールとして,大規模資産買入れと短期金利の将来経路に対する我々の意図についてのフォーワード・ガイダンスが挙げられます。これらのツールの理論的根拠は非常に単純なものでした。すなわち,2008年後半に短期金利がゼロ近傍に達し,事実上引き下げができなくなったことにため,FOMCは明示的な金利のフォーワード・ガイダンスと資産買入れを多く用い,未だゼロよりも十分上にあった長期金利に下向きの圧力を加えたというものです。

長期金利は,部分的には短期金利の将来経路に対する金融市場参加者の期待を反映しています。したがって,こうした期待に影響するFOMCのコミュニケーション,つまりは大不況以降,会合後のステートメントにおいて強化された金利のフォーワード・ガイダンスを行ったことなどですが,これにより長期金利に影響を与えることができます1 。それに加え,長期金利には,長期証券に関する金利リスクを負う投資家が要求する補償であるところの期間プレミアムが含まれています。Fedが長期証券を公開市場で買い入れる際,人々が購入できる証券の残量が少なくなるため,これらの証券の価格は押し上げられて利回りが低下し,その利回りに埋め込まれている期間プレミアムも低下します2 。いくつかの研究では,私たちの金利のフォーワード・ガイダンスと資産買入れが相当程度長期金利を減少させたことが明らかになっています3

長期金利を引き下げるというFOMCの目標は,アメリカ経済をして景気後退から回復し,景気後退が引き起こしたディスインフレ圧力に抵抗することにつながりました。一部からは,経済の回復速度が遅いのは私たちの非伝統的政策ツールに効果がないことを証明していると示唆されました。しかし,私たちの非伝統的ツールがなければ回復ははるかに遅いものとなっていたかもしれないと認識すべきです。実際,金利のフォーワード・ガイダンスと証券購入は,何百万ものアメリカ一般家庭や企業の借入費用を大きく引き下げ,また全体的な金融状況をより緩和的なものにすることで,消費や企業支出を促し,失業率を下げ,ディスインフレ圧力を避けることに寄与したことがエビデンスにより強く示唆されています。4

他国の中央銀行も金融危機以降に非伝統的政策ツールを用いています5 。これらの国の経験によって蓄積されたエビデンスは,短期金利がゼロ近傍,いくつかの国においてはゼロ以下にさえ下がった際にもこうした非伝統的ツールが経済活動を刺激することに寄与したことを支持しています6

金融緩和の縮小における課題
アメリカ経済は,2014年にはFOMCの目標である雇用最大化と価格の安定に向けて特筆すべき進展を見せていました。失業率,これは大不況のピーク時には10%でしたが,2014年の中頃にはそれを大きく下回る6%にまで下がっていましたし,そのほかの労働市場の状況の指標も顕著な改善を見せていました。さらに,個人消費支出の物価指数の変化として計測されるところのインフレ率は,2013年秋には1%そこらをうろうろしていたものが,2014年半ばには約1.75%に達しました。こうした進展を受け,Fedの焦点は追加的な金融緩和政策を供給することからその規模を縮小することに軸足を移しました7 。当時のFOMCとっての大きな課題は,膨大に膨らんだFedのバランスシートを踏まえたうえで,それをどの程度減らすかというものでした。

ひとつのありうべきアプローチは,短期金利が下限にある間にFedの保有証券を減らすというものでした。私たちは保有証券のバランスシートからの取り除きだけでなく,証券の売却まで行い,長期金利に上昇圧力を加えつつも雇用最大化と価格の安定という目標を確保できるよう保有証券削減のペースや配分を調整しました。しまいには保有証券が十分に縮小され,FOMCは短期金利目標の引き上げを行うことができるようになりました。

この「後入れ先出し」アプローチが抱えるひとつの問題は,FOMCにはその時点及び将来的な経済状況に合わせて資産の償還や売却のペースと構成を調節した経験が全くなかったことです。実際,2013年の市場の癇癪(taper tantrum)と呼ばれた通り,私たちの証券保有の将来的な変化を話すことすら予期せぬ急な金融状況の変化を引き起こしかねません。

金融政策緩和の規模を元に戻すための保有証券の削減についての経験不足や,金融緩和の縮小を慎重に調整する必要性を受け,FOMCはその通常化戦略においてFedの証券保有の変化は二次的なものとする選択を行いました。FOMCが金融政策緩和の規模を元に戻すにあたって主要なツールとしたのは,バランスシートの縮小ではなく短期金利へ影響を与えることでした。

2014年9月の「通常化の原則」において説明されているとおり,FOMCは短期金利を上げることになる時点まで,FEDの保有証券の全体としてのサイズを拡大したままの水準に維持するよう決定しました8 。フェデラルファンド・レートの水準の通常化が「十分に進展」し,短期金利のさらなる上昇が保証されたと見込めるほどに経済の拡大が強くなったとFOMCが判断するに至った段階で,FOMCは証券保有の「流出」という形でバランスシートのサイズを徐々にかつ予測可能な形で縮小することとたのです。この「流出」というのは,証券からの元金支払いすべてを再投資しないことで,受動的にバランスシートの縮小を許すというものです9

金融緩和の規模をもとに戻すにあたってFOMCが選択したこのアプローチのひとつの利点は,FOMCと人々の双方には,経済環境の変化に対応して短期金利の調節を行うことについて数十年の経験があったことです。しかしながら,危機後の環境は短期金利に影響を与えるFOMCの力に新たな試練を課すものでした。

危機以前,FOMCはフェデラルファンド・レート,すなわち超過準備を持つ銀行が準備金を必要とする銀行に貸出を行う際のレートを,銀行システムから少額の超過準備を取り除くことで引き上げることができました。そうすることによってフェデラルファンド・レートの上昇につながるのは,何よりもまず超過準備がそれまでよりも希少になるからです。これは直感的に考えれば単純な話です。つまり,FOMCは準備金市場の状況を引き締めるというシグナルを送ることで,市場における準備金取得の費用であるところのフェデラルファンド・レートが上昇するというものです。そのほかの市場の金利もこれに応じて上昇することになります。

危機後にはしかしながら,Fedの大規模資産買い入れは,Fedに対して証券を販売する銀行の口座に入金するという形で銀行システムへの準備金の追加することで行われましたので,準備金は豊富にありました。さらに,調達した長期債券を売却しないというFOMCの決定により,準備金は予測可能な将来にわたって豊富であり続けると見込まれました。したがって,金融緩和を縮小するときに至った際,FOMCにとっての大きな問題は準備金があり余っている環境においてどうやってフェデラルファンド・レートを引き上げるかというものでした10 。この問題に対する解答のひとつの重要な糸口となったのは,超過準備に利払いを行うというFedの権限でした。議会はFedに対してこの権限を2006年に付与しましたが,その発効は2011年以降とされていました。しかし,2008年秋,議会はこの発行期日を2008年10月に前倒ししたのです。

超過準備に対して利払いを行う権限を持つことは,銀行制度内における超過準備の量にかかわらずFedがフェデラルファンド・レートに影響を与えられることを意味します。この新たな枠組みの仕組みはごく単純です。すなわち,銀行は通常自行がFedから得られる利子とほぼ同じかそれ以上でしか短期貸出をおこないません。したがって,Fedが支払う利率を引き上げる場合,そのほかの短期貸出金利も同様に上昇することが見込まれます11 。短期金利引き上げのためのこの新たなアプローチはうまくいっています。というのは,2015年12月以降,私たちは超過準備に対する支払利率とフェデラルファンド・レートの目標範囲を100ベーシス・ポイント引き上げていますが,これにより実際のフェデラルファンド・レートも上昇しています12

バランスシート戦略について
証券保有の削減を今月から開始するという最近の決定を鑑み,私たちのバランスシート戦略に関して数点お話ししたいと思います13 。FOMCは,金利引き上げ開始からしばらくはFedの証券保有を拡大した規模のままに維持するという自身の決定により,資産購入プログラムの終了後も十分な期間にわたって長期金利に下向きの圧力を与え続けると予期していました。長期金利に対する私たちの証券保有の効果の推定は不確かではあるものの,最近の研究では2016年末時点でFedの証券保有が10年物財務省証券の期間プレミアムを約1%ポイント減少させているとされているます14

FOMCがとうとう徐々にかつ予測可能な形でFedの証券保有の削減を開始するというガイダンスは,金融市場参加者がバランスシートの通常化が近づいていると期待することにより,長期利回りに対する下向きの圧力が時とともに薄れることを意味していました。実際,現在進行中のこのプロセスにより,私たちの証券保有が10年物財務省証券の期間プレミアムを現在押し下げている効果は,昨年末に報告された1%ポイントという推定をいくぶん下回る程度である可能性が高いです。

いくつかの要素は,私たちの証券保有による期間プレミアムに対する下向きの圧力の薄まりは,証券保有の縮小に応じで段々とした形でしか進行しないことを示唆しています。例えば,すでに指摘した通り,バランスシートの縮小を資産の売却ではなく元金支払いによる再投資を削減する形で行うという私たちの意図は何年にもわたって伝達されています。したがって,バランスシートの縮小計画が始まったことによって期間プレミアムが急上昇するということは私たちは想定していません。さらに,私たちの証券保有における満期の分散により,流出による証券保有サイズの通常化には数年を要することになっています15

バランスシートのサイズを縮小することによる期間プレミアムに対する下向き圧力の減少は徐々にしか起こらないという判断は,私たちがバランスシートを拡大した際にはこの圧力はむしろ急激に上昇したことを示唆するエビデンスと非常に対照的です。この対照性を理解するのに覚えておくべきことは,バランスシートの縮小計画とは異なり,資産買入の発表はしばしば長期利回りに関してこれまでと異なる印象を与えることがあったため,資産買入の様々な局面においては程度の差はあれ驚きの要素があったということです。さらに,資産買入の各プログラムが比較的短期間において証券保有の急激な上昇をもたらしたのに対し,通常化プロセスは何年にもわたって徐々に行われる予定となっています。

ここまでは私たちのバランスシート縮小プランに対する期間プレミアムの反応の見通しについて焦点を当ててきました。ここで簡単に長期利回りの反応の見通しについて考えてみましょう。長期金利は先に述べたとおり,期間プレミアムと短期金利の将来経路に関する期待を反映していますが,これまで明らかになっているエビデンスは私たちの資産買入に対する長期利回りの急激な反応を示しているのに対し,バランスシート縮小計画に対してはこれらの利回りはずっと穏やかな反応をすると考えられます。

ここでちょっとFOMCが金融緩和の規模を元に戻すにあたってバランスシートの縮小を行わず,Fedの証券保有から得られるすべての元金支払いを無限に再投資し続けることを選択したという仮想シナリオを想像してみましょう。経済見通しに変更がなく,FOMCの側に金融政策の全体的なスタンスを変更する意図がないと金融市場参加者がみなした場合,バランスシートのサイズを変更しないというFOMCの選好は,FOMCが金融緩和の規模を元に戻すにあたって短期金利の引き上げにより大きく依存することを意味していると受け取られ,短期金利の上昇はより速いペースで起こることとなります。総合的に見れば,この仮想シナリオでは長期利回りにはほとんど影響がない可能性があります。すなわち,バランスシート縮小に力を入れないことによって期間プレミアムが押し下げられて長期利回りが引き下げられる一方で,短期金利の急速なペースでの上昇に対する期待は長期利回りを引き上げるからです16

将来における課題
金融危機と大不況が過去のものとなり,金融政策のスタンスが徐々に通常に戻るにあたり,金融危機の発生後に私たちが用いた非伝統的な政策ツールの将来におけるありうべき役割という問題が当然出てきます。私を含めFOMC委員は,フェデラルファンド・レートを目標とすることにり短期金利に影響を与えることが可能である際には,常にそれが私たちの第一のツールであるべきと考えています。先に述べた通り,私たちの法令上の目標を追求するにあたってこのツールを用いてきた長い歴史があるからです。それとは対照的に,私たちはそのように証券保有を用いることについては遥かに少ない経験しかありません。

このように考えた場合,非伝統的政策ツールをどう位置付ければ良いでしょうか。伝統的ツールがその限界に達した場合,すなわちフェデラルファンド・レートがその実質的下限に達しているのにアメリカ経済がさらなる金融緩和を必要としている場合に,再びこうした非伝統的政策ツールの使用を検討しなければならないと私は考えています。

これは非伝統的ツールが用いられるには再度の大不況が必要となることを意味するのでしょうか。必ずしもそうではありません。最近の研究は,中立的なフェデラルファンド・レートの水準は過去数十年よりもずっと低くなっていることが示唆されています17 。実際,FOMC参加者のほとんどは,現在長期における中立的なフェデラルファンド・レートの水準はわずか2.75%程度と見積もっていますが,これは数年前には4.25%程度とされていました18 。中立的なフェデラルファンド・レートが低くなったことにより,経済の落ち込みに際してFOMCが短期金利を引き下げる余地は基本的には小さくなっており,必要な金融緩和を行うのに強化されたフォーワード・ガイダンスと資産買入に頼らざるを得なくなる可能性は高くなっています19

もちろん,短期金利の中立的な水準に関するいかなる推定にも大きな不確実性がついてまわります。この点に関し,考慮すべき非対称性があります。中立的な金利が私たちが現在推測しているよりもずっと高かった場合,私たちが再度非伝統的ツールを用いる可能性は低くなります。それとは対照的に,中立的な金利がわ私たちの推測と同じくらいかそれ以上に低い場合,私たちは喜んで非伝統的ツールをツールボックスに収めることになるでしょう。

最低限言えるのは,私たちは非伝統的ツールを再び使う可能性があることを認識しなければならないということです。仮に私たちが本当に低い中立的な金利の世界に生きているのであれば,大不況よりもずっと深刻さの薄い経済的な落ち込みであっても短期金利をその実質的な下限へと戻してしまうかもしれません。

まとめ
本日のお話をおさらいすることで締めくくりとさせて頂きたいと思います。大不況の結果,Fedは過去数年において2つの大きな課題に直面しました。ひとつは,短期金利が実質的な下限に至ったのちにFOMCは追加的な金融緩和をしなければならなかったこと,ふたつ目はその後に私たちがその責務の達成に進展を見せたため,Fedのバランスシートが膨大に膨らんだ状況で金融緩和の規模を元に戻すことを始めなければならなかったことです。

本日はこうした課題におけるFOMCの経験について2つの点を強調しました。ひとつは,危機の直後にFedが用いた金融政策ツール,すなわち明示的なフォーワード・ガイダンス,大規模資産購入そして超過準備に対する利払いがこれらの課題を乗り越える助けとなったことです。

ふたつ目は,中立的な短期金利の水準が過去数十年よりもずっと低くなっていることがエビデンスから示唆されているため,将来における金融政策決定者が再びこの2つの課題に直面する可能性が残念ながら高くなっているということです。こうした理由から,私たちは短期金利がその実質的な下限へと戻ってしまった場合に非伝統的金融政策を再び使用できるようにしておく必要があるのです。


  1. 原注1;大不況の前,FOMCは時折金利のフォーワード・ガイダンスを行ったが,こうしたガイダンスは典型的には比較的短期に限定されたものだった。 []
  2. 原注2;期間プレミアムを押し下げることに加え,Fedによる大規模資産買入れは,低い短期金利がこれまで予想されていたよりも長く続く可能性が高いというシグナルとして人々に受け止められた場合,長期利回りを引き下げることができる。 []
  3. 原注3; Eric T. Swanson and John C. Williams (2014), “Measuring the Effect of the Zero Lower Bound on Medium- and Longer-Term Interest Rates,” American Economic Review, vol. 104 (October), pp. 3154-85; Joseph Gagnon, Matthew Raskin, Julie Remache, and Brian Sack (2011), “The Financial Market Effects of the Federal Reserve’s Large-Scale Asset Purchases (PDF),” International Journal of Central Banking, vol. 7 (March), pp. 3-43; and Stefania D’Amico, William English, David Lopez-Salido, and Edward Nelson (2012), “The Federal Reserve’s Large-Scale Asset Purchase Programmes: Rationale and Effects,” Economic Journal, vol. 122 (November), pp. F415-46等を参照。 []
  4. 原注4;Eric M. Engen, Thomas Laubach, and David Reifschneider (2015), “The Macroeconomic Effects of the Federal Reserve’s Unconventional Monetary Policies,” Finance and Economics Discussion Series 2015-005 (Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System, January)等を参照。 []
  5. 原注5;日本銀行は危機のかなり前から非伝統的ツールを用いてきました。 []
  6. 原注6;Andrew G. Haldane, Matt Roberts-Sklar, Tomasz Wieladek, and Chris Young (2016), “QE: The Story So Far (PDF),” Staff Working Paper No. 624 (London: Bank of England, October); and Luca Gambetti and Alberto Musso (2017), “The Macroeconomic Impact of the ECB’s Expanded Asset Purchase Programme (APP) (PDF),” ECB Working Paper 2075 (Frankfurt: European Central Bank, June)等を参照。 []
  7. 原注7;Janet L. Yellen (2017), “From Adding Accommodation to Scaling It Back,” speech delivered at the Executives’ Club of Chicago, Chicago, Ill., March 3を参照。 []
  8. 原注8;FOMCの政策の通常化の原則と計画はFRBサイト( https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/policy-normalization.htm)で公開されている。 []
  9. 原注9;FOMCは2015年12月,フェデラルファンド・レートの水準の通常化が「十分に進展」するまで自身の再投資政策を維持することを予定していると発表した。この発表はFRBサイト(https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/monetary20151216a1.pdf)で公開されている。さらに最近では,FOMCはFedの証券保有の削減アプローチに関する追加的な詳細を発表した。その中では,バランスシートの通常化計画が始まった場合,Fedがその保有証券から受け取る元金払いは,毎月の上限を超えた分だけ再投資に回されるとしている。この上限は徐々に引き上げられるが,通常化プロセスの最後まで維持される。この2017年6月発表,「政策の通常化の原則と計画に対する補足」はFOMOのサイト(https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/FOMC_PolicyNormalization.20170613.pdf)で公開されている。 []
  10. 原注10;危機前後における短期金利決定の実施枠組みについての議論については,Jane E. Ihrig, Ellen E. Meade, and Gretchen C. Weinbach (2015), “Rewriting Monetary Policy 101: What’s the Fed’s Preferred Post-Crisis Approach to Raising Interest Rates? (PDF)” Journal of Economic Perspectives, vol. 29 (Fall), pp. 177-98を参照。 []
  11. 原注11;Fedは準備金が豊富にある際の短期金利へ影響力を強化するために必要に応じて用いる追加的なツールを開発した。例えば,翌日物の現先取引は,マネーマーケットファンド,政府出資企業,ブローカー・ディーラー,預金受入機関を含む様々な主体に対し,FOMCが決定した率でFedを相手に翌日物の投資を行うことを可能とする。 []
  12. 原注12;FOMCのフェデラルファンド・レートに対する目標範囲の引き上げがどのようにしてそのほかの短期金利に伝達したかに関する議論については,Alyssa Anderson, Jane Ihrig, Mary-Frances Styczynski, and Gretchen C. Weinbach (2017), “How Have the Fed’s Three Rate Hikes Passed through to Selected Short-Term Interest Rates?” FEDS Notes (Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System, June 2)を参照。 []
  13. 原注13;バランスシート通常化計画実施の開始に関するFOMCの発表はFRBのサイトで公開されている。Board of Governors of the Federal Reserve System (2017), “Federal Reserve Issues FOMC Statement (PDF),” press release, September 20を参照。 []
  14. 原注14;Brian Bonis, Jane Ihrig, and Min Wei (2017), “Projected Evolution of the SOMA Portfolio and the 10-Year Treasury Term Premium Effect,” FEDS Notes (Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System, September 22)を参照 []
  15. 原注15;さらにFOMCが6月に発表したとおり,FOMCはFedの証券保有の流出に上限を設ける決定を行い,バランスシートの通常化プロセスは一層予測可能かつゆっくりとしたものになった。このFOMCの決定はFRBのサイトで公開されている。Board of Governors of the Federal Reserve System (2017), “FOMC Issues Addendum to the Policy Normalization Principles and Plans,” press release, June 14を参照。 []
  16. 対照的に,Fedが資産買入を行っていた際,短期金利は実質上の下限にあり,予測可能な将来にわたってそうあり続けると期待されていた。その結果,追加的な資産購入の決定,そしてそれによる期間プレミアムに対する追加的な下向きの圧力は,将来的な短期金利の上昇の期待によって相殺されることはなかった。したがって,現在の状況と比べ,金融危機後の数年間にわたっては資産買入には長期金利に目に見える効果を及ぼす可能性が大きかった。 []
  17. 原注17;James D. Hamilton, Ethan S. Harris, Jan Hatzius, and Kenneth D. West (2015), “The Equilibrium Real Funds Rate: Past, Present, and Future,” NBER Working Paper Series 21476 (Cambridge, Mass.: National Bureau of Economic Research, August), Olivier Blanchard (2016), “Three Remarks on the U.S. Treasury Yield Curve,” Peterson Institute for International Economics, RealTime Economic Issues Watch (blog), June 22, https://piie.com/blogs/realtime-economic-issues-watch/three-remarks-us-treasury-yield-curveのほか Kathryn Holston, Thomas Laubach, and John C. Williams (2016), “Measuring the Natural Rate of Interest: International Trends and Determinants (PDF),” Working Paper Series 2016-11 (San Francisco: Federal Reserve Bank of San Francisco, December)などを参照。 []
  18. 原注18;FOMC参加者による最新のフェデラルファンド・レートの見積は2017年9月のFOMC議事録の補遺で議論されており,FRBサイト(https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20171011a.htm)で公開されている2017年10月11日のプレスリリースに掲載されている。 []
  19. 原注19;Janet L. Yellen (2016), “The Federal Reserve’s Monetary Policy Toolkit: Past, Present, and Future,” speech delivered at “Designing Resilient Monetary Policy Frameworks for the Future,” a symposium sponsored by the Federal Reserve Bank of Kansas City, held in Jackson Hole, Wyo., August 26及びDavid Reifschneider (2016), “Gauging the Ability of the FOMC to Respond to Future Recessions (PDF),” Finance and Economics Discussion Series 2016-068 (Washington: Board of Governors of the Federal Reserve System, August)を参照。 []

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