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タイラー・コーエン「ジェンダー賃金格差に関するクローディア・ゴールディンの主張」

●Tyler Cowen, “Claudia Goldin on the gender pay gap”(Marginal Revolution, January 4, 2014)


クローディア・ゴールディンのフィラデルフィア論文1のpdfはこちら。その結論部分は以下の通り:

この小論の結論は、以下の通りです。所得のジェンダー・ギャップは今でも残っています。それはある時点まで年齢とともに大幅に拡大し、また、職業によって著しく異なります。このギャップは、以前に比べればかなり小さくなりました。その縮小は主に、女性が持つ生産的人的資本2が、男性と比べて相対的に増えたことによります。女性の教育も、男性と比べてあらゆる水準で向上し、女性が大学以降専攻する分野も、より大きな収入につながるキャリア志向的な分野に変わってきました。また女性の職業経験も、労働力参加率の増大に伴って増えています。ジェンダーによる賃金格差のうち、生産特性3の差による部分の多くは解消されました。

では、残った賃金格差の原因は何でしょうか? ごく単純な話ですが、格差が存在するのは、多くの職業では、同じ労働時間でも、特定の時間に提供された労働や、長時間連続して提供された労働の方が、高く評価されるからです。つまり多くの職業では、賃金は時間に対して非線形の関係を持っているのです。フレックスタイムは、特に企業や金融や法務の世界では高価です。

補償格差モデル4では、賃金格差を柔軟性のコストで説明しています。ここで開発された枠組みは、時間柔軟性のコストに高低の差のある理由や、賃金の労働時間に対する非線形性の根底にある原因を示しています。情報伝達の取引コストが十分に低い場合には、各労働者に適当な交代要員がいるかどうかも大いに関係します。O*Net5の職業特性に関する証拠は、時間需要を生み出し労働者間の交代度を減らすような職業特性が、ジェンダー・ギャップの大きさと相関していることを実証しました。

経営学修士や法学博士に関するデータは、卒業後の年数に伴ってジェンダー賃金格差が大幅に拡大することを示しており、ジェンダー賃金格差と、子供ができて時間の柔軟性が必要になることとの関係も明らかにしました。時間の減少は、賃金の非線形的な低下を意味します。高所得配偶者を持つ女性の潜在的な賃金の低さは、多くの場合労働力参加率の低下につながります。逆に薬剤師などの賃金は、労働時間に対して線形です。子供のいる女性薬剤師の多くは、退職することなくパートタイムで働いて、労働力であり続けます。

この論文は全体に興味深い。6

補遺: UCLAからの就職希望者であるメアリー・アン・ブロンソンは、大学専攻間のジェンダー・ギャップや関連する問題に関する、興味深い新論文(pdf)を書いている。また、UCLAのガブリエラ・ルビオによる、見合い結婚がなぜ減っているかに関する就職活動用論文7もある。今年のデューク大学では、博士課程に入学した学生は男性より女性の方が多い

  1. 訳注: 「her Philadelphia paper」の訳。クローディア・ゴールディンは、2014年1月4日にフィラデルフィアで行われたアメリカ経済学会の年次総会で会長として講演をしており、それがこの論文の元になっている。 []
  2. 訳注: 「productive human capital」の訳。 []
  3. 訳注: 「productive characteristics」の訳。 []
  4. 訳注: 「compensating differentials model」の訳。 []
  5. 訳注: 「Occupational Information Network」の略称。アメリカの労働に関する公的なデータベース。 []
  6. 訳注: 同じ論文に言及したマーク・トーマの記事はこちら。 []
  7. 訳注: 「job market paper」の訳。なんか、アメリカの高学歴学生は、就職活動用の論文持って就職活動するらしい。 []

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