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タイラー・コーエン「ランダム化対照実験(RCT)による貧困削減の新結果」

Tyler Cowen “The new RCT results on poverty reduction” (Marginal Revolution, May 15, 2015)

デクラン・バトラーが次のようにリポートしている

世界の最貧困層に2年間の援助パッケージ、すなわち現金、食料、保健サービス、スキルのトレーニングとアドバイス等を与えることによって、彼らの生活をこの援助が打ち切られてから少なくとも1年間は向上させることができる。これが6カ国における10,000世帯以上に対する実験結果だ。

同様の貧困介入策はバングラディッシュで既に実験が行われ成功に終わっていたが、この実験の研究者は、今回の実験はこのアプローチが他の文化圏においてもうまくいくことを示していると述べる。この研究の共著者、コネチカット州ニューヘヴンにあるイエール大学の経済学者ディーン・カーランは、「私たちは、貧困中の最貧困層のためのプログラムが、実際に彼らの貧困を有意義に減少させうるという真に信頼性のある証拠を得た」と今日Science紙に対して述べた。「実際のところ、これまで私たちはバングラディッシュ以外の政府に対して、このやり方が上手くいくという自信があると言うことは出来なかったんだ。1

カーランによれば、この実験の対象となった国の一つであるエチオピアは、約3百万人を対象にするようこの介入策を継続・拡大することを計画しており、パキスタンとインドも介入策の拡大を同様に検討しているという。

バナジーとデュフロもこの研究に携わっていて、その目標が人々を貧困から卒業させることであることから、これは時に「卒業モデル」と呼ばれている。ただし、以下のことにも注意しておこう:

この介入策は安くない。1世帯当たりの費用は最低1,455ドル(於インド)から最高5,962ドル(於パキスタン)に渡る。ただし、これは最低133%(於ガーナ)から最高433%(於インド)に渡る投資によるプラスの収益によって相殺される。研究者らは、トレーニング等、実験のうち比較的高価な構成要素を減らすことによって将来的に費用を削りたいとしている。

そしてこのモデルが多くの場所でうまくいく一方、南インドの田舎やホンジュラスにおいては失敗した。原因の一つは…鶏にまつわる問題だった2 。しかしこれは大きな大きなニュースだ。元々の研究へのリンクはここ

これを教えてくれたケルヴィン・ルイスとマイケル・ドーソンに感謝。

  1. 訳注:バングラディッシュでうまくいっていた実験が他国でもうまくいくことを確認したことにより、この方法が汎用性のあるものであることが確認できたことが今回の研究結果の肝という趣旨。 []
  2. 訳注:原論文によれば、実験で家計に与えた鶏が大量死したとのこと。 []

Comments

  1. optical_frog says:

    おつかれさまです.こまかいことを2つだけ:
    1) 記事タイトルの「対象」は「対照」の変換ミスですね.
    2) 本文1行目の “Declan Butler reports:” は削除もれでしょうか.

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