タイラー・コーエン 「おそロシア? ~バラク・オバマが巻き込まれたスパイ小説さながらの展開~」(2009年7月5日)/「お上に嘘をついたことがありますか?」(2006年4月6日)

●Tyler Cowen, “The value of personal experience”(Marginal Revolution, July 5, 2009)


バラク・オバマ絡みで初見のエピソードを目にするというのは、私にとって珍しいことだ。

バラク・オバマが(大統領になる前に)最後にロシアを訪れたのは2005年。オバマがまだ上院議員を務めていた時のことだが、旅の締め括りは苦々しいものだった。シベリア近くにある空港で、保安職員に引きとめられて3時間も足止めさせられたのである。空港の待合室に閉じ込められただけでなく、パスポートも没収。ジョン・ル・カレの小説さながらの展開が待ち受けていたのだ。

後になってロシア当局は、「あれは誤解(手違い)だった」と弁解したそうだ。

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●Tyler Cowen, “жесткий is Russian for “intense””(Marginal Revolution, April 6, 2006)


ロシアを旅する何百万もの観光客たちは、そう遠くないうちに、空港で嘘発見器と向き合わねばならなくなるかもしれない。ロシア国内の一部の空港で、セキュリティチェックの一環として、嘘発見器による検査の実施が検討されているのだ。ゆくゆくは、ロシア全土の空港に嘘発見器が導入される可能性もあるという。

嘘発見器の導入が検討されているのは、モスクワにあるドモジェドヴォ空港。早ければ、今年(2006年)の6月にも導入される見込み。テロリストや麻薬の密輸人を見抜くのが導入の目的だという。嘘発見器を前にして、四つの質問――そのうちの一つは、「これまでに公権力(お上)に嘘をついたことがありますか?」――に答えるという、冷や冷やものの試練が乗客には待ち受けている。

嘘発見器の前で答えねばならない質問は、全部で四つ。一つ目の質問は、氏名等の個人情報に関するもの。二つ目の質問は、ソビエトらしさ満載のぶっきらぼうな問いであり、怖気づかずにはいられない問い。「これまでに公権力(お上)に嘘をついたことがありますか?」 その後に続くのは、武器や麻薬の所持の有無を問う質問。

乗客は、X線検査装置で手荷物検査を終えた後に、靴を脱いだ状態で嘘発見器による検査に臨むことになる。四つの質問にきちんと答え終わらないと、脱いだ靴は返してもらえない。いずれの質問も、検査結果が出るまでには1分程度かかる。「検査で不合格となった(嘘をついているとの結果が出た)お客様は、特別警備員に伴われて小さな部屋に通されることになります。そこで、いささか張り詰めた雰囲気の中で、いくつかの質問に答えていただくことになります」。そう語るのは、ドモジェドヴォ空港でITディレクターを務めるウラジミール・コルニーロフ氏。

完全自動化されたその嘘発見器の名前は、”Truth Verifier”。古臭いスパイもののフィクションでお馴染みのポリグラフとは、似ても似つかない代物だ。乗客は受話器に話しかけるだけ。イスラエルに拠点を置く会社が開発した”Truth Verifier”には「多層音声解析(LVA)」技術が組み込まれており、乗客が記憶を正確に辿って答えているのか、それとも空想を働かせて答えている(嘘をついている)のかを見分けることができるという。

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