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タイラー・コーエン 「ビル・ジェームズのもう一つの顔」(2012年6月7日)/「ビル・ジェームズの次なる標的は殺人鬼」(2011年5月4日)

●Tyler Cowen, “Malcolm Gladwell on Bill James”(Marginal Revolution, June 7, 2012)


ビル・ジェームズ(Bill James)は僕らの世代の中でも一番重要な野球ライター(あるいは野球研究家)ですが、それだけにとどまりません。予想外も予想外でしょうが、彼は生きている人間の中でおそらく誰よりも多くの犯罪ドキュメント(実際にあった犯罪事件をテーマにしたノンフィクション本)を読破してるようなんです。彼が(2011年に)上梓した『Popular Crime』では過去200年間の犯罪史に残る(リジー・ボーデン事件からジョンベネ殺害事件までにわたる)重大犯罪の数々に念入りな検証のメスが入れられています。お見事でメチャメチャ面白くて時に意表を突かれる「彼らしい」観察があちこちに散りばめられています。でも、『Popular Crime』は大ベストセラーとまではいきませんでした。その理由(売れ行きが芳しくなかった理由)は私にはわかりません。・・・いや、わかるような気もします。『Popular Crime』は496ページもあるんです。

・・・とはマルコム・グラッドウェルの言だ(ビル・シモンズとの対話の中での発言)。ちなみに、グラッドウェルとシモンズの対話ではスポーツを題材としながら「才能の配分」や「才能の発掘」についてだけではなく、「テクノロジー」と「才能」、そして「名声」の三者の絡み合いが話題の中心となっている。

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●Tyler Cowen, “Bill James pursues serial killers”(Marginal Revolution, May 4, 2011)


そう、ビル・ジェームズというのはあのビル・ジェームズ――秀でたパターン認識能力の持ち主である野球博士のあのビル・ジェームズ――のことだ。こちらの記事でビル・ジェームズのもう一つの顔が紹介されているが、興味深い話が目白押しだ。ジェームズは次のような提案もしているようだ。

ビル・ジェームズは刑務所(「暴力支配」が蔓延る現状の刑務所)の改革案も示している。一つひとつの刑務所の規模を縮小して収容人数を最大でも24名に抑え、さらにはインセンティブを組み込むというのが彼の改革案だ。例えば、こんな感じだ。「レベル1」の刑務所に収監された受刑者は弁護士とも面会できるし聖書も持ち込める。ただし、24時間絶えず監視される。ところが、「レベル5」の刑務所に収監された受刑者は猫もコーヒーメーカーも持ち込める。「レベル10」の刑務所に収監された受刑者ともなるとお金を稼ぐのも許されるし(刑務所への)出入りも比較的自由にできる。ジェームズによると、大人数が押し込められた刑務所で蔓延りがちな「暴力支配」を突き崩し、受刑者が一つでも上のレベルの刑務所入りを目指すよう焚きつける1のが改革案の狙いだという。

当該記事の核心とも言える箇所も引用しておこう。

犯罪事件を扱った本を長年にわたって読み漁ってきて驚かされたことがあるという。犯罪捜査および裁判の過程であまりに多くの「弱い証拠」が真面目に受け取られる一方で、上質の証拠のあまりに多くが見過ごされているように(ジェームズには)思われたのだ。それに対してジェームズが提案する(犯罪の証拠に関する)評価方式では警察は犯罪の目撃談を6段階のレベルにランク分けして評価することになる。容疑者の身長や人種に関する目撃談はレベル1、顔をよく知る隣人が真昼間にガレージにある巨大冷凍庫の中から人体を運び出すのを目にしたという目撃談はレベル6、というようにだ。目撃談をはじめとした一つひとつの証拠はそのランクに応じて点数に換算され、先ほど取り上げた点数方式での裁判(証言や物証等々の点数の合計が100点を越えたら有罪と判定)に取り入れられることになる。

情報を寄せてくれたBrent Depperschmidtに感謝。

  1. 訳注;模範囚と評価されれば今よりも束縛の少ない(レベルが上の)刑務所への転所が認められる可能性があり、そのため受刑者としても模範囚として振る舞うよう動機付けられることになる、という意味。 []

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