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タイラー・コーエン 「今年度のノーベル経済学賞は誰の手に?」

●Tyler Cowen, “Who will win the economics Nobel Prize this year?”(Marginal Revolution, October 10, 2015)


今年度のノーベル経済学賞は一体誰の手に渡ることになるだろうか? ダイアン・コイル(Diane Coyle)が可能性のありそうな候補をカテゴリー別に数名挙げている。

環境経済学: パーサ・ダスグプタ(Partha Dasgupta)1、ウィリアム・ノードハウス(William Nordhaus)2

(追記)環境経済学の分野ならマーティン・ワイツマン(Martin Weitzman)3も是非とも加えるべきだ、との強い後押しの声がTwitterで上がっている。

経済成長: ポール・ローマー(Paul Romer)、ロバート・バロー(Robert Barro)4

経済格差(不平等): アンソニー・アトキンソン(Anthony Atkinson)5、アンガス・ディートン(Angus Deaton)6

イノベーション(をはじめその他幅広い範囲にわたる業績): ウィリアム・ボーモル(William Baumol)(おんとし93歳!)7

計量経済学: デビッド・ヘンドリー(David Hendry)8

いずれも良い読みだと思う。銀行業(バンキング)の理論の発展に貢献したダイアモンド(Douglas Diamond)とディビッグ(Philip Dybvig)や――おそらくまだ時期的に早すぎるかもしれないが――ランダム化対照実験(RCT)の導入を通じて開発経済学の分野に新しい風を吹き込んだバナジー(Abhijit Banerjee)、デュフロ(Esther Duflo)、マイケル・クレマー(Michael Kremer)も個人的には候補に加えたいところだ。仮に今挙げた候補にノーベル賞が授与されるようであれば、少なくとも(来年度のノーベル経済学賞が発表されるまでの)1年間は経済学の「科学」としての体面が保たれることになるだろう。おそらく今すぐにというわけにはいかないだろうが、ゆくゆくは貨幣経済学(金融論)の分野でバーナンキ(Ben Bernanke)やウッドフォード(Michael Woodford)、スヴェンソン(Lars Svensson)にノーベル賞が授与される日もやってくることだろう――バーナンキの回顧録(邦訳『危機と決断-前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録』)が出版されたのはほんの数日前のことであり、スヴェンソンがスウェーデン国立銀行(スウェーデンの中央銀行)での職を辞してからまだそれほど日が経っていない。そのことを考えると、彼らにノーベル賞を与えるのはまだ早いと言えるだろう――。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の(ノーベル経済学賞受賞者の)予想はこちらである。あなたの予想はどうだろうか? 過去を振り返ると私の予想は当たった試しがない。そのため今ここで具体的に誰かの名前を挙げるとその人の足を引っ張るだけに終わるだろう。ご存知だとは思うが、ノーベル経済学賞の受賞者が発表されるのはきたる月曜日(10月12日)である。

  1. 主要著作;『Human Well-Being and the Natural Environment』(邦訳『サステイナビリティの経済学-人間の福祉と自然環境』)、『Economics-Very Short Introductions』(邦訳『経済学 〈一冊でわかる〉シリーズ』) []
  2. 主要著作;『The Climate Casino: Risk, Uncertainty, and Economics for a Warming World』(邦訳『気候カジノ』) []
  3. 主要著作;『Climate Shock: The Economic Consequences of a Hotter Planet』、『Income, Wealth and the Maximum Principle』 []
  4. 主要著作;『Economic Growth』(邦訳『内生的経済成長論〈1〉〈2〉』)、『Getting It Right: Markets and Choices in a Free Society』(邦訳『経済学の正しい使用法-政府は経済に手を出すな』) []
  5. 主要著作;『Inequality: What Can Be Done?』(邦訳『21世紀の不平等』) []
  6. 主要著作;『The Great Escape: Health, Wealth, and the Origins of Inequality』(邦訳『大脱出-健康、お金、格差の起原』) []
  7. 主要著作;『The Free-Market Innovation Machine: Analyzing the Growth Miracle of Capitalism』(邦訳『自由市場とイノベーション』)、『Good Capitalism, Bad Capitalism, and the Economics of Growth and Prosperity』(邦訳『良い資本主義 悪い資本主義: 成長と繁栄の経済学』) []
  8. 主要著作;『Forecasting Economic Time Series』、『Econometric Modeling: A Likelihood Approach』 []

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