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タイラー・コーエン 「公営の工具図書館?」(2008年9月16日)/「公共図書館に『入学』して高校卒業資格を取得?」(2014年1月10日)

●Tyler Cowen, “Public libraries for tools?”(Marginal Revolution, September 16, 2008)


本ブログの読者であるNoahから次のようなメールを頂戴した。

貴殿のブログの大ファンです。ところで、疑問に思っていることがあります。公共図書館で貸し出されるのは本だとか音楽作品(レコードとかCDとか)だとかに限られていますが、それはなぜなんでしょうか? たまたま最初に貸し出されたのが本とかCDとかでそれが今日まで続いているだけという以外に何か特別な理由でもあるのでしょうか? 本は公益性を備えているから政府が補助金を出して買い揃えて無料(タダ)で貸し出すべきだという議論はその通りだと思います。でも、です。本と同じく公益性を備えていて貸し出し可能なモノって他にもあると思うんです。例えば、滅多に使う機会の無い工具とかです。機械に強い市民を育むというのは社会全体にとって利益になる一種の公共財ということにならないでしょうか? もしそうなら公営の「工具図書館」をはじめるのも正当化されるんじゃないでしょうか? 工具図書館の他にこんな図書館もあったらいいという貴殿なりのお考えはおありでしょうか?

何だか備蓄倉庫みたいだね。公営ということになったら(返却期限が過ぎても工具を返さない場合に科せられる)延滞料を徴収するのもたぶん途中で止めになりそうだね1。紛失時の罰金(借りた工具を紛失した場合に科せられる罰金)でさえもそのうち徴収されなくなるかもしれないね。ところで、マーク・ソーマが政府によるAIGの救済についてその是非を論じているようだ。

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●Tyler Cowen, “Can public libraries offer high school degrees? (hi future)”(Marginal Revolution, January 10, 2014)


ロサンゼルス公共図書館がさる木曜日に発表したところによると、オンライン教育サービスの提供を手掛ける民間の会社と協力して高校中退者を対象とした高校卒業資格取得プログラムを開始する予定とのこと。米国では初となる試みではないかとのことだ。

デジタル時代の到来に伴って公共図書館のあり方も変わりつつある。単なる本の集積所から必要な機能が完備した教育機関へ。今回の計画はその方向へと歩みを進める新たなる一歩だ。そう語るのはロサンゼルス公共図書館で館長を務めるジョン・スザボ(John Szabo)氏。

スザボ氏がロサンゼルス公共図書館の館長に就任したのは2012年のこと。公共図書館と地域社会との結びつきを改めて強めることを目標に掲げ、そのために数々の新たな取り組みを矢継ぎ早に導入。ロサンゼルス公共図書館では計850に及ぶオンラインでの生涯学習講座をはじめ、移民が米国市民権を取得する際に受ける必要のある筆記テストに合格できるよう支援する教育プログラムも提供されている。

初年度は150名の成人を受け入れる予定とのこと。高校卒業資格取得プログラムのために投入する予算は計15万ドルに上るという。現状でも数多くの公共図書館が高卒認定試験の一つとして通用しているGEDテストの受験生を支援するプログラムを提供したり、GEDテストの実施主体となっている。

しかしながら、公共図書館が成人に対して公認の高校卒業資格そのものを授与するというのは米国でも初の試みなのではないかとはスザボ館長の言。ロサンゼルス公共図書館が開設する高校卒業資格取得プログラムに参加する学生はオンライン講座を受講することになるが、補講を受けたり同級生と交流するために図書館に集う機会も設けられる予定になっているという。

全文はこちら。情報を寄せてくれたRobert Tagordaに感謝2

  1. 訳注;アメリカでは公共図書館でも本が返却期限を過ぎても返ってこない場合に延滞料を科すところがあるが、ここ最近は延滞料の徴収を止めるところもちらほら出てきているようだ。万が一本の返却が遅れた場合に延滞料を払わねばならなくなることを恐れて図書館の利用を控えるという動きが広がるのを防ぎたい(貧富の差を問わず誰もが気軽に自由に本を読める。そのような環境を維持したい)というのが主な理由のようだが、公営の工具図書館が仮にできたとしたら同様の理由で延滞料の徴収が途中で止めになるかもしれない。 []
  2. 訳注;2016年1月に計28名に上る初の卒業生を輩出したようだ。 []

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