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タイラー・コーエン 「本ってどのあたりまで読んでる? ちゃんと最後まで読んでる?」(2016年3月16日)/「最後まで読まれたベストセラー、途中で放棄されたベストセラー」(2014年7月5日)

●Tyler Cowen, “How much do readers read?”(Marginal Revolution, March 16, 2016)


Jellybooks社が調査対象として選んだ200冊近くに及ぶ本のうちで読者の過半数が読了した(最後まで読み終えた)例はどのくらいの数に上ったかというと半数(100冊)にも満たなかった。大半の読者はかなり早い段階で読むのをやめてしまう傾向にあるようだ。女性は50~100ページあたりで読むのをやめ、男性は30~50ページあたりで読むのをやめる。全般的にそのような傾向が見出されたという。Jellybooks社が調査対象として選んだ本のうちで読者の75%(4分の3)以上が読了した例というのは全体の5%(10冊)に過ぎず、6割(120冊)の本は読破率(読者のうちでその本を読了した人の割合)25~50%1という結果に終わったとのこと。とりわけビジネス書の読破率はびっくりするほど低かったという。

・・・とアレクサンドラ・アルター(Alexandra Alter)&カール・ラッセル(Karl Russell)の二人がニューヨーク・タイムズ紙に連名で記事を執筆している。ナイスなグラフ付きだ。ちなみに、調査対象となっているのは紙の本ではなくて電子書籍なのでその点はご注意を。

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●Tyler Cowen, “What is the summer’s most read and most unread bestseller?”(Marginal Revolution, July 5, 2014)


その本をKindleで読んだユーザーがどの箇所にマーカーを引いたか。そしてその中でも多数のユーザーがマーカーを引いた箇所はどこか。Amazonではその本の中でマーカーが引かれた数(ハイライト数)の多い順上位5箇所を「ポピュラーハイライト」としてまとめてその情報を公開しているが、「ポピュラーハイライト」の散らばり具合(本のどのあたりに散らばっているか)を調べることでその本が果たして最後まで読まれたかどうかを窺い知る手がかりを得ることができる。さて、それでは今年度(2014年度)の第一位に輝いた作品(2014年度のベストセラーの中で最後まで読まれた率が一番高い作品)は何かというと、ドナ・タート(Donna Tartt)の『The Goldfinch』(邦訳『ゴールドフィンチ』)。「ポピュラーハイライト(マーカーが引かれた数が多い順の上位5箇所)は終わりの20ページに集中している」とのことだが、このことは多くの読者が『ゴールドフィンチ』を最後まで読み通した可能性が高いことを仄めかしている(ちなみにだが、私もとりあえず最後まで読んだ。内容はさっさと忘れてしまっても構わないとは思うけれど)。「今年度(2014年度)のベストセラーの中で最後まで読まれた率が高い作品」のグランプリは『ゴールドフィンチ』に決まりというわけだ(今年のベストセラーすべてが調査対象となっているわけではないようなので言い切ることはできないが)。 翻ってダニエル・カーネマンの『Thinking, Fast and Slow』(邦訳『ファスト&スロー』)だとかスティーヴン・ホーキンズの『A Brief History of Time』(邦訳『ホーキング、宇宙を語る』)だとかは途中で放棄された率が高いようでランキングの下位に位置している。最下位(ある意味第一位?)は本ブログでもここ最近頻繁に話題に上がっている本だが、どの作品だかわかるだろうか? 全部で700ページあるあの本だが、「ポピュラーハイライトのうちで最後尾のページは何ページかというと26ページ」2とのことだ3

詳しくはジョーダン・エレンバーグ(Jordan Ellenberg)がウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿しているこちらの記事を参照されたい4

  1. 訳注;読破率25%というのは読者のうち4人に1人がその本を読み終えた(読破率50%というのは読者のうち2人に1人がその本を読み終えた)、という意味。 []
  2. 訳注;26ページまでの間でポピュラーハイライト(マーカーが引かれた数が多い順の上位5箇所)がすべて出揃う格好になっている、という意味。 []
  3. 訳注;答えはトマ・ピケティの『Capital in the Twenty-First Century』(邦訳『21世紀の資本』)。 []
  4. 訳注;同じ話題を紹介している記事として英文であればこちら、日本語であればこちらなんかもあわせて参照されるといいだろう。 []

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