タイラー・コーエン 「計画経済の誘惑」(2016年3月3日)

●Tyler Cowen, “Teaching economics to the sixth grade”(Marginal Revolution, March 3, 2016)


2008年に金融危機が勃発して以降、アメリカの公立小学校では授業で児童たちに経済学を教えるところがかなり増えてきているようだ。どんな具合か一例を紹介しておこう。

ヒギンス氏が教える(小学6年生の)クラスでは経済体制の比較に話題が移った。児童らはそれぞれバビロニア帝国の都市のいずれかの首長になりきって演習に臨むわけだが、はじめのうちはバビロニア帝国では計画経済(指令経済)が採用されていた。財の価格も住人の収入も中央政府によって直接決められていたわけだ。そんなバビロニア帝国もしばらくすると市場経済に移行して都市間での交易も行われるようになる。それに伴ってどの都市も昔に比べて(計画経済を採用していた頃よりも)豊かにはなったものの、豊かさを手にするために交易に汗を流すのも楽じゃない。児童らはそのような感想を持ったようだ。

「本音を言わせてもらうと、計画経済でやり繰りしていた頃の方が好きだわ」。そう語るのは(バビロニア帝国の都市の一つである)「エシュヌンナの女性首長」マイレッド・チェイス(11歳)。「権力って好きよ。これっていう明確な目標があるのっていいわよね」。そう語りながら肩をすくめて笑顔を浮かべるチェイス。「あれしろこれしろって誰かに指示されるのも時には悪くないものよね」。

引用元はこちらのウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事だ。

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