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ノア・スミス「削減すれば政府は効率的になるか?」

Noah Smiths “Does cutting government make it more efficient?“(Noahpinion, February 10, 2014)


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たくさんの人が次のように考えているように見える。A)政府はとても非効率的で、だからB)政府のサイズを小さくすればもっと効率的な社会にすることができる。でも実のところ、A)からB)は導かれない。そして実際、政府が一番非効率的だという事実は、政府の縮小がよろしくないということともなりうるんだ。

どうして政府は非効率的なんだろうか。インセンティブのせいだ。企業は一般的に、採用や投資の決定を限界費用あるいは限界便益計算に基づいて行う(ただ法人格がその妨げとなる場合もあるし、外部性がある場合にはこれは効率的ではないし、等々)。それに対して政府はそれとは別の類の費用便益計算に基づいて全体的に決定を行う。残念なことに僕らは政府の意思決定についてはよく分っていなくて、この政府の意思決定という分野にはいま集めているよりも遥かに多くの研究者の関心が注がれることが望まれている。

というわけで政府は限界的な費用・便益に基づく判断は行わないから、非効率的になりがちだ。でもそうしたせいで、政府に大ナタを振るって資金を干上がらせたり職員の首を切って部局を閉鎖するよう要求する場合、そうした解雇や閉鎖の決定は限界的な費用・便益には基づかない。仮に企業に縮小化を強制したならば、その企業はふつう一番生産性の低い労働者から解雇する。でも政府に縮小化を強制する場合、政府が一番生産性の高い労働者を解雇しつつ一番生産性の低い労働者を留めるということは、かなりありえることなんだ。

政府が非効率的であるということが、政府を縮小するということを非効率的にすることもあるんだよ!

もうちょっぴり具体的な例を考えてみよう。政府の部署には次の3つのタイプがあると考えてほしい。

A)寄生虫:この部署は自分たちを非常に強く保護されたほぼ不可触の存在とするように政治過程を操作する方法を心得ているが、彼らはほとんどただ社会からレントを搾取するだけで何ら価値を創造しない。彼らはマンサー・オルソン1 が言うところの既得権益にしがみついている。

B)役立たず:この部署は寄生虫のように政治的にうまく結びついているわけではないが、非効率的である。官僚や有権者はこの部署の仕事はやるべき価値のあるものだと考えているかもしれないが、実際にはそんな価値はない。

C)やり手:この部署は納税者が払う以上のものを生産する。犯罪を抑止し所有権を保護する裁判所であったり、必要な高速道路を建設するインフラ関連省庁だったり、企業が行わない基礎研究を行う研究開発施設やその他もろもろであったりする。そして彼らはそうしたことをお買い得なお値段でやってくれるものとする。

(きらきらに目を輝かせた無政府資本主義者や、しっかりと考え抜くことなしに反政府的な言辞をとめどなく吐き出すような人であれば、C)の種類なんか全く存在しないし、政府が行うあらゆる物事は政府がなければもっと効率的に行われるだろうと考えるかもしれない。でもそれは間違いだ。)

グローバー・ノーキスト2 的な人がやってきて政府を無差別に削減すると決定したとしよう。どのタイプの部局が仕分けられるだろうか。寄生虫じゃないことは確かだ。彼らは深く根付きすぎている。仕分けられるのは役立たずかやり手のどちらかだ。やり手よりも役立たずが遥かに多いのであれば問題なし。でも役立たずよりもやり手のほうが多い場合にこれは問題となる。そしてどの場合においても、政府の仕分けは最悪な寄生虫の割合を増やし、したがって彼らの政府内での相対的な権力も増大することになる。

実際、こうしたことが正にブッシュ政権期に起こったのだという主張がリベラルからなされることがある。イラク問題やハリケーン・カトリーナ、そしてその他の重要な問題におけるブッシュ政権のへまは、限定的な政府の効率性に対するこの政権の過剰な信仰に部分的には起因している可能性がある。多分どうやって政府のサイズを縮小するかを考えるよりも、僕らの努力の焦点を合わせるべきなのは効率的な政府部署と非効率的な政府部署の見分け方と、そして何よりも重要なけがらわしい寄生虫の摘出の仕方だ。

  1. 訳注;政治学者。既得権益にしがみつく集団によって資源再配分が阻害されることで成長が損なわれると論じた。 []
  2. 訳注;政府縮小を主張する有名ロビイスト []

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