フランシス・ウーリー「ミルクはびっくりするほど安くなった」(2017年4月21日)

Frances Woolley, “Milk is mind-bogglingly cheap” (Worthwhile Canadian Initiative, April 21, 2017)

カナディアンクックブックは1923年に初版が出版された。私が持っているものは1949年出版のものだ。

この料理本は家政学の全盛期に作られている。科学原理を家庭生活に応用しようという時代だった。レシピには、栄養素情報、より洗練されたエチケットのガイド、今日でいうところの『金融リテラシー』が入っていた。

Canadian Cook Book

20世紀の主婦に推奨された食費予算は以下のとおり。

  1. 食品の購入
    今日において、収入の中で最大の支出項目は食費である。支出の健全さという観点において、適切な分配がなされたときのみ、安全で満足のいく見返りが期待できる。以下の分配例はガイドとなるであろう。

カナディアンクックブックの予算で注目すべきことは、『収入の中で一番出費が多い項目は食費』という備考である。家賃でもなく、子育て費用でもなく、光熱費でもない。食費だ。相対的に言って、昔の食費は現在に比べてずっと高かった。

第2に、食費の20-25%はミルク、クリーム、バターに使われていたということだ!カナディアンクックブックは、たくさんミルクを飲むことを推奨している。一日に子どもひとりにつき1クオート(4カップ)、大人ひとりにつき半クオートだ。なので、大人ふたり子ども3人の家族だと、一日に4クオート(4リットル強)のミルクに食費が使われる。そして半ポンドのバター。現代の価格だと、一日に約8ドルのミルクとバターになる。

  1. ミルクを自由に使うように。子どもひとりに1クオート、大人ひとりに1/3から1/2クオートのミルクが経済的な支出です。
  2. 肉は控えめに。平均的な大人は一日一回の肉料理で十分であり、それが賢いやりかたです。安い肉の切り身を使うことを覚えること。高い肉の切り身より、安い肉の切り身の方が同量または時にはそれ以上の栄養価値があることがあります。
  3. 肉代用食品を使うように。ミルクは常に安価な肉の代用品になります。チーズとナッツは上手に使うことができるでしょう。あまり高くなければ、卵を。
  4. 果物と野菜をたくさん使うように。(生または缶詰の)トマトと(葉物野菜としての)キャベツは栄養食品であり、どの季節においても十分安いのでお買い得です。いつでも手に入るでしょう。
  5. 全粒パンおよびその他シリアル食品を自由に使うこと。これらは最も安価なエネルギー源です。ただし、野菜と果物を除いて考えましょう(パンはジャガイモの完全なる代用食品にはなりえません)。


「以下のとき、食品の購入に失敗したといえます」

  1. ケーキ、焼き菓子、ゼリー、ジャム、キャンディ、および値段の高い出来あえ食品に多く出費したとき
  2. 旬ではない食品を購入したとき
  3. 継続的に高値の肉の切り身を使ったとき

カナディアンクックブックが推奨している予算分配の範囲内で生活するには、6人家族の場合、一日にミルク、バター、クリームに約8ドルを使い、その他の食品は24-32ドルで収めなければならない。

さて、一日24ドルの食品とミルク、バターで家族5人を養い、栄養バランスのよく取れた食事を提供することは可能だ。例えば、朝食にお粥。昼食にレンズ豆のスープ。夕食に茹でキャベツとフライドエッグ、またはブロッコリーと豆腐のスパイシーピーナッツソース

しかし、20-25%の食費をミルクにあて、カナディアンクックブックの著者が想定したような食事を用意するのは、今日では不可能だ。

(レシピ例)

キャラメルシャルロットやオレンジシフォンパイは忘れてしまって。ラムチョップだけで5人家族の食費予算を使い果たせる。ならば、なぜカナディアンクックブックの著者たちはミルクに食費の20-25%を分配したのだろうか。当時のミルク価格が現在と比較してずっと高かったからという結論しか、私には導き出せない。

ちょうど今、ミルクの供給管理とコストについて大混乱が起きている。わかっている、ミルクはアメリカに比べてカナダでは価格が高く、収入が少ないひとが良質のチーズを手に入れるのは困難だ。

このエントリを書いたのは、私の主張と所見を述べるためだ。

主張:供給管理があってもミルクは歴史的に見れば比較的安い。カナダの主要都市の住宅費と賃料は法外に高い。

所見:食の安全と品質のために、私はお金を払う用意がある。安い食品は寿命を縮める。今の供給管理は食の質を保証していない。だが、食の質がすべてまたは一部不明なとき(例えば殺虫剤の使用、飼料の質、栄養成分表など)、競争市場が最適な結果を生み出す能力には限界が生じる。

更新:コメント欄の有り難い提案により、消費者物価指数のデータをここに載せることにする。果物と野菜の相対価格は乳製品に比べて過去70年の間に米国では約2倍になった。ここまで劇的ではないにしろ、カナダの傾向も似たようなものだと推測する。

グラフ:アメリカ消費物価指数(都市部消費者)果物・野菜と乳製品の相対価格率。1982-1984年を1とする。

グラフ:都市部消費者の消費者物価指数、果物・野菜vs乳製品およびそれに関連する食品。

Total
0
Shares

コメントを残す

Related Posts