アレックス・タバロック 「空港警備の国営化の帰結やいかに?」(2005年4月27日)

●Alex Tabarrok, “Airport Security”(Marginal Revolution, April 27, 2005)


拙著である『Changing the Guard』の中で、次のように書いた。

「政府の関与を増やす必要がある」。「9・11」(同時多発テロ)事件の直後に、市民の多くはそう思い込んだ。その結果、テロ事件が発生してからわずか2ヵ月後に航空安全法(ATSA)が上下両院で可決され、空港警備が国営化されることになった [1] … Continue reading。しかしながら、9月11日当日の空港警備は、割り当てられた任務――爆弾や違法な武器が機内に持ち込まれるのを阻止する――をやり損なったわけではない。そのことを踏まえると、あの当時、連邦政府職員が保安検査を受け持っていたとしたら何か変わっていたかというと、何とも判断し難いところだ。

テロの経験が豊富な国の筆頭と言えばイスラエルだが、テルアビブにあるベン・グリオン国際空港では、保安検査業務の主要な部分を民間の警備会社が請け負っている。ヨーロッパでは空港の民営化が進んでおり、空港全体が民間企業によって運営されるケースが増えている。例えば、アテネ、コペンハーゲン、フランクフルト、ロンドン、ローマ、ウィーン、チューリッヒといった都市にある主要な空港は、民間の営利企業によって運営されている。政府は空港の運営に一切関与していないというわけではないが、あくまでも民営刑務所のケースと同じような立場にとどまるのをよしとしている。すなわち、許容可能な最低限の目標を定めた上で、(空港の運営を引き受けている)民間企業のパフォーマンス(成果)を計測・評価することに専念しているのだ。

空港警備の国営化の帰結はというと、・・・何十億ドルもの公費が投入されたにもかかわらず、「9・11」以降に米国内の空港の安全性が高まったわけでもなければ、あちこちで無駄が生じる始末ときている。

米国内にある5つの空港では、テストの一環として、「9・11」以降も民間の警備会社に保安検査業務がそのまま任された。その結果は?

サンフランシスコ国際空港を含む米国内の5つの空港では、「9・11」以降も民間の警備会社に保安検査業務を任せるパイロットプログラム(社会実験)が続けられた。米国会計検査院(GAO)の調査によると、(パイロットプログラムの対象となっている)5つの空港で保安検査を担当する民間の保安員は、米国内の450の空港で保安検査を担当する運輸保安庁(TSA)の職員よりも、手荷物検査で高い成果を上げた(危険物を見逃さずに発見する可能性が高かった)との統計的に有意な結果が得られたという。共和党所属で、下院航空小委員会の議長も務めるジョン・マイカ議員は、さる火曜日に、報道陣の取材に対してそのように答えた。

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1 訳注;航空安全法により運輸保安庁(TSA)が新設され、それまでは民間の警備会社が請け負っていた空港の保安検査業務を、運輸保安庁(TSA)が全面的に引き継ぐことになった。運輸保安庁(TSA)に勤務する連邦政府職員が乗客の保安検査を受け持つようになったわけである。
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