アレックス・タバロック 「郵便切手に表れた国家の特徴の違い」(2008年8月26日)

●Alex Tabarrok, “Economic Philately”(Marginal Revolution, August 26, 2008)


次の2つの郵便切手をご覧いただきたい。一方は経済発展を志向する国で発行されたものであり、もう一方は内戦続きの国で発行されたものだが、どちらがどっちだかわかるだろうか?

stamps

その答えは、クリス・ブラットマン(Chris Blattman)が紹介しているマイケル・ケバン(Michael Kevane)の論文(“Official Representations of the Nation: Comparing the Postage Stamps of Sudan and Burkina Faso”)で詳らかにされている。

本稿では、スーダンとブルキナファソでそれぞれ発行された歴代の郵便切手の絵柄の分析を通じて、両国政府がどのような国家イメージの形成に取り組んできたかを検討する。その分析の結果、両国政府は自らの国家イメージを描き出す上で大きく異なる方向性を辿ってきていることが明らかとなった。スーダンの切手では、政治の中心地や支配的なエリート――現体制、首都ハルツームの政治エリート、アラブないしはイスラムとしてのアイデンティティ――に焦点が当てられる傾向にあるが、ブルキナファソの切手では、社会全体――アーティスト、複数の民族グループ、経済発展――に目が向けられる傾向にある。スーダンの切手には、北部エリートの強い影響下にあるハルツーム政府――軍事政権であれ、文民政府であれ――の思惑が反映された国家イメージが描き出される傾向にある一方で、ブルキナファソの切手には、「多民族国家」、「発展(開発)志向国家」という国家イメージが描き出される傾向にあるわけである。

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