タイラー・コーエン「アンティークはなぜそんなに安くなったの?」(2018年3月10日)

Tyler Cowen, “Why are antiques now so cheap? “(Marginal Revolution, March 10, 2018)

「アンティーク収集の全盛期に比べたら、現在の平均的な価格はその頃の80%オフです」とコリン・ステア氏、NYハドソン街にあるオークションハウスであるステア・ギャラリーの経営者は言う。「典型的なジョージ王朝様式の18世紀の家具、引出し付きチェスト、三脚テーブル、ペンブロークテーブル」はすべて15-20年前のほんの少しの値段だと。

これはニューヨークタイムズ紙のティム・マッコウ氏の言葉だが、記事には証拠がたっぷり載っている。いくつか私が仮説を立ててみよう。

1.eBayとインターネットは需要より供給を増やした。財産や屋根裏部屋の私物を売るのは以前よりずっと簡単になった。だが、このマーケットの潜在的な需要の伸びはそこまで大きくはなかった。「アンティークを実際に買って収集してもいいよ、時価より40%オフで僕の欲しい18世紀モノが見つかれば」というひともいるだろうが、もっと多くのひとは単に興味関心がまったくない。

2. さっきの記事は、多くの客は新しいモノに目が行っているということも示している。過去のモノに目を向ける姿勢は、根本的にいくらか変わったのかもしれない。ある時を境にしてほとんどのひとの美学の世界から存在しなくなったかのように。エルビス・プレスリーの記念品をどんな風に集めているかとか、或いはエルビスでさえ以前ほどアイコンとして扱われなくなったとかいうことにちょっと似ている。

多くの人々にとって、「英国アンティークは物悲しさと古臭さの象徴です」とニューヨークのインテリアデザイナーであるサッド・ヘイズ氏は言う。彼は最近、アンティークでいっぱいに飾られた家を空にして、現代風な部屋をデザインした。若者と高齢者の両方の富裕層顧客にだ。彼によると、現代的なデザインは「もっとずっと楽観的でポジティブなモノを象徴します」と。

3. 住宅事情が変わった。「より多くの家が、フォーマルなダイニングルームや書斎よりも、オープンコンセプトでカジュアルな空間を持つようになりました。風格のあるマホガニー材のダイニングテーブルや椅子、飾り棚の必要性が減ったのです」。

4. インターネットの美学は「古くて時代遅れなモノ」から人々を遠ざけた。インスタグラムの写真を見てみるといい。

他に何か?

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  1.  原文に添付されたコメント欄のブーム下でのフェイク蔓延現象指摘が興味深かった。其れを衰退の主要な要素とするには無理が有るけれど。

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