タイラー・コーエン「サービス部門ではこういうお仕事もあったとか(ほんとかな?)」

[Tyler Cowen, “Those old service sector jobs (speculative?),” Marginal Revolution, March 19, 2018]

ダニー・ベイカーほどの権威が言うことなので、この話は絶対に事実だ。

60年代のハロッズでは、クビにされる役の人間が雇われていた――それはもう世界最高の仕事にちがいない。

パッと見ただけだと、この従業員はハロッズの最上階で品々の箱に囲まれながら腰掛けてパイプをふかしスポーツ雑誌を読みふけるだけでお金をもらっているように見える。しょっちゅう呼び鈴がならされ、その度に彼はあっちの売り場、こっちの売り場に呼びつけられる。駆けつけた先にはご立腹の顧客がいて、ハロッズの店長になだめられている。

今回のお客様はポンソンビー=ワッフルズ夫人だとしよう。夫人は、先日お買い求めになった高価な陶器のティーカップが欠けていたのがわかって苦情にいらしている。

我らがご同輩が駆けつけると、店長はこう言い渡す。「ポンソンビー=ワッフルズ夫人は最高に大事なお客様ですよ、キミがご夫人のお求めになったティーカップの品質を確認しなかったばかりに、こうしてご立腹なさる事態になったのです。キミはクビです」

ポンソンビー=ワッフルズ夫人が「なにもそこまでしなくていいのよ」と許しを申し出ても、店長は一向に許そうとしない。ご同輩はがっくりと肩を落としてトボトボと出口に向かう。最高の顧客対応水準を維持しようとするハロッズの断固とした指針に納得したポンソンビー=ワッフルズ夫人は苦情を取り下げる。さて、我らがご同輩は、いったんデパートの出口を通り抜けるとすぐさま最上階にとってかえしてスポーツ雑誌とパイプをたのしみながら、次にふたたびクビにされるべく待機する。

Henry Tapper からのリンクはこちら。via Steve Stuart-Williams.

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