ポール・クルーグマン「フラット化のフラット化」

Paul Krugman “Flattening Flattens,” Krugman & Co., November 7, 2014.
[“Flattening Flattens,” The Conscience of a Liberal, November 3, 2014.]


フラット化のフラット化

『ハーバード・ビジネス・レビュー』の記事でジャスティン・フォックスがこう書いてる――世界はいまだにフラットじゃないし,それどころか,だんだんフラットになりつつあるわけでもない.あれこれの尺度でみて,グローバルな「つながり」はずっと増えずにいて,グラフの方がフラットになってる.とりわけ,「北どうしの」貿易は膠着してるように見える.

これと同じような主張は,前にぼくも試みたことがある.ぼくが見るところ,「ハイパー・グローバリゼーション」は――1990年以後20年間の国内総生産に比べた貿易の大幅増は――発展途上国における貿易自由化とコンテナ化の台頭に後押しされた一発かぎりの事態だった.貿易自由化とコンテナ化は,バリュー・チェインの分解につながり,生産の労働集約的な部門は中国その他の新興経済国に移っていった.同等の賃金水準にある経済どうしでは,これに比肩するほどの距離の消滅や貿易のブームはなかった.むしろ,アメリカ国内では地域間貿易と専門分化は減少しているかもしれない

フラット化のフラット化は,いいことでもわるいことでもない.たんに,特定のトレンドが限界に達したときに起こることにすぎない.ただ,知っておくべき大事なことは,トレンドには限界に達する傾向があるってことだ.

© The New York Times News Service

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