マーク・ソーマ 「『合衆国刑務所の中の薬物違反者』」 (2015年11月25日)

Mark Thoma, ‘Drug Offenders in American Prisons, (Economist’s View, November 25, 2015)


ブルクッリン研究所のジョナサン・ロスウェル (Jonathan Rothwell) の論考:

アメリカ刑務所にみられる薬物違反者: ストック/フローの区別は極めて重要: 刑務所における大量収容が合衆国にとって大きな問題となっているという認識を二大政党が共有している事は、いまや広く知れ亘っている。二大政党間共有の認識である。収監率および収監強度 [訳注: rates and levels of imprisonment] は諸々の世帯やコミュニティに破壊的影響を及ぼしており、また機会格差の拡大にもつながっている – 後者は、人種的見地からみると特に顕著である。

しかし、こういった状況がどの程度薬物違反を理由とする収監のせいで生じているのかについて、目下議論は錯綜を極めている。法学者のMichelle Alexanderがその説得力に満ち、また強い影響力をもつ事ともなった批評を公開したのは…2012年だが、彼はその中で薬物撲滅戦争が比例性も公平性を欠く遣り方でアフリカ系アメリカ人を害してきた実態を示した。

近年の学問的成果からAlexanderの主張に対する反論が提出されている…が、しかしながら標準的な分析手法は – Alexanderの批評も含め – 薬物犯罪関連収容のストック/フローを区別してこなかったのである。…

状況は明白である: 薬物犯罪こそ、ここ数十年の間に為された州刑務所および連邦刑務所への新規収容に関する主だった理由であった。

 

 

Pfaffは別の著作の中で、区検 [local prosecutor] が罪質如何に無頓着せず犯罪に直面した際にみせる攻撃的態度が、この大量収容問題の渦中で見過ごされている要素であると考える理由を提示している。

概していえば、破綻した薬物撲滅戦争の効果は破滅的であり、特に黒人アメリカ人にとってこの傾向が顕著である事は明白である。以前の論稿で示したように、薬物を使用・販売する傾向が白人より幾らかでも高いわけでもないのに、黒人が薬物犯罪の為に逮捕される傾向はその3倍から4倍にもなる。さらに深刻な事に、黒人が一度の薬物違反を理由に州刑務所に収容される傾向はおよそその9倍に至る。…

警察活動・訴追・判決形成・刑事司法・刑務所収容といった事柄に対する種々のアプローチの危険な組み合わせは、納税者にとってはコストの増加となり、直接影響を受ける個人にとっては機会の減少となり、そして人種の平等を願う者にとっても深刻な障害となっているのである。

 

 

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