ラルス・クリステンセン 「ヒットラーを権力の座に押し上げたのはハイパーインフレではなくデフレである」(2013年11月17日)

●Lars Christensen, “Deflation – not hyperinflation – brought Hitler to power”(The Market Monetarist, November 17, 2013)


2か月ほど前のことだが、マシュー・オブライエン(Matthew O’Brien)がアトランティック紙で次のように語っている

ハイパーインフレーションから、ヒットラーの台頭までは、一直線を引くことができる [1] 訳注;一直線を引くことができる=ハイパーインフレがヒットラーの台頭をもたらした、という意味。。そのことは、誰もが知っている。しかし、この件に関しては、誰もが知っていることは、実は間違いなのだ。ナチスが権力の座に就いたのは、物価が4日ごとに倍になった(pdf)ハイパーインフレの時期(1923年)――ナチスはこの時期にも権力の獲得を目指していたが、その試みはうまくいかなかった――ではなく、物価が下落していたデフレの時期(1933年)なのだ。

オブライエンの言う通りだ。しかしながら不幸なことに、ヨーロッパの政策当局者らの中には、過去の(経済や政治に関する)歴史をきちんと学んでいる人物がほとんどいないようだ。加えて、自由市場に基づく資本主義体制の擁護者で、次のことに気付いている人物もほとんどいないようだ。すなわち、資本主義体制に対する最大の脅威は、過度の金融緩和ではなく、過度の金融引き締めなのだ。過度の金融引き締めこそが、反動的なポピュリスト――右か左かを問わず――を権力の座に押し上げる土壌を形作ることになるのだ。

(追記) ドイツのシュピーゲル紙が次のように報じている

1922年から1923年にかけて、ドイツ全土を襲ったハイパーインフレは、遂にはアドルフ・ヒットラーの台頭を促したのであった。

・・・。ドイツのメディア関係者の中にも、自国(ドイツ)の歴史からきちんとした教訓を学ぶ必要のある御仁が紛れ込んでいるようだ。

情報を寄せてくれたPetar Siskoに感謝。

(追々記)スコット・サムナー(Scott Sumner)が、直近のブログエントリーで、自由市場の擁護者の多くが金融政策絡みでいかに間違った考えを抱いているかを話題にしている。

(追々々記)デフレ圧力に晒されているユーロ圏から届いたこちらのニュースにも要注目だ。

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1 訳注;一直線を引くことができる=ハイパーインフレがヒットラーの台頭をもたらした、という意味。
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