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タイラー・コーエン「ぼっち遊びは思ったよりも楽しい?」

Tyler Cowen “Do people underestimate how much they will enjoy doing things alone?” (Marginal Revolution, May 4, 2015)

ロベルト・フェルドマンは次のようにレポートしている:

ラトナーは「孤独なボーリングへの妨げ(Inhibited from Bowling Alone)」という題する新たな研究を行ったが、これはアメリカ人の団体アクティビティへの参加の減少を論じたロバート・パットナムの著書1 に賛意を示すものだ。この研究は8月のJournal of Consumer Researchに掲載される予定。この中でラトナー、そして共著者のマクドナー経営大学院マーケティング学教授であるレベッカ・ハミルトンは、彼女らの発見について論じている。すなわち、人々はショーや博物館、映画、レストランに一人で行くことのがどれだけ楽しいのかを、常に過小評価するというのだ。ラトナーによれば、人々の働く時間が増え、婚期が遅くなり、そしてしまいには自由な時間が少なっているため、この計算間違いはますます問題となっているという。

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  1. 訳注:柴内康文訳「孤独なボウリング――米国コミュニティの崩壊と再生(原題:Bowling Alone: the Collapse and Revival of American Community)」(柏書房, 2006年) []

ジョシュ・アングリスト他「計量経済学の教え方」

Josh Angrist, Jörn-Steffen Pischke “Mastering metrics: Teaching econometrics“(VOX, 21 May 2015)

(訳者前書き:以下の記事は、原文著者による自著の宣伝が多分に含まれますが、同書を勧める意図から投稿している訳ではありません。)

経済学という学問は、過去半世紀の間に遥かに実証的となり、抽象的・理論的色合いがかなり薄れたことで劇的に変わった。変化の風は応用ミクロ経済学において最も強く吹いたが、計量経済学はそれに大きく後れをとっている。本稿では、計量経済学の授業には総点検が必要であり、そうした変化は教科書の改良から始めるべきであるということを論じる。


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タイラー・コーエン「ランダム化対照実験(RCT)による貧困削減の新結果」

Tyler Cowen “The new RCT results on poverty reduction” (Marginal Revolution, May 15, 2015)

デクラン・バトラーが次のようにリポートしている

世界の最貧困層に2年間の援助パッケージ、すなわち現金、食料、保健サービス、スキルのトレーニングとアドバイス等を与えることによって、彼らの生活をこの援助が打ち切られてから少なくとも1年間は向上させることができる。これが6カ国における10,000世帯以上に対する実験結果だ。 [Read more…]

スコット・サムナー「世界経済の成長」

Scott Sumner “Global growth” (TheMoneyIllusion, March 22, 2015)


マッキンゼーが世界経済に関する報告書を送ってきてくれたが、これはオンラインでも読める。この報告書の中では次のことが目を引いた。

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(1964年の世界全体の経済は、今日の中国経済と同じ大きさ)

どういうわけでこんなことが起こり得るのだろうか。答えは次のグラフにある。 [Read more…]

ミカエル・トルカノ「技術は教師に取って代わるのか?」

Micael Trucano”Will technology replace teachers? No, but …“(blogs.worldbank.org, 24 February, 2015)


framebreaking 未来では、機械は私に取って代わって私の代わりに別の機械を壊してくれるだろうか

これまで15年以上に渡って数十もの国における教育技術事業について、取組み、助言を行い、評価を行ってきた。情報コミュニケーション技術(ICT)に日常的に親しんでいる人ならば誰でも知っているように、技術分野で働いていると変化というものは常に起こっている。(それに対し、教育分野において変化は常に起こっているということは言えるにせよ、変化それ自体はよりゆっくりと訪れる・・・。)技術それ自身は頻繁に変化する場合がある一方で、そうした技術の導入や使用に関する非常にありふれた疑問の多くは大体が同じものだ。 [Read more…]

タイラー・コーエン「ベンガル大飢饉の原因」

Tyler Cowen”The causes of the Bengal famine” (Marginal Revolution, February 17, 2015)

1943年のベンガル大飢饉は、アマルティア・センをはじめとする人々によって市場の失敗の典型例1 として引用されてきた。でもその新たな(そして素晴らしい)著書「死者を食べるというのは誤り‐飢饉の過去と未来に関する小論集(Eating Dead People is Wrong, and Other Essays on Famine, Its Past, and Its Future ※未邦訳)」において、コルマック・オグラダはこのベンガル大飢饉にまるまる一章を割き、そのような見方とは違った印象を与えてくれる。その要旨を示す箇所を引用しよう。

欲望とパニックによって生まれた投機が、主食である米の「人工的な」不足を作り出したという「エンタイトルメント飢饉2 」として、1943~44年の飢饉はパラダイムとなった。この章において私は、前述した意味における投機ではなく、戦争への注力を食料へと向けるための政治的意思の欠如が飢饉の主な原因であったことを述べてきた。

私としては、飢饉が進行した際に価格統制が導入されたこと、貯蔵業者に対するネガティブキャンペーンが行われたことも付け加えたい。

この本の中では、かなり多くの人肉食が起きたとされる1946~47年のモルドバでの飢饉に関する議論もものすごく面白かった。

  1. 訳注:大規模な飢饉に至るほどではない食料生産の落ち込みがあった際、食料不足や食料価格の高騰を見込んだ買占めが発生することによって、結果として飢饉が発生してしまうという意。 []
  2. 訳注:アマルティア・センは著書「貧困と飢饉」の中で、得るはずのものを得るための力(エンタイトルメント)のどこかに欠陥が生じることで飢饉が生じるとしている。 []

タイラー・コーエン「ギリシャはユーロ圏を本当に離脱するか」

Tyler Cowen “Is Greece really going to leave the eurozone?” (Marginal Revolution, February 17, 2015)

誰にもわからないね。最新のヘッドラインやツイートへの反応が過剰すぎるのかどうかも。様々な政党がバラバラになればなるほど、譲歩を迫る圧力は強くなる。合意が近いように見える分だけ、強硬な態度を取って更なる譲歩を要求するインセンティブは大きくなる。だから短期的なニュースは解釈が難しく、そうしたものに執着してはだめだ。ある方向への振れは、かなり多くの場合逆方向への振れを意味している。たとえ後者はまだヘッドラインになっていなくてもだ。つまり最新のニュースによる振れの方向は、そんなに多くの情報はもたらしてくれない。

ギリシャがどうなるかについては、よく言うところの「最後の鐘」が鳴る、すなわちギリシャから預金が危機的な速度で逃げ出す(逃げ出さないかもしれない)か、ECBが緊急流動性支援を打ち切る(打ち切らないかもしれない)までは分からないだろう。

だったらなぜ、ギリシャがユーロ圏を離脱すると私は考えているのか[Read more…]

メンジー・チン「教科書へ立ち戻って金融政策の有効性を考える」

Menzie Chinn “Thinking about Monetary Policy Efficacy: Back to the Textbooks“(Econbrowser, January 31, 2008)

(訳者注;本記事の原文は2008年1月31日に投稿されたものです。足元の情勢に関する記述は原文執筆時点における原著者の意見であることをあらかじめご承知おき下さい。)


FEDが金利を下げたこともあり、金融政策が産出に影響を与えるあらゆる経路を洗い出し、今の状況ですぐに効きそうなのはそのうちどれなのかを整理しているところだ。

ポール・クルーグマンは、住宅のストックがファンダメンタルから乖離している際には金利の変更は効果がない可能性があると見ている。ロバート・ライシュは、マネーベースの上昇に対応して貸出を拡大するには銀行の資産ポートフォリオはリスクを抱え過ぎていると述べている。トーマス・パレーは、契約の硬直性(変動金利型住宅ローンの金利見直し期間)が金利変更の効果を減少させるとしている。もう一つ別の線の主張は次の問いに要約できる。すなわち、ドットコム・ブームと住宅ブームの後、金融政策が影響を及ぼすことの出来る分野は何だろうかというものだ。

全てそれなりに妥当なところのある数々の異なる主張に出くわす際、私は典型的な教師が行うことを行う。教科書を手に取るのだ。具体的には、ミシュキンの教科書の第23章の図31 の助けを求める。 [Read more…]

  1. 訳注:原文に挿入されている図よりも解像度の良いもの(hicksianさん提供)に差し替えた。 []

タイラー・コーエン「なぜヨーロッパと日本ではデフレが続いているのか」

Tyler Cowen “Why is deflation continuing in Europe and Japan?“(Marginal Revolution, January 22, 2015)

次に引用するのは日本からのニュースだ。

ブルームバーグ・ニュースが行ったエコノミストへの調査によれば、日本銀行が2パーセントのインフレ目標を設定して4年後、物価は依然としてそれに満たない可能性がある。

16個の推計の中央値が示すところでは、消費者物価は2017年3月期の会計年度において平均1.4パーセント上昇し、生鮮食品と消費税による押上げを除けばインフレ目標が設定されてから2017年3月期まで2パーセントに達する年はない。黒田東彦総裁が2013年4月にその記録に残る刺激策を表明した際、彼は約2年以内に目標を達成したいと考えていた。

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ピーター・テミン&ダヴィッド・ヴァインズ「なぜケインズが今日大事なのか」

Peter Temin, David Vines ”Why Keynes is important today” (VOX, 14 November 2014)

ケインズ的刺激策に関する最近の議論は、ケインズが当初自らの理論を擁護した際に出くわしたものとよく似ている。本稿では、そうした当初の議論を解説するとともに、今日の政策議論をそうした文脈に照らし合わせる。現代ではリカードの等価定理や財政乗数がきちんと定義されているため、私たちは過去の人間よりもこの議論をうまく枠に当てはめることができる。著者たちは、短期経済の単純なモデルによって刺激策の論拠を実証できることを論じる。 [Read more…]