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政府通貨と暗号通貨の競争

訳者:上のタイトルの通り、政府発行の通貨と暗号通貨の間での競争についての論文を書いたJesús Fernández-Villaverde教授の自身によるその論文の解説です。原文で”cryptocurrency”と書かれるネット上の通貨は日本では「仮想通貨」と呼ばれる事が多いようですが、訳文ではそのまま「暗号通貨」と訳しています。私自身は通貨についての理論には全く詳しくありませんので、もし訳に問題があればお知らせください。

 

通貨競争の経済学について」 from VoxEU

Jesús Fernández-Villaverde, ペンシルバニア大学経済学教授

2017年8月3日

概要:もし暗号通貨による支払いのシェアが増えれば、政府発行の通貨は民間の発行者からの市場での競争に直面することになる。このコラムは、たとえもしこのシステムが価格安定を維持し得たとしても、市場は社会的に最適な量の通貨を提供しないと論ずる。しかしながら、通貨の実質価値を安定させる金融政策を利用することで、それでも政府は社会的厚生を最大化することが可能である。よって、民間通貨からの競争の脅威は貨幣を発行するどんな政府に対しても歓迎すべき市場による規律を与え得るものである。

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「消費バスケット一杯の企業異質性」

消費バスケットの中の企業異質性:家庭と店舗スキャナーデータからの証拠 from VoxEU

2017年8月2日

  Benjamin Faber、カリフォルニア大学バークレー校経済学部助教

Thibault Fally、     カリフォルニア大学バークレー校助教

概要: 近年の文献は労働者の所得への企業異質性の影響について論じるようになってきている。このコラムでは家計の生活費への影響という観点から企業異質性について考えてみる。富裕層と貧困層はその消費財を異なる企業から購入しており、ゆえに企業の異質さの非対称性から異なる影響を受ける。分析はほどほどの貿易自由化により、合衆国の最も豊かな20%の家計は最も貧しい20%と比べて小売財消費での生活費インフレ率が1.5ー2.5%ほど低くなりえる事を示している。

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キャロル・グラハム 「アメリカの希望の欠如」

アメリカの希望の欠如:豊かな国の貧しさは高くつく

Lack of hope in America: The high costs of being poor in a rich land from VoxEU

2017年7月28日

キャロル・グラハム(Carol Graham)

ブルッキングス研究所のLeo Pasvolskyシニアー

メリーランド大学カレッジパーク校School of Public Policy教授

合衆国の分裂はかつてない程になっています。それを一番分かりやすく表している指標について経済学者は長年にわたって議論してきましたが、それは所得と機会の両方の不平等の急激な増加でしょう。合衆国の不平等の高さは将来の機会(の多さ)を意味しているのだという長く信じられてきた信念がありますが、多くの研究がそれはもはや事実ではない事を示す有力な証拠を提供しています。Chetty et al. (2017)は、両親の所得レベルよりも上へ行ける子供の比率が1940年生まれのコーホートの90%から、1980年生まれについての50%まで低下した事を発見しています。しかし、ジニ係数などの数値指標に基づいた経済学者内部の技術的な議論は一般の議論の中には浸透してはいないようです。

合衆国内の分裂は所得の領域をはるかに越えたものになっており、その幾つかには特に不安を感じさせられます。新著において、私は生活水準(well-bing)の面から不平等の趨勢をかたりました。通常の指標から出発して、厚生の非経済的側面に関する指標、たとえば幸福、ストレス、怒り、そしてもっとも重要である希望などについてのものを利用しています(Graham 2017)。

希望は人々が将来の為の投資を行う動機となる重要なものです。生活水準についての私の以前の研究は、経済的余裕のない人達にとってそれがとりわけ重要である事に光をあてました。彼らにとってそういった投資を行うことは富裕層にとって以上の現在時点での消費の犠牲を必要とします(Grapham et al. 2004)。機会についてのギャップの拡大に加えて、合衆国の豊かさのギャップは信念、希望、そして願望についての不平等の拡大につながってきており、経済的に取り残された人達こそがもっとも希望を持たず、その将来の為の投資を最も行わない人達となるわけです。

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