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世界銀行eMBeDチーム「誰もが誤りを犯す:2017年ノーベル経済学賞を開発事業に生かす」

eMBeD “Everyone misbehaves: Putting the 2017 Economics Nobel Prize to work for developmentblogs.worldbank.org, 10 october, 2017


2017年のノーベル経済学賞がリチャード・セイラーの経済理論への心理学の導入という革新的業績に対して授与されたというニュースは,シカゴ大教授であるセイラーや「実践 行動経済学 健康,富,幸福への聡明な選択(原題:Nudge)」の共著者にとっての勝利に留まらず,行動経済学の知見を用いた世界中の政策にとっての勝利でもある。

ダニエル・カーネマンの(アモス・トベルスキーとの)判断と意思決定に関する研究は,彼に2002年のノーベル賞をもたらした。2002年のノーベル賞が行動経済学に対するもの,あるいは経済理論および研究における心理学の利用に対するものであるとするならば,今年2017年の賞は行動公共政策に対するものと言えるかもしれない。セイラーの主要な研究はトベルスキーとカーネマンの研究の拡張だが,特筆すべきことはこの研究を政策決定にまで拡張したことだ。セイラーのおかげで,行動経済学はすべての人々にとって便利なものになった。とある人が書いたように,「今や我々はみな行動経済学者だ。」 [Read more…]

ミカエル・トルカノ「技術は教師に取って代わるのか?」

Micael Trucano”Will technology replace teachers? No, but …“(blogs.worldbank.org, 24 February, 2015)


framebreaking 未来では、機械は私に取って代わって私の代わりに別の機械を壊してくれるだろうか

これまで15年以上に渡って数十もの国における教育技術事業について、取組み、助言を行い、評価を行ってきた。情報コミュニケーション技術(ICT)に日常的に親しんでいる人ならば誰でも知っているように、技術分野で働いていると変化というものは常に起こっている。(それに対し、教育分野において変化は常に起こっているということは言えるにせよ、変化それ自体はよりゆっくりと訪れる・・・。)技術それ自身は頻繁に変化する場合がある一方で、そうした技術の導入や使用に関する非常にありふれた疑問の多くは大体が同じものだ。 [Read more…]

ステファン・クラセン「サハラ以南アフリカの貧困と格差を測る」

Stephan Klasen “Measuring Poverty and Inequality in Sub-Saharan Africa: Knowledge Gaps and Ways to Address them“(blogs.worldbank.org, 29 July, 2014)

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ケニア、キベラにあるスラムを岩の上に座って見下ろす少年
​@Gates Foundation

アフリカ中の家計調査の質と量の向上のためにここ数十年費やされた数億ドルにも関わらず、私たちはサハラ以南アフリカにおける貧困と所得格差の水準と傾向について、非常に大雑把にしか把握していない。この残念な事態は多くの理由に起因している。

第一に、アフリカ諸国の統計能力は未だに弱く、調査の資金は援助者のお金に強く依存している。そのせいで調査作業の質、調査プログラムの当事者意識、そして何よりも深刻なことに調査の一貫性と比較可能性が低下しているのだ。この点について援助者は役に立っていない。彼らは大抵、調査の設計について独自の優先順位や目標(これは年によって変わり、それが調査票に反映される)、スケジュールを持っているうえ、時には貴重な国内の人的資源を彼らの調査プログラムに割かせることによって統計能力を損なうことすらある。 [Read more…]

ローラ・ラルストン「銃と麻薬と経済開発」

LAURA RALSTON “Guns, Drugs and Development” (blogs.worldbank.org, April 4, 2014)


Gunspic
不法取引は西アフリカにおいて目新しいことではないが、その規模は目を引くものとなっている。マリ北部からガンビアにかけて、密輸業者たちは燃料、タバコ、必需食料品を数十年に渡って取引してきた。古くからの貿易路や部族間の繋がりによって、非合法の国際取引は伝統的な商習慣と足並みを揃えて成長してきているのだ。

モロッコの大麻はこの地域に現れた不正取引商品の最初のひとつで、1990年代に登場した。その後、南アメリカのコカインがそれに続いたが、これはヨーロッパでの需要の高まりを受けたところもある。この地域の反乱軍が力を発揮してくるにつれ、密輸武器市場がここ10年を通じて拡大してきており、そうした反乱軍にはニジェールやマリ内の分離独立運動やらナイジェリアのボコ・ハラムやデルタ、コートジボワールの若き愛国者などがある。石油ダイヤモンド木材といった価値のある天然資源は不法に獲得され、犯罪や反乱活動を支えるための現金を得るために頻繁に取引されるのだ。 [Read more…]

マーティン・ラヴァリオン「世界の貧困とアダムスミスのリネンシャツ」

MARTIN RAVALLION “What Does Adam Smith’s Linen Shirt Have to do with Global Poverty?” (blogs.worldbank.org, April 18, 2011)


アダム・スミスはその著書「国富論」の中で、18世紀のヨーロッパにおけるリネンシャツの社会包摂1 的役割を指摘した。

リネンシャツは、厳密に言えば生きていくために必要ではない。ギリシャ人やローマ人は、私が思うに、リネンを持ってはいなかったが非常に快適に生活していた。しかし現代においてはヨーロッパの大部分において、ちゃんとした日雇労働者であればリネンシャツなしに公衆の面前に現れるのを恥ずかしく思うはずであって、それを持っていないということは、極端に劣悪な行動をしない限りは誰も容易には陥らないような恥じ入る程の貧困を示していると思われるだろう。

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  1. 訳注;social inclusionの訳で、貧困を始めとした様々な要因によって社会から孤立、排除される人を支えるというような意味。 []

ザイード・ハッサン「国際援助の歴史:変化し続ける援助」

Zahid Hussain “The ever changing landscape of aid” (World Bank Blogs, March 17,2014)


現在の形での国際援助は1940年代前半に始まった。第二次世界大戦の後、物質的再生のためのキャピタルの決定的な不足にヨーロッパは直面した。その対応策は一般にマーシャルプランとして知られており、それに基づきアメリカはヨーロッパの再建を援助し、ピークの年には自国の国民所得の2~3%程度を移転した。マーシャルプランによる成果は、これ以外の状況における国際援助の有効性についても希望を生じさせた。富裕国の注意は1960年代に生まれた新興独立国へと向いた。複数国の協調による当時の援助は、二国間援助よりもより効率的でより政治的に中立だと考えられ、 国連、世界銀行、その他の国際機関の活動の顕著な拡大への道を開いた。 [Read more…]

マーカス・ゴールドスタイン「お金をあげればうまくいく?」

MARKUS GOLDSTEIN “Cash transfers: beyond protection to productive impacts“(blogs.worldbank.org, February 12, 2014)


今日はなぜ現金給付1 を行うか(世銀の同僚らによる最近の議論についてはここを参照)や、その計り知れないほどの効果(無数の文献があるが、例えばここにあるバークの議論や、ここ[邦訳]のデヴィッドのものを参照)についてもう一度話すのではなく、それよりもとある一つの事業に焦点を当ててみたいと思う。この事業は、FAOとUNICEFの保護から生産へ(PtoP;from protection to production)という事業なのだけれど、これは多数の現金給付プログラムをアフリカでやっていて、農業や小規模ビジネスといった生産的活動に対する影響を評価している。

ここからもたらされている結果から、私は家計の農業とビジネスの成果を高めるにあたって現金は特定の場合においては良い選択肢だという結論を下すに至っている。でもその裏でこの事業が示しているように(そしてあらゆるところの研究が示しているように)、これはそうした成果にとって常に良い選択肢であるわけでは決してない。そこでもちろん次のような疑問が湧き上がる。じゃあどういった場合に有効なんだろうか、というものだ。ここではこの疑問に回答することはしないけれど、何が起こっているかを把握するにあたってPtoP事業からの証拠を見てみる価値はある。 [Read more…]

  1. 訳注;資金を元に何らかの援助事業を行うというのではなく、直接的に現金を配るという援助方式。 []

タイラー・コーエン「移民抑制がスイスで可決:反発されずに可能な移民はどの程度?」 / ハンスピーター・ウィス「スイスで”ストップ大量移民”が可決」

タイラー・コーエン「移民抑制がスイスで可決:反発されずに可能な移民はどの程度?」
Tyler Cowen “The Swiss vote for immigration curbs: how much immigration is possible without a backlash?” (Marginal Revolution, February 10, 2014)

まずはこのニュースを見てほしい。

わずかに過半数を上回る有権者によって、国内に居住・就業することを許可された外国人の人数に対する制限の再導入する案が日曜日にスイスで採択され、この動きによってスイスのEUとの関係に対してより大きな波紋が投げかけられる可能性がある。

次のところに注意。

欧州連合非加盟であるスイスは、ヨーロッパで最も高い外国人比率を持つ国の一つとなっており、約800万人の人口のうちおよそ27%が外国人である。

僕の考えではスイスでは経済面でも文化面でも移民はうまくやってきていたと思うし、この出来事を見て非常に残念に思う。これがEUとの関係に危機をもたらしかねない事実ということを除いてもね。とは言うものの、この27%は今日におけるほとんどあるいは全ての富裕国の移民上限についての一種の基準値と考えることができる。外国人の割合がこれに近い数値へ近づくと反発が起きると僕は考えている。 [Read more…]

ディリップ・ラタ「移民についてのポール・コリアーの視野狭窄な提言」

Dilip Latha “Collier’s Exodus: Reckless Recommendations” (blogs.worldbank.org, January 13, 2014)


世界の発展にとって移民は特徴的な問題だ。驚くことではないが、流入した移民をどう扱うかというのはこの時代においてもっとも難しい政策課題の一つであり続けている。ポール・コリア―の”Exodus: How Migration is Changing Our World(大移住:移民はどのように世界を変えているか;未邦訳)”は、この移民問題という複雑な現象を考えるにあたっての分析枠組みを構築することから始めている。すなわち、移民は移住元国家と移住先国家との間の所得格差によって引き起こされる。先行移民たちのネットワークは新たな移民を容易にし、そしてさらに先行移民たちは納税を行っている従来の住民の間の相互信頼を傷つける。移住によって移民は貧困と困難から抜け出すことが可能となるが、それとともに移住元国家、とくに小国からは技能が流出することとなる。世界の所得格差や、多数の大規模な先行移民による誘因によって、移住は加速し、しまいには一部の送り出し元国家は空になってしまうだろう。移住先国家はしたがって、自国が福祉国家であることと、移住元国家が存在し続けるということの双方を守るために、「ほどほどの(happy medium)」幅で移民を制限することをコリアーは推奨している。

この非常に読みやすい本は、証拠を拡大解釈した思いもよらない極端な結論がなければ素晴らしいものとなっていただろう。この本は最終的には観点を二分化するために事実をかき混ぜて、移住をどうあつかうかという複雑な課題を減じるどころか増やしてさえいる。 [Read more…]

マッケンナ&フェランティーノ「WTOはサンタクロースの通関に役立っているのか?」

MILES MCKENNA,MICHAEL FERRANTINO “Is the WTO Helping Santa Claus Clear Customs?“(blogs.worldbank.org, December 20, 2013)


トレード・ポスト1 もちょっとお休みをもらう時期が来た。でも休みで読者のみんなとお別れする前に、貿易に少々関係することをみんなに聞きかじってもらおうかなと思う。 [Read more…]

  1. 訳注;世界銀行ブログの貿易関係のカテゴリ []