「連邦準備制度の所有者はだれ?」

Federal Reserve Board FAQ “Who owns the Federal Reserve?” 


連邦準備制度(Federal Reserve System)は誰にも「所有」はされていません。連邦準備制度は,1913年の連邦準備法によってアメリカの中央銀行として創設されました。ワシントンDCにある理事会(Board of Governors)は,連邦政府の機関であり,議会に対して報告するとともに直接の説明責任を負っています。

連邦準備制度の権限は,1913年に連邦準備法の制定によって同制度を創設した議会に由来します。この中央銀行「制度」は3つの重要な特徴を備えています。すなわち,(1)集権的な理事会である連邦準備理事会,(2)12の連邦準備銀行(Federal Reserve Banks)による分権化された運営構造,そして(3)官民混在の性質です。

大統領によって指名され,上院によって承認されるところの理事会は,連邦準備制度の一般的な指針を提供するとともに,12の準備銀行を監督します。理事会は議会に対して報告するとともに直接の説明責任を負っていますが,ほかの多くの公的機関とは異なり,その資金は議会の予算法によるものではありません。議長及びその他の職員は議会の前で宣誓を行い,理事会は金融政策報告書という直近の経済の進展や理事会の金融政策に関する計画に関する多岐にわたる報告書を年に2回提出します。理事会はまた,独立した監査による連邦準備制度の財務諸表及び連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事録を公にしています。

さらに,金融政策の目標を設定するのは議会ではあるものの,どうやってそうした目標を達成するかに関する理事会の決定,そして連邦準備制度の金融政策決定主体である連邦公開市場委員会の決定にあたっては,大統領をはじめ,ほかのいかなる行政・立法府の主体の承認も必要ではありません。

一部の識者は,準備銀行が民間企業と類似の組織となっていることをもって連邦準備制度が民間主体であるとの誤った考え方をしています。たとえば,12の準備銀行のそれぞれは,地区(District)とよばれるアメリカ国内のそれぞれ独自の地理的範囲内で業務を行っており,各銀行は独立した法人組織でそれぞれに理事会(board of directors)が設置されています。連邦準備制度の委員となっている市中銀行は,自らの管区にある準備銀行の株式を保有しています。しかしながら,準備銀行の株式を保有するのと民間企業の株式を保有するのでは大きな違いがあります。準備銀行は営利業務を行っておらず,一定量の株式の所有は連邦準備制度への加入のための法律上の要件となっています。実際のところ,準備銀行は自行が必要とする全ての支出,法律上の要請による配当支払い,限定的な範囲での剰余金の維持を差し引いた純利益を財務省に送金することが法律によって義務づけられています。

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