アレックス・タバロック「中流は縮小している――大勢がお金持ちになってきてるから」

[Alex Tabarrok, “The Middle Class is Shrinking Because Many People are Getting Richer,” Marginal Revolution, June 21, 2016]

新聞の見出しにはなにかと中流階級が縮小しているって言葉が踊るけれど,かなりの程度まで,それは人々が上位中流階級に移動しているからであって,貧しくなっているからじゃあない.ある数字によれば,アメリカでは1980年に 38% だった中流階級は今日だと 32% に減っているけれど,同時に,上位中流階級は1980年の 12% から現在は 30% にまで伸びている.

『ウォールストリートジャーナル』の Josh Zumbrun が(リベラル寄りの)アーバン・インスティテュートからでた新しい研究などについて見事な記事を書いている〔もとの画像はこちら〕:

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上位中流階級に標準的な定義はない.多くの研究者は,上位 20% の所得をもつ世帯または家庭だと定義している.これと対照的に,ローズ氏は貧困率の計算手法に似たもっと動的な手法を用いている.この手法では,時間経過を追った拡大や縮小を許容でき,家庭の人数に合わせて調整できる.

2014年を通して利用できる統計局のデータを用いて彼が定義する上位中流階級とは,3人の家庭で10万ドルから35万ドルを稼ぐ世帯だ:この稼ぎは,中央値の世帯所得の少なくとも2倍,貧困水準のおよそ5倍にあたる.同時に,この上位中流階級はもっとも豊かな世帯ともかなり異なっている.先祖からの富を受け継いだ人間でもなく,かといって大企業の重役でもなく,この上位中流階級は,中間管理職だったり,あるいは,学士号かとくにそれ以上の学位をもつ経営・法律・医療の専門家だったりする.

世帯の人数が少なければ稼ぎがいくらか少なくても上位中流階級に分類されるし,人数が多ければいくらか稼ぎが多くないとこれに分類されない.

ローズ氏はこうした閾値をインフレを織り込んで1979年の水準に合わせている.すると,これだけのお金を稼ぐ人口がこれほど多かったことはかつてなかったのがわかった.この閾値の精密な部分やインフレ調整のやり方についてはあれこれと重箱の隅をつつく余地はあるだろう.だが,他のインフレ調整手法を使ったり,上位中流階級に分類する所得の閾値をもっと高く設定しても,結果は同じになる:1970年代以降,この集団は大幅に伸びているのだ.

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