アレックス・タバロック「2021年のうちにとにかくアメリカは集団免疫を達成する」(2021年1月20日)

[Alex Tabarrok, “We Will Get to Herd Immunity in 2021…One Way or Another,” Marginal Revolution, January 20, 2021]

7月には,ぜんぶ終わる.問題は,いまからそれまでにいったい何人が亡くなってしまうのか,ただそれだけだ.

抜群に正確な予測をしてきた人たちの一人に,Youyang Gu がいる.彼の予測によると,7月までにアメリカは集団免疫を達成しているはずだという.その半分はワクチン接種による免疫,もう半分は感染による免疫だ.だが,集団免疫を達成するずっと前から,感染者数と死者数は減少するだろう.Gu の予測では,3月までに感染者数は現時点の半分になり,5月までにいまの感染率の10分の1になる.感染増加の勢いと同じく,この減少ぶりにもみんなは驚くだろう.ぼくらは指数関数的な変化が得意じゃない.感染が減少するとともに,第2四半期に経済は活気づくだろう.

ずいぶんうまい話だなと思った人は,次の点を考え合わせてほしい.すでに累計死者数は40万人にのぼっているし,CEC の予測では 2月までにさらに10万人が亡くなる.アメリカには,ワクチン接種をさらにがんばって大きく増やす余地はごく限られていて,しかもいままさにぼくらは失敗している.おそろしく失敗している.

どれくらいひどく失敗しているか理解するには,インフルエンザワクチン接種と比較してみるといい.毎年,合衆国ではおよそ1億5000万件のインフルエンザ・ワクチン接種を約3ヶ月間でやっている.一日当たりでは160万件だ.つまり,COVID-19 のワクチン接種の実に2倍以上のペースで毎年インフルエンザのワクチン接種をやっているわけだ.たしかに,COVID-19 ワクチン接種には固有の困難がある.でも,これは数万人の命がかかった緊急事態なんだ.

重要なリソースを動員して,イスラエルと同じペースで1ヶ月当たり人口の 30% にワクチン接種を進められたらすばらしいと思う.でも,インフルエンザワクチンと同じペースで COVID でもワクチン接種を進められるだけでも,数千人の命が救われるし,GDP も数千億ドル失われずにすむ.それに,インフルエンザ・ワクチン接種と比較してみると,州兵を動員する必要もスタジアムをワクチン接種会場にする必要もないのを思い出せる.保険維持機構と薬局を利用すればすむはずなのに!

薬局での接種をもっとかんたんにしよう.どんな人を優先してワクチン接種するべきかについて,各国が独自にガイドラインを設定しているのは,馬鹿げているにもほどがある.ガイドラインは1つあればいい.あってもせいぜい50だ.待機列の順番を守らずに先にワクチン接種を受けようとする人がいても気に病むのはやめよう.(待機列の順番を飛ばす人は,おそらく,さっさと接種をすませてバーや社交生活にもどりたがっている人だ.だから,そういう人たちに先に接種すれば,いくらか副次的な効用がある.)

もちろん,ワクチン接種のペースが速くなればなるほど,ワクチンの供給量の制約に縛られることになる.だからこそ,もっとワクチンを承認する必要があるし,「初回接種最優先」策 (“First Doses First“) をとる必要がある(2回目の接種はイギリスのように遅らせる).モデルナ製ワクチンの半量接種だって利用する必要がある〔モデルナの臨床治験で標準的な100μグラムではなく50μグラムでも同一の免疫反応が見られたという話に言及している〕.全シリンダーをブン回すべし!

いまは時間が肝だ.

多謝: Kevin Bryan & Witold Wiecek.

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  1. ”数仙人の命” ”もどりたがてちる人”

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