アレックス・タバロック 「タロックに侮辱されてこそ」(2006年8月17日)/「バーナード・ショーとチャーチルの侮辱合戦」(2006年10月8日)

●Alex Tabarrok, “Tullock Insults”(Marginal Revolution, August 17, 2006)


「お前はマゾだ!」と言われたって一向に構わないが、ジョージ・メイソン大学で働けることの一番の喜びは何かというと、ゴードン・タロック(Gordon Tullock)からちょくちょく侮辱してもらえることだ。いや、ちょと待ってほしい。理解しておいてもらわねばならないことがある。経済学者でありながらタロックに侮辱された経験がないというのは、学者として空気に等しい存在でしかないことを意味するのだ。

ともあれ、つい昨日のこと。こんなことがあった。

「あの、ゴードン。児童労働は禁ずるべきだと思いますか?」と私。「うんにゃ。これまで通り働かせるべきだね」 [1]訳注;原文は、 “No, keep … Continue readingとタロック。

別の日の話。タロックが書き上げたばかりの論文を手に、私のところにやってきた。論文に目を通してもらいたいとのこと。誤字(スペルミス)をいくつか発見。タロックにそのことを伝えると、「素晴らしい。この発見は、君が経済学の分野で成し遂げた一番の貢献になるに違いないよ」とのお答え。

タロックは、難問を出して相手を苦しめることで有名だ。ある時のこと、タロックから難問を出された同僚の一人がたまらず次のように語った。「ごめん、ゴードン。僕は、そこまで咄嗟(とっさ)に頭が回らない [2]訳注;原文は、 “I’m not that good at thinking on my feet”。“thinking on my feet”というのは、「咄嗟に考える(瞬時に決断する)」という意味だが、“on … Continue reading性質でね」。すると、間髪を入れずに椅子を差し出すタロック。そして、一言。「そうか。じゃあ椅子に座って考えてくれ。それでどんな答えが出てくるか、待ってみようじゃないか」。

タロックに侮辱された経験を記録しておきたいという人がいたら、是非ともその思い出をコメント欄に書き込んでもらえたらと思う。


●Alex Tabarrok, “Classic Insults”(Marginal Revolution, October 8, 2006)


「私の新作(劇曲)が近々上演される予定になっておりまして、初日の夜の部のチケットを2枚同封致します。よろしかったら、お友達と一緒にお越しください。・・・お友達がいらっしゃればですが」(ジョージ・バーナード・ショーがウィンストン・チャーチルに宛てた手紙)。

「初日の夜の部には行けそうにありません。二日目には行かせていただくつもりです。・・・二日目があればですが」(チャーチルの返事)。

著名人による侮辱のその他の例は、こちらを参照されたい(Kottke経由で知ったネタ)。「タロックによる侮辱」もお忘れなく。

References

References
1 訳注;原文は、 “No, keep working”。「ノーに決まってるだろ。なぜそうなのか、よく頭を捻って考えてみてごらん」という意味も込められているのかもしれない。
2 訳注;原文は、 “I’m not that good at thinking on my feet”。“thinking on my feet”というのは、「咄嗟に考える(瞬時に決断する)」という意味だが、“on my[one’s] feet”には「立ったまま(~する)」という意味がある。タロックは、相手の言葉を「立ったまま考えるのが苦手でね」と(意地悪くも)解釈して、椅子を差し出したわけである。
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