タイラー・コーエン「安心する曲への移行:パンデミックでポップ音楽の人気は低下」(2020年4月28日)

[Tyler Cowen, “The turn to “comfort music,” Marginal Revolution, April 28, 2020]

どうも,ポップ音楽はパンデミック期に人気が落ちるらしい.

何百万もの人々がコロナウイルスにともなう外出規制のなかで娯楽を求めている.データによれば,大物ポップアーティストたちの新曲は,平時ほどリスナーを集めていない.かわりに,ストリーミングの各種数値によれば,リスナーたちは昔のお気に入り曲に耳を傾けている――ボブ・マーリー,ディクシーチックス,ビル・ウィザースといった面々の曲だ.ちなみに,”Lean On Me” で知られるウィザースは先月死去している.

ポップ音楽聴取を減らしている要因はいくつかある.アナリストたちが言うには,大物アーティストたちはアルバム発売を遅らせているし,出勤しないよう命じられた勤め人たちは通勤時間がなくなって,ラジオを聞く時間を減らしているのが要因だそうだ.さらに,ラジオを聞く人たちも,音楽よりニュースの方を聞くようになっているのも一因だという.ライブコンサートやトークショーへの出演がなくなって,音楽レーベルの宣伝マシンはいつもほど力を発揮していない(…)

定額制音楽ストリーミングサービス最大手の Spotify では,アメリカでの人気曲上位200のストリーミング回数がこのところ落ち込んでいる――3月12日までの1週間に比べて,4月16日までの1週間の回数が 28% も減っている.この週には,J Balvin, the Weekend, Childish Gambino, Dua Lipa といった大物ストリーミングアーティストたちの新アルバムが発売されていたのを考えると,この急減はいっそう際立つ.一方で,カタログ音楽(発売から18ヶ月以上が経過している曲)は上昇中で,4月9日までの1週間のストリーミング回数がこの数年でも指折りの多さになっている.こうしたカタログ音楽が,オーディオストリーム全体で,63% を占めるにいたっている.Nielsen/MRC によれば,3月12日までの1週間にくらべて,60% の増加だという.

「安心する音楽に軸が移ってきていますね」と Midia Research のアナリスト Mark Mulligan は言う.

『ウォールストリート・ジャーナル』の記事全文はこちら.安心する食べ物への好みの変化について以前書いたポストはこちら

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