タイラー・コーエン「小集団のネットワーク構造と災害での生存率」(2021年5月10日)

[Tyler Cowen, “Network Structure in Small Groups and Survival in Disasters,” Marginal Revolution, May 10, 2021]

こういう研究結果が当てはまるのは,もしかして災害にかぎられないんじゃないかな:

災害や緊急事態(e.g. ビル火災)にみまわれたとき,既存の役割や人間関係に埋め込まれていた社会的義務や期待に固執する傾向が人々にはある.これにともなって,人々は集団で生き延びたり全滅したりする――具体的には,その状況が発生する前からつながりのあった人々と生死をともにする.本稿では,この集団行動の説明にもとづいて社会ネットワーク分析の対象を広げる.ここではとくに,災害や緊急事態に直面した小集団をつくりあげている人どうしのつながりの内部構成に関して,構造的な異質性を考察する.集団によっては,まとまりの強い部分集団で構成されているものもあり,災害時の避難中にそうした部分集団に分離しても,集団内部の役割にもとづく期待に違背せずにすむことがある.こうした「分離」構造をもつ集団は,緊急事態への対応でより柔軟に動けることを本稿では論じる.この検討に当たって,165名の死者を出した「ビバリーヒルズ・サパークラブ火災」(1977年)から得られるデータを利用する.我々のデータには,303の集団(「パーティ」)が含まれている.火災でもっとも多くの死者が出たダイニングルームにいた746名の人々が,それぞれのパーティにわかれていた.集団の内部構造のおかげで対人的なつながりを強固に維持しつつ避難中にさまざまなかたちで分離できた集団では,死亡率が有意に低かった.

上記の抜粋は,Benjamin Cornwell & Jing-Mao Ho の論文から.via 眼識ある Kevin Lewis

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