タイラー・コーエン「泥棒して受け渡し金を要求するマカクザル」(2021年1月15日)

[Tyler Cowen, “Money-maximizing macaque thieves demand ransoms,” Marginal Revolution, January 15, 2021]

バリのウルワツ寺院では,猿たちが商売にはげんでいる.寺院をうろつく長い尾をもつマカクザルたちは悪名高い.油断している観光客たちに強盗をはたらき,厚かましくも彼らの持ち物にしがみついて,受け渡し金として食べ物が渡されるまで離そうとしないのだ.

研究者たちによれば,寺院のマカクザルたちは,カモとなる観光客の持ち物のうちどれにいちばん価値があるのか判断して,この情報を活用してみずからの利益を最大化するのだという.

目ざといマカクザルたちは,人間どもが引き換えに食べ物をよこす見込みがいちばん大きい品物を好んで標的にする.たとえば電子機器がそうした標的だ.逆に,ヘアピンや空のカメラバッグのように,とられても観光客が諦める品物は狙わない.そう語るのは,ジャン=バプティスト・ルカ博士だ.博士はカナダのレスブリッジ大学心理学部の准教授で,この研究の筆頭執筆者だ.

マカクザルたちが盗む価値の高い品物には,携帯電話・サイフ・度付き眼鏡などが挙げられる.「貴重品をハンドバッグにしまってジッパーを閉めてしっかり首からかけておくように寺院のスタッフが忠告しても,観光客のなかには上の空で聞き流している人がいるものです.そうした観光客から引ったくる専門家に,ここのマカクザルたちはなってしまっています」と博士は言う.

マカクザルたちと寺院の観光客たちのやりとりを研究者たちが273日以上かけて撮影しつづけたところ,より価値の高い品物にはもっといい見返りを――たとえばもっとたくさんの食べ物を――マカクザルが要求するのがわかった.

泥棒マカクザル・観光客・寺院スタッフのあいだでなされる交渉は,4~5分以上も続く場合がよくある.品物が返されるまでにかかった最長時間は25分で,交渉に17分が費やされた.より価値の低い品物の場合には,より少ない見返りを受け入れてマカクザルたちは物々交換のやりとりを首尾よく終わらせることが多い.

記事の全文はこちら.via David Curran.

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