タイラー・コーエン「韓国の最低賃金引き上げ」(2021年1月22日)

[Tyler Cowen, “The South Korean minimum wage hike,” Marginal Revolution, January 22, 2021]

法定最低賃金の大幅引き上げがもたらした影響に関する,論争を呼びそうな研究が火曜に公表された.来年度の標準賃金を決める交渉が行われているさなかでの公表で,雇用主と従業員の対立を呼びそうだ.

2018年に,低所得労働者たちの賃金水準〔最低賃金〕が 〔前年比で〕16.4パーセント引き上げられた.これが及ぼした影響を分析した韓国経済研究所の研究者たちによれば,多くの低賃金雇用が消失した一方で,すでに雇用されていた人々はより高い給与を享受している.同研究所は,韓国のトップ企業ロビーである the Federation of Korean Industries とつながりがある.

最低賃金は年度ごとに更新される.現在のレートは,時給 8.590ウォン($7.10)だ.2018年に,レートは前年の 6,470ウォンから 7,530ウォンへと,16.4パーセント引き上げられた.これは,過去17年間でもっとも急激な引き上げだった.

韓国経済研究所の報告によれば,この引き上げの対象となった労働者たち――2018年の法廷最低賃金未満の給与を2017年に受け取っていた人々――のあいだでは,雇用率が他の所得グループに比べて実に 4.6パーセントポイント低くなっているという.

このグループの 15.1パーセントほどが,2018年に無職者となっている.

同研究の計算では,失業事例の 27.4パーセントから 30.5パーセントが,最低賃金引き上げで雇用主たちが雇用削減を後押しされたことに起因するという.


記事はこちら.言及されている研究を見つけられないんだけど,もしかすると韓国語でしか出ていないのかもしれない(追記: 韓国語の論文へのリンク).あと,これが企業ロビーと関連している点も留意しておこう.それはさておき,この機会にみんなに聞いておきたい:韓国が最近やった最低賃金の大幅引き上げについて,他にどんなことがわかってる?

韓国の最低賃金に関する一般的な事項はウィキペディアのこの記事を参照.あと,関連する文献として,ハンガリーでの最低賃金引き上げについての論文はこちらにある:最低賃金引き上げから4年後に小さいながら解雇の影響が見られ,その負担の大半は消費者に転嫁されている.つまり,買い手独占モデルは当てはまらないってことだ――買い手独占モデルだったら,価格は下がるはずだからね.

最低賃金について Brian Albrecht が書いた文章も読んでみてほしい.

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