タイラー・コーエン 「反循環的な資産としての『資本論』 ~景気の悪化に伴って中国で『資本論』の売り上げが伸びているとか~」(2009年4月8日)/「至る所に市場あり ~マルクスの『資本論』がミュージカルに!?~」(2009年3月12日)

●Tyler Cowen, “China book fact countercyclical asset of the day”(Marginal Revolution, April 8, 2009)


人民出版社――中国政府が掲げる正統的なイデオロギー(革命思想)に沿う書籍の刊行を手掛ける中国最大の国営の出版社――の調査によると、「反資本主義」の書たるマルクスの『資本論』の中国全土での売り上げが昨年(2008年)の11月を境として月間で4,000~5,000部を記録するに至っているという。世界的な経済危機の煽りを受ける前までは『資本論』の月間の売り上げは1,000部を大きく下回るのが普通であったことを考え合わせると、かなり急激な勢いで売り上げが伸びていることになる。

人民出版社の販売部に勤める潘氏が語るところよると、数十年前であればほとんどすべての中国人が所蔵していた『毛沢東選集』の売り上げも昨年(2008年)の終わり頃から急速な伸びを記録しているという。

全文はこちら。情報を寄せてくれたRyan Tetrickに感謝。


●Tyler Cowen, “Markets in everything China fact of the day”(Marginal Revolution, March 12, 2009)


面白いニュースが飛び込んできた。一体どんな仕上がりになるんだろうね。

日本で『資本論』が漫画化されてベストセラーを記録。そのことに感化されて中国の演劇関係者の間でマルクスの代表作を脚本としたミュージカルの制作が進行中らしい。

上海活劇芸術センター(Shanghai Dramatic Arts Center)の総支配人である楊紹林(Yang Shaolin)氏が文匯報(上海で発行されている日刊紙)の取材に対して語ったところによると、復旦大学の経済学部で教授を務める張俊(Zhang Jun)氏をはじめとした専門家の協力を得て『資本論』の舞台化を準備している最中とのこと。演出家は既に決まっているらしい。演出を担当するのは何念(He Nian)氏。ヒットを記録したアクションコメディ映画の『武林外传』を舞台化するにあたって演出を手掛けた人物だ。

アニメにブロードウェイのミュージカル、そしてラスベカスのショーを参考にそれぞれの要素を混ぜ合わせてマルクスの経済理論を今風で愉快で啓蒙的な劇へと変身させるつもり。何念氏はそのように意気込みを語っている [1] 訳注;ミュージカルの予告映像はこちら

情報を寄せてくれたRobert C.に感謝。

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1 訳注;ミュージカルの予告映像はこちら
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