タイラー・コーエン 「日本におけるバレンタインデーの一幕 ~恋愛資本主義を打倒せよ!~」(2015年2月13日)/「サウジアラビアにおけるバレンタインデーの一幕 ~異教徒の祝祭に浸ることは決して許さぬ!~」(2008年2月14日)

●Tyler Cowen, “The Valentine’s culture that is Japan against the romantic-industrial complex”(Marginal Revolution, February 13, 2015)


(2015年)2月14日に、「革命的非モテ同盟」――非モテ男(女性にモテない日本男児)をメンバーとする革命同盟――によるデモの開催が予定されている。場所は東京の渋谷。若いカップルに人気のスポットだ。バレンタインデーおよびその根底に潜んでいる「恋愛資本主義による抑圧」への抵抗の声を上げるのが、デモの目的だという。

「革命的非モテ同盟」――通称「革非同」――の誕生は、2006年に遡る。そのきっかけは、創設者である古澤克大氏が、女性に告白して振られた後に家に戻って手に取った一冊の本にある。その本とは、『共産党宣言』。『共産党宣言』を読んで、「非モテとは階級問題なり」と開眼したというのだ。

革非同によるデモは、2006年以降毎年のように決行されているが、いずれも、日本において恋愛と結び付けられがちな記念日―――バレンタインデーやクリスマス、ホワイトデー等々――に狙いが定められている。

革非同が掲げるスローガンは、日本独自のネット文化と旧来のマルクス主義を融合して出来上がったものだと言える。ネット文化を起源の一つに持つことは、その言葉の選び方からも窺い知れる。一例を挙げると、革非同は、いわゆる「リア充」に批判の矛先を向けることが多いが、「リア充」というのは、2ちゃんねるに代表されるオンラインコミュニティでよく使われる造語だ。「リア充」というのは、「リアル」と「充実」を組み合わせて出来た混成語であり、ネットの外の現実の日常生活が充実している連中という意味が込められている。

2月14日に開催予定のバレンタインデー粉砕デモに向けて、革非同のウェブサイトに次のような声明が投稿されている。曰く、「チョコレート資本の陰謀に血塗られたバレンタインデーの季節が今年もやってまいりました。モテない人の明るい未来を築き上げるべく、非モテ同志の連帯を呼び掛けてきた革命的非モテ同盟が、バレンタインデー粉砕と恋愛資本主義反対を訴えるデモを開催いたします」。

過去のデモでは、「セックスなんかいくらやったって無駄だ」との言葉が書かれたゼッケンを着用して、「リア充爆発しろー! でもちょっと羨ましいぞー!」などといったキャッチフレーズを叫びながら練り歩いたという。

全文はこちら。ところで、革非同の公用車はメルセデス・ベンツC220らしい。

情報を寄せてくれたAndrea Castilloに感謝。

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●Tyler Cowen, “Valentine’s Day in Saudi Arabia”(Marginal Revolution, February 14, 2008)


サウジアラビアでは、宗教警察である(イスラム教保守派の立場に立つ)勧善懲悪委員会(CPVPV)の面々が、2月14日の数日前から、商店の取り締まりパトロールを行うのが毎年の恒例となっている。赤いバラや赤い包装紙、ギフト箱やテディベア等々を、店舗から撤去するように警告して回るのである。そして、バレンタインデーの前夜にあちこちの店を突然訪れて、「愛の象徴」となり得る品物が置いてあるようなら、根こそぎ没収していくのである。

全文はこちら。情報を寄せてくれたBZに感謝。

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