ダイアン・コイル 「若き経済学徒へのアドバイス」(2013年3月8日)

●Diane Coyle, “Advice to young economists”(The Enlightened Economist, March 8, 2013)


本日は、(オックスフォード近辺に位置する)ゴスフォード・ヒル・スクールのシックスフォーム課程で(大学への進学を目指して)勉学に励む学生を相手に、講演を行ってきた。講演のタイトルは、「経済学者になろうとは思いもよらなかった」(ロバート・ペストン氏が企画した、見上げたプロジェクト(Speakers for Schools)の一環としてお呼ばれしたのだ)。

将来の職業選択に思いを馳せる若者が相手ということで、私のこれまでのキャリアを振り返ることに主眼を置かせてもらい、私の家族が歩んだ歴史と、1935年――私の父親が働き出した年。当時の父親の年齢は14歳――から現在までの間にイギリス経済に生じた構造変化とを絡めるかたちで、経済学者という職業の内実について語らせてもらった。以下の写真は、私の父親が一番初めに就職した工場で撮影されたもの。前列の一番右端に映っているのが私の父親だ。兵役で一時職場を離れることはあったものの、職業人生の大半をこの工場で過ごした。1970年代後半に工場が閉鎖された関係で職を失うことになったが、その後は運良く検針員の職にありつけたのだった。

学生諸君は非常に礼儀正しくて、いい質問をたくさんしてくれた。その中の質問の一つが、「大学で経済学を学びたいと考えているのですが、何かお薦めの本はありますか?」というもの。即興で以下の本(と動画)を薦めておいた。ティム・ハーフォードの『The Undercover Economist』(邦訳『まっとうな経済学』)(我が長男が経済学者を志すきっかけとなった一冊)。『まっとうな経済学』に限らず、ハーフォードの本なら何でもいい。「ケインズ vs ハイエク」のラップ対決動画。トーマス・シェリングの『Micromotives and Macrobehavior』(邦訳『ミクロ動機とマクロ行動』)。ハジュン・チャンの『23 Things They Don’t Tell You About Capitalism』(邦訳『世界経済を破綻させる23の嘘』)。デイビッド・スミスの本なら何でも(例えば、最新著の『Free Lunch』)。あの場では言い忘れてしまったのだが、アリエル・ルービンシュタインの『Economic Fables』(邦訳『ルービンシュタイン ゲーム理論の力』)も遅ればせながら付け加えさせてもらうとしよう。その他にも、薦めておいたらよかったという本はたくさんあることだろう。ただし、私なら、『Freakonomics』(邦訳『ヤバい経済学』)はその中には入れないだろう。個人的に、受け狙いが過ぎるように感じるものでね。

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