ナラヤナ・コチャラコタ「Fedの金融政策:インフレ目標、物価水準目標、雇用の最大化」

Narayana Kocherlakota”Monetary Policy Report to the Economic Club of Minnesota” (Federal Reserve Bank of Minneapolis, May 21, 2014)
ミネソタ経済クラブにおける講演


御紹介ありがとうございます。また、今日ここにお招きいただきましたことにも御礼申し上げます。ミネソタ経済クラブを再び訪れることができ、大変嬉しく思います。

本日は、連邦準備制度や連邦公開市場委員会(FOMC)のいくつか基本的なところをお話しすることから始めたいと思います。しかし、大部分の話はある種の四半期報告書のようなものとなります。皆さんの選ばれた代表者、すなわちアメリカ議会は、重要なマクロ経済目標の達成をFedに課しています。今回はそうした目標を達成するためにFOMCがどのように行動しているのかについての、ミネソタ経済クラブの皆さんに対する報告となります。しかし心に留めておいてほしいのですが、私がこれからお話しするのは私自身の考えでありまして、私以外の連邦準備制度内の人間のそれと必ずしも同じではありません。

話の終わりに際しては、皆さんからの御質問にお答えするとともに、そこから学ばさせて頂ければと思います。

連邦準備制度の基本

それでは連邦準備制度のいくつか基本的なところから始めたいと思います。私は、Fedはアメリカ独特の制度だと考えています。それはどういう意味か。というのはですね、世界の類似機関と比較して、アメリカの中央銀行は強く分権化されています。ミネアポリス連邦準備銀行は、12の地方準備銀行のひとつであり、ワシントンDCにある理事会とともに、連邦準備制度を構成しています。ミネソタ連銀は12の連邦準備管轄区域のうち9番目を担当しており、その範囲はモンタナ、南北ダコタ、ミネソタ、北西ウィスコンシン、ミシガン半島上部となっております。

FOMCは年に8回会合を開き、先々6週間ないし7週間に渡る金利の経路を決定します。私を含めまして各地域の連邦準備銀行の12総裁全てと、7人の連邦準備制度理事がこの討議には関与します。しかしながら、委員会それ自体の構成は、理事及びニューヨーク連邦準備銀行総裁の他、その他の連邦準備銀行総裁が輪番で占める4席からなるものです。私も今年はその4人のうちの1人です。こうした形で、FOMCの構造は私たちの政府の連邦的構造の鏡写しとなっています。というのも、国内の異なる地方からの代表者、すなわち各総裁がFOMCの討議に情報をもたらすからです。

この8回の会合において、FOMCは経済に対する金融刺激の水準を決定します。「金融刺激」という言葉が何を意味するかということについて詳細に立ち入るつもりはありませんが、後ほどそれについての質問をお受けできれば幸いです。ここでは、3つの大まかな点についてだけ指摘させて頂きます。一点目は、FOMCが刺激の水準を変更する際には、インフレーション、すなわち物価の上昇率と雇用を同じ方向に動かすことが多いということです。刺激の水準を上げることは、インフレ―ションと雇用の両方に上昇圧力を与え、刺激の水準を下げることは、インフレ―ションと雇用の両方に下降圧力を与えるということです。二点目は、FOMCの行動がインフレーションと雇用に影響与えるのには常に時間差が伴い、たいていそれは1年半から2年ぐらいと考えられています。最後に、長期において、金融政策は経済におけるインフレ率全体の決定要因のうちの最右翼ではありますが、金融政策の外にある多くの要因が長期の雇用水準には影響してきます。

金融刺激の水準を変えることによって、FOMCは何を達成しようとしているのでしょうか。議会はFOMCに対し、物価安定の促進と雇用最大化の促進をするように金融政策を決定するよう課しています。FOMCは第一の目標である物価安定について、インフレーションを2%近傍に保つことと解釈してきております。FOMCの職務は、金融刺激を時と共に変化させることで、この2つの責務を果たすことです。

今日の話のこれ以降は、みなさんによって選ばれた議員が私たちに対して設定したこれらの目標について、FOMCがその達成にあたりどのように行動しているかに関しての皆さんに対するご報告といった形をとらせて頂きたいと思います。

物価安定

物価安定から始めさせて頂きます。繰り返しになりますが、その運営においてFOMCは物価安定を物価水準の上昇率、すなわちインフレ率を2%近傍に保つことと解釈しております。より具体的に言えば、FOMCはインフレーションを計算するにあたって、個人消費者支出物価指数あるいはPCEと呼ばれるものを使っています。このインフレーションの指標は、食料品やエネルギーに関するものを含めた全ての財とサービスの上昇率を捉えるものです。

大不況が始まったのは2007年12月です。ここでお見せするのは、PCEインフレがそれ以降どのように振る舞ったかについてのグラフです。

2014_may21_chart1

注目すべきは、大不況の開始以降、PCEインフレは平均で年間1.5%となっていることです。

ある意味で、2007年まで遡るのは少々ミスリーディングであります。というのも、FOMCは2012年1月まで2%インフレ目標を採用していなかったからです。しかしながら、その採用を決定して以降、PCEインフレは下方向にずり下がりを続けて来ています。現在、PCEインフレ率は1%をわずかに上回るところにあります。

ですので、過去6年を見るにせよ過去2年を見るにせよ、インフレーションは物価安定と整合的になるためには低すぎるところにあり続けているのです。幸いなことにFOMCはインフレーションが2%へと立ち戻ると予想しています。しかし、私としては2%へ戻るのには長い時間、場合によっては4年程度かかると予想しています。また、2%インフレへの回復が遅々としたものになると予測しているのは私だけではありません。今年、議会予算局(CBO)もインフレーションは2018年まで2%に達しないと予測しました。

まとめ:FOMCは物価安定の目標を達成していない。

低インフレ―ション:なぜ問題となるのか

今お話ししてきたのは、インフレーションはこれまでも、今も、そしてこの先もFOMCの2%目標に対して低すぎるものであるということです。しかしインフレーションが低すぎるということをなぜ気にしなければならないのでしょうか。財やサービスにあたって、それらが高くないというのは良いことではないでしょうか。この非常に良い質問に対しては、2つの答えがあります。

ひとつめの答えは、私たちの経済においてお金の借り手と貸し手は、Fedがインフレ率の目標通りにすることを期待しているというものです。インフレーションが目標よりも高い場合、実質ベースにおいて貸し手は予想していたよりも少額の支払いを受けとるために、損をすることになります。別の言い方をすれば、彼らが受け取る支払いで買えるのは、予想したよりも少ない財やサービスであるということです。逆にインフレーションが目標よりも低い場合、実質ベースにおいて借り手は予想していたよりも大きな額を支払わなければなりませんので、損をすることになります。どうしてでしょうか。インフレーションが目標を下回っている際、財とサービスは確かにより安くなっているのですが、賃金もまた低くなりやすいのです。賃金の引き下げとはすなわち、一家の所得のうち、その一家がローンを組む際に予想したよりも多くの割合が住宅ローンの支払いに割かれることを意味します。こうした予想外に高額の住宅ローン支払いは一家にとっては損となりますが、その損害は目標としているインフレ率をFOMCが達成すれば防げるものなのです。

ふたつめの答えは、目標を下回るインフレーションは私たちの経済に大きな問題があることを示しているために、それに注意しなければならないというものです。

どういうことかご説明いたしましょう。基本的に、価格とは私たちの経済が利用可能な資源をどのように使っているかを示すものだと考えるべきです。2012年に、私はそうした直観を非常にはっきりと痛感させられる経験を得ました。ノースダコタの西端に位置するウィリストンを訪れた時のことです。今日と同様に、私がウィリストンを訪れた際も、大きな石油景気の只中にありました。この景気が道路、水、住宅といったウィリストンが利用可能な物理的資源を強く逼迫させており、またウィリストンが利用可能な人的資源も逼迫させていました。その結果は比較的高率なインフレーションです。

したがって、ウィリストンにおいてそうであったように、インフレーションがFedの目標と比較して高い場合には、需要が利用可能な資源を逼迫させているのだと分かります。その逆もまた真です。インフレーションがFedの目標と比較して低い場合、社会における利用可能な資源を完全に使用するのには財とサービスへの需要が少なすぎるのです。アメリカにおける低インフレーションは、資源が浪費されていることを意味しているのです。

これら浪費された資源とは具体的にはどういったものなのでしょうか。この疑問に対しては、複数の答えがあります。例えば、需要が少なすぎる際には、多くの資源が未利用のままにされているというものです。しかし最も重大で最も憂慮すべきことは、私たちアメリカ人の同胞です。アメリカには今よりも多くの時間働くことが可能である生産的な人々がたくさんおり、私たちの社会は彼らの生産を取り上げられてしまっているのです。

この重要な点が多くの場合には過小評価されています。FOMCはその物価安定目標を達成しておらず、その状態が続くと予想されると先ほど述べました。しかしこのような結果、とりわけても継続的な目標未達成が予測されていることは、雇用の最大化を促進するという別の目標についてもFOMCは十分に達成していないことを基本的には意味するのだと、私たち全員が心に留め置いておく必要があります。

FOMCは過去のインフレ不足を補うべきか

PCEインフレ率はこの先数年、場合によっては2018年までFOMCの2%目標を下回ると予測していることをお話しさせて頂きました。この予想が当たったとしましょう。そうした結果は、とある重要な政策上の問題を浮かび上がらせます。2018年以降の数年におけるFOMCのインフレ目標は、それまでの年におけるインフレ目標の未達に影響を受けるのでしょうか。

この問題に答えるにあたり、取りうべき次のふたつのアプローチを比較してみたいと思います。すなわち、インフレ目標という標準的なアプローチと、物価水準目標というより新しいアプローチです。その前にひとつ言わせて頂きたいのですが、今日のところはこの二つのアプローチのどちらが優れているかというような立場はとりません。私の目指すところは、ただ単に将来、それもひょっとすると正にかなり先のことになるかもしれませんが、そうした将来についての政策論議を促すというものです。

FOMCは2012年1月にその2%インフレ目標を発表しました。それ以降、インフレーションは平均で年間約1.3%で推移しています。CBOと同じように、私はインフレーションはゆっくりとしか上昇せず、FOMCの目標に回帰するのは2018年頃だと見通しています。

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御存知の通り、インフレ率は物価水準の成長率であり、それはつまり財とサービスの典型的な組み合わせに対して人々がどれだけ支払っているかということです。したがって、インフレ―ションの下方向への振れは積み重なり、その分だけ目標よりも低い物価水準となります。インフレーションについての私の予測が正しい場合、2018年における物価水準は、FOMCがそれに先立つ6年間に渡りインフレ目標を達成していた場合に実現していたであろうものよりも、2.5%程低いものとなります。

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この物価水準の不足分に対して、FOMCはどのように対処すべきでしょうか。FOMCが単に2%のインフレ率を2018年以降も目標とする場合、物価水準は2012年に予想されたものよりも永続的に2.5%低くなります。政策に対するこうしたアプローチ、これは世界の主要な中央銀行のほとんどが採っている標準的なものでありますが、これはインフレ目標と呼ばれています。しかし代替策もあるのです。すなわち、FOMCが少々高めのインフレ率を2018年以降の数年にわたって目標とし、物価水準の不足分を取り戻すということも考えもありうるのです。この二つ目の政策アプローチはしばしば物価水準目標という名を与えられます。

FOMCが物価水準目標を使用する動機としてはどんなものがあるでしょうか。それには2つの理由があるのですが、それらは先に私が挙げた低インフレーションに関する懸念と大きく関係しているのです。

ひとつめの理由は、物価水準目標が借り手と貸し手に対して長期の契約をより安全なものにするからです。インフレーションを2%に保つというコミットメントをFOMCが守るだろうという予想の下に、2012年に30年の住宅ローンを組んだ一家を例として考えてみましょう。インフレーションが過去2年間に渡り非常に低かったために、借り手の現在の返済は実質ベースでは今や驚くほど高いものになっています。(ここで「実質ベース」とは、借り手が返済費用を賄うために驚くほどの量の財とサービスを諦めなければいけないということを意味しています。)FOMCはもちろんながら今日この問題を解決することはできません。しかしFOMCがインフレ目標を使う場合、借り手の返済は2042年、すなわち住宅ローンの契約から30年後においても、実質ベースでは驚くほど高いままであり続けることでしょう。それとは反対に、FOMCが物価水準目標を使う場合、2042年における借り手の返済は、実質ベースにおいては、元々ローンを組んだ時点で借り手が予想していたものに近くなるでしょう。

FOMCが物価水準目標を使いたいと思うかもしれない理由の2つ目は、それが経済にとって自動的な安定化装置となるからです。先にお話しした通り、需要が少ない場合、インフレーションは目標を下回る傾向にあります。物価水準目標を採用している場合、将来におけるより高率のインフレーションと需要増加を起こすことを目的として、FOMCは金融政策を使用して低インフレーションを修正します。しかしこうした将来におけるより需要増加の見通しは、事業者にとっては今現在の雇用と投資を増やすインセンティブになります。つまり、物価水準目標を採用している場合、FOMCの将来の政策決定が予測されていることにより、現在の負のショックが自動的に相殺されるのです。 [1]原注1;Gauti Eggertsson and Michael Woodford, 2003, “The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy,” Brookings Papers on Economic Activity.等を参照。 [2] … Continue reading

インフレ目標か物価水準目標かという決定にについて、FOMCの将来における政策決定の効果という点からここまでお話しさせて頂きました。しかしちょうど今お話しした通り、こうした将来における決定はすぐ先のマクロ経済的成果に影響を与える可能性を秘めているのです。特に、もし現時点で物価水準目標を採用するという決定をFOMCがしようとしていたら、事業者は将来におけるより積極的な金融政策と、その結果としての需要増加を見通していたことでしょう。こうした需要増加の予想は、現時点の雇用と投資についての追加的なインセンティブを事業者に与えることとなります。このようにして、物価水準目標についてのFOMCの決定、どのようにするかはこの先数年で決定しなければならないことですが、これはすぐ先における経済の回復スピードに影響を与える可能性を秘めています。

こうしたこと全てをつまらないことのように感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。ですが物価水準目標対インフレ目標の議論は、中央銀行に関するものの中で最も熱いものの一つであることは保証します。もちろんこの議論に決着をつけようとは思っていません。特に、過去のインフレ目標の未達についてFOMCがどのように対応すべきかという喧々諤々かつ重要な問題について、私は全てをお話ししてはいません。しかし目標をインフレ率にするのか物価水準にするのかという問題は、中央銀行家たちの真摯な議論の俎上に挙げられてしかるべきだと私は考えています。

雇用の最大化

先に、低インフレ率はFOMCが雇用最大化の目標を十分に満たしていない印だとお話ししました。しかしこうした結論に達するためにこの印に頼る必要はございません。この目標未達は、労働市場の状態に関するたくさんの重要な指標で、簡単に見ることができるからです。

まずは失業率の動きについてのデータをお見せしましょう。2007年3月、失業率は4.4%でした。失業率は2007年を通じてゆっくりと上昇し、年末には5%に到達しました。全米経済研究所はその2007年12月を大不況の始まった時点としています。不況により、失業率はピークである2009年10月に10%に達しました。

それがもうすでに4年以上も前であることに驚きを禁じえませんが、それ以降失業率は6.3%までゆっくりと下落してきました。過去四半世紀そこらと比べると、これは依然として異常に高いものです。現在の失業率は、その予想長期水準についての予測のほとんどと比べても高いのです。私個人としては、長期においては失業率は5%少しのところに収束すると予想しています。基本的に、6.3%という失業率はアメリカの労働市場が不健康な状態にあるということなのです。

しかしこの指標には、アメリカの労働市場の改善度合いをかなり大げさに示してしまう場合があるという問題があると私は考えています。失業率を推定するために、統計局は人々に対して次の二つの質問をします。すなわち、働いているかどうか、そして働いていない場合には過去4週間の間に仕事探しをしたかどうかというものです。失業率はこのうちの2つ目の人数、すなわち直近の求職者の両方(被雇用者と直近の求職者)の合計に対する割合を測ったものです。これはつまり、失業率の下落には2つの理由がありえるということです。仕事を見つける人が増えているか、あるいはよ仕事を探す人が減っているかです。2009年10月以降の失業率の下落のほとんどは、仕事を探している人々の割合が減ったことによって起こっています。最近の失業率下落のこうした特徴は、16歳以上で仕事をしている人の割合、すなわち雇用人口比(employment-to-population ratio)と呼ばれるものの動きを見ることによって裏付けられています。

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2007年3月、雇用人口比は63%以上でした。雇用人口比率は大不況の間に急激に下落し、2011年半ばに58%少しのところで底を打ちました。このパーセンテージはその底からほとんど上昇してきておらず、1986年から2007年までのどの時期よりも低いままなのです。

大不況がなかったとしても、2007年以降の雇用人口比は人口圧力によってある程度下がっていただろうというのは確かです。1946年から1964年の間に生まれたベビーブーム世代が年を取るにつれ、人口の中で定年を迎えた人の割合は段々と増えていきます。しかし、それでもこうした人口圧力は、先にお話しした雇用人口比の下落のほとんどを説明するほど大きなものではありません。このことを確認する一つの方法、唯一の方法というわけではありませんが、それは通常の定年年齢のにはない人に焦点をあてることです。ここにお見せするのは、25歳から54歳までの職を持っている人の割合について示したものです。この比率は底から改善してきてはいますが、これもまた1986年から2007年までのどの時期よりも低いままです。

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職を得ている人の間においてさえ、経済が私たちの人的資源を相当過小にしか雇用していないという印があります。今よりも多くの時間働きたいと思っていながら、そのような追加的な労働時間を得ることの出来ていないパートタイム労働者の数を労働統計局は毎月報告しています。労働力におけるそうした人の割合は下がってきてはいますが、未だ通常よりも高いままです。

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このグラフから分かることをまとめると次のようになります。幸いなことには、労働市場は大不況の終わり以降改善してきている。悪いことには、過去4年超における改善率は嫌になるほど遅い。結果として、私たちの国の非常に重要な資源、すなわち人は依然として相当未利用なままにある。雇用の最大化を促進するという目標に関して、FOMCは十分に達成していないと結論せざるをえません。

終わりに

はじめのほうで、今日のお話は議会によって課された2つの目標に対するFOMCの成果に関しての、皆さんへの報告だと考えて頂きたいと言いました。FOMCは物価安定の目標を達成しておらず、インフレーションはFOMCの目標である2%よりもかなり低いところにあり、この先数年もそのように低い状態が予想されるということを私たちは見てまいりました。この未達はアメリカ経済が利用可能な資源、とりわけても人的資源を無駄にしているということを示唆しており、問題です。この未利用についての強力な証拠として、主要な労働市場指標の状況を私たちは見てまいりました。したがって、FOMCは雇用最大化の目標についても十分に達成していないのです。連邦公開市場委員会として私たちはもっと良い結果を示さなければならないという信念を、私は引き続き抱き続ける所存です。

御聴講ありがとうございます。御質問がありましたら喜んで承ります。


注記
この講演及び補足資料に関し、Manuel Amador, David Fettig, Terry Fitzgerald, Sam Schulhofer-Wohlによる助力を感謝する。

References

References
1 原注1;Gauti Eggertsson and Michael Woodford, 2003, “The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy,” Brookings Papers on Economic Activity.等を参照。
2 訳注;インフレ目標の場合であっても、インフレ率が目標を下回った場合には将来における金融緩和が予測されるという点は変わらないが、物価水準目標の場合には(元々の物価水準経路に回復するための)より大幅な金融緩和が予想される。
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    1. 返答が遅れて申し訳ありません。御指摘の通り、物価と価格で用語が不統一であったため、物価に統一しました。

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