ポール・クルーグマン「スウェーデン版サドマネタリストの挫折」

Paul Krugman, “Swedish Sadomonetarist Setback,” Krugman & Co., July 11, 2014.
[“Swedish Sadomonetarist Setback,” The Conscience of a Liberal, July 5, 2014.]


スウェーデン版サドマネタリストの挫折

by ポール・クルーグマン

なるほど,これはなかなかにびっくりだ.これまでよく中央銀行家たちの「サドマネタリズム」について書いてきた――失業率が高くてインフレ率が低いっていうのにとにかくなにか理由を見つけて金利を引き上げたがるあからさまな傾向のことを,ぼくはそう呼んでる.

そういう考え方でもいちばん影響力の強い一党が,国際決済銀行だ.どういうわけか,国際決済銀行は多大な尊敬を集めている.「インフレだ!」「 もうすぐくるぞ!」「いやこないかも!」「金融の安定!」と理由をひっきりなしに変えつつも,一貫して金融引き締めを主張してるにも関わらずだ.でも,政策担当者たちがほかのどこよりも劇的にこれをやってのけたのは,スウェーデンだ.スウェーデン中央銀行の多数派は,金利引き上げの悪徳にふけることに決めて,デフレのリスクに関する世界の先端的研究者の1人を締め出してみせた――ぼくの友人で元同僚のラース・スヴェンソンを.

さて,それからどうなったでしょうね:スヴェンソン氏の正しさは,現実の出来事で劇的に証明された――金利を引き上げても債務の増加は食い止められなくて,しかもスウェーデンをデフレに追いやってしまった.あまりに劇的だったおかげで,同中央銀行は急速なUターンを決めて,金利を切り下げている(し,総裁と第一副総裁の意向を却下している).

実のところ,このUターン劇はとてもいいことかもしれない.なにしろ,これで投資家たちも「これはホンモノのレジーム転換だぞ」と納得するかもしれないからね.

© The New York Times News Service

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