マーク・ソーマ 「『石油価格・中国・株式市場のハーディング現象』」 (2016年1月17日)

Mark Thoma, ‘The Price of Oil, China, and Stock Market Herding’, (Economist’s View, Sunday, January 17, 2016)


オリヴィエ・ブランチャード (Olivier Blanchard) の記事から:

石油価格・中国・株式市場のハーディング現象: 株式市場の動向はここ2週間のところ全く不可解だった。

中国原因説からみていこう。実際、中国の成長率衰退は世界を一変する大事件にもなるかもしれない。だが、それほどまでの衰退を示す実証データは実は全く存在しない。…

では石油価格説はどうか。こちらはいっそう不可解だ。従来は、石油価格の低下は、例えば合衆国といった石油輸入国にとって当然グッドニュースとなると考えられていた。…[つまり、消費者は使えるお金が増えれば消費を増やし、アウトプットを増加させる、そしてエネルギー消費企業も生産コストが減れば投資を増加させる、だろうという訳だ]…しかし我々が昨年学んだところだが、短期的にみれば、エネルギー生産企業に対する投資に負の影響がたちどころに現われ、一時的に同効果を遅らせてしまうことも在り得るのである。とはいえ、勿論これは結論の大勢を覆すほどのものではない。しかし現在新聞等の見出しでは低石油価格が低株価につながったとの説が盛んである。…

市場コメンタリーを信用すべきではないのかもしれない。或いは、問題は石油でも中国でもないのかもしれない。それとも我々が目にしているものは世界経済の低迷に対する遅れた反応に過ぎないのかも…云々…

私の考えでは、説明因子は専ら他の所に在る。思うに、ハーディング現象がかなり大きく作用しているのだ。他の投資家が売りに出るならそれはこっちの知らない何かを知っているからに決まっている、だからこちらも売りに出るべきだ、じゃあ売りに出よう、と、斯くして株価の低落が生まれる訳である。しかし何故いまなのか? 恐らく、恐らく我々はさらなる不確実性の時節に突入したということなのだろう。…

それで結局、我々はどれくらい警戒しているべきなのか? 経済学からの解答は…ここでついにあの悪名高い二刀流的容貌を帯びるのである。曰く、数日或いは数週間の内に、ファンダメンタルズの状態が実際にはそうひどくなっていないことが判明する場合、株価は復活するだろう… しかし、株価市場の不調がもっと長引くなり悪化するなりした場合には、株式市場は 『自己実現的 [self-filling]』 なものとも成り得る、と。長引く低株価は低消費や低需要に、さらに潜在的には不況にまでつながり得る。Fedの需要低迷に対する迎撃力は、心機一転してゼロ金利下限を脱したばかりという状況もあり、依然として限られている。したがって、第一のシナリオとなるよう祈りつつ、第二シナリオにも警戒してゆく必要があるのだ。

 

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