上の画像は,Bear F. Braumoeller が書いた興味深い新刊『現代における戦争の永続』(Only the Dead: The Persistence of War in the Modern Age) から.
この本は,世界がだんだん平和になってきているっていうピンカーの説を批判するのに大部分を割いている(ピンカーはヨーロッパ限定の,より楽観的なデータだけを示している).本文から抜粋しよう:
(…)紛争と戦争の勃発率は時により変化する.しかも,かなり大幅な変化だ.2回の世界大戦で2つの大きなジャンプがあるのを脇に置いても,1815年から冷戦終結までの期間に紛争の勃発率の中央値は4倍増を見せ,その後,半分以下にまで急減している.
このため,「紛争の減少」は,全面的に安心する理由にならない.
紛争による死亡数はどうだろう?
戦争の死亡数の数値としてもっとも広く使われるもの2つを分析すると,戦争による死亡率に顕著な変化は見られなかった.なにか変化があるとしても,データが示しているのはごく控えめな死亡率の上昇だ.しかも,その上昇はおそらく偶然によるものと見られる(…).さらに悪いことに,小さな戦争がもっとずっと大きな戦争へと拡大するかどうかがランダムに決まるプロセスと,そのデータは整合しているのだ.
全体として,この本の論証は強力だし,データ問題の議論は最初から最後まで細やかだ.本書を買うならこちらから.この本の議論は根本的に正しいように,ぼくには思える.