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スコット・サムナー 「『1Q84』と『サタンタンゴ』と ~超大作を讃えて~」(2012年2月12日)

●Scott Sumner, “Satantango”(TheMoneyIllusion, February 12, 2012)


今回はいつもとは一風変わった話題を取り上げるとしよう。ここ最近ずっと大いに頭を悩ませている疑問がある。「小説や映画の長さって一体どうやって決まってくるのだろうか?」という疑問がそれだ。大抵の小説は分量にして200~500ページくらいで大抵の映画は尺にして2時間くらいというのが相場だ。映画の尺に関しては映画館側の事情――夕食後に2回は上演できるくらいの尺が好ましい――がいくらか関係しているのだろうと推測できるが、しかしそれですべて説明がつくわけではないようにも思う。というのも、「アートフィルム」(前衛映画)にしたって大体2時間くらいの尺に収まっているからだ。小説が原作となっているアートフィルムでさえもそうなっているのだ。普通の分量の小説を圧縮せずにそのまま映像化しようと思ったら(それもアートフィルムのテンポで映像化しようと思ったら)5~10時間くらいの尺になるはずなのに。 [Read more…]

スコット・サムナー 「私に影響を及ぼした『テクスト』」(2010年3月20日)

●Scott Sumner, “Some influential “texts””(TheMoneyIllusion, March 20, 2010)


「『この本には強い影響を受けた』。みんなもそんな本のリストを披露してくれないか?」というタイラー・コーエンの呼びかけ〔拙訳はこちら〕に対する他のブロガーの面々の回答をチェックしているうちに心配になってきたことがある。人様にお見せしても恥ずかしくないリストを拵(こしら)えられるだろうかといささか不安になってきたのだ。『A Theory of Justice』(邦訳『正義論』)に『The Structure of Scientific Revolutions』(邦訳『科学革命の構造』)。『Guns, Germs and Steel』(邦訳『銃・病原菌・鉄』)。『The Bell Curve』。『The Road to Serfdom』(邦訳『隷属への道』)などなど。他の面々が言及している本の一例だが、勿論どれも知っている。が、果たして読んだかと問われると・・・。『隷属への道』は30年前に読んだことがある。しかし、肝心の内容はまったく覚えていないときている。

映画の『メトロポリタン』を観たという人ももしかしたらいるかもしれないが、その中にこんなシーンがある。舞台はニューヨーク。カクテルパーティーの席上で若い男女が対面でジェーン・オースティンを批評し合っている。女が激怒しながら男に尋ねる。「ところで、ジェーン・オースティンのどの作品を読んだことがあるの?」。男の答えはというと・・・、「僕は小説は読まない人間でね。批評(文芸批評)は読むけどね」。 私もこいつと似たり寄ったりだ。学問の世界で名のある古典の(実に数多くの)あれにしてもこれにしても一切読んでなんかいないのに、それのどこがどう間違っているかを30分かけて誰かと議論し合えてしまうのだ。そんなやり方はフェアじゃないというのはよくわかっている。どんな本であれ枝葉を取り払ってその内容をギュッと要約してしまえば、その本の持つ説得力の大半は失われてしまって簡単に批判してしまえるものなんだから。そうそう。ちなみにだが、(ジェーン・オースティンの)『Pride and Prejudice』(邦訳『高慢と偏見』)は読んだことある。 [Read more…]

スコット・サムナー「消費者物価指数と住宅価格」(2018年5月11日)

[Scott Sumner, “The CPI and housing prices,” TheMoneyIllusion, May 11, 2018]

9年前のことだが、住宅価格の計測間違いで消費者物価指数 (CPI) がどう歪んでいるか論じたポストを書いた:

朗報! 住宅バブル崩壊なんてなかったんだよ!

――少なくとも、アメリカ政府によればね.

労働統計局によれば、住宅価格は過去12ヶ月で 2.1% 上昇しているそうだ
それがなんで重大かって? ありとあらゆる理由があるけれど、まずは,実際に起きたことを探ってみよう。労働統計局によれば、財とサービスのコア・バスケットの40パーセント近くを住宅が占めている。

カテゴリ 重み インフレ率
住宅 39 % 2.1%
それ以外 61% 1.4%
全体 100% 1.7%

かりに、2.1% 上昇するかわりに住宅コストが過去12ヶ月で 2.1% 下落していたとしたらどうだろう? その場合、コアインフレ率はゼロということになる。どちらがもっともらしい数字だろう? 過去1年間のかなりにわたって、住宅価格は月あたり 2% 以上で下がり続けてきたんだよ。

ブルームバーグ』で、同様の結論に達した新しい学術研究が伝えられている:

新研究によれば、CPI は物価変動の反映が遅れるという――さらに、同じくらい重要な点として、CPI は物価が上がったり下がったりする度合いを過少に示してしまう。この問題の出どころにさかのぼると、政府による住居費の計算方法にたどりつく。住居費は、この物価指標の3分の1を占める。

3名の経済学者が開発した代替の計測法では、物価が動くとすぐさまこれを把握し、さまざまな変化の全域を示している。大恐慌以来で最悪の景気後退が起きた 2008年〜2009年にもしもこれが存在していたなら、労働統計局が公表した数字よりはるかに深刻なデフレを示していたことだろう。新研究によれば、大不況のあいだに公式の CPI はインフレ率を年率 1.7 パーセントポイントから 4.2 パーセントポイントも過大に示していたという。さらに、もっと近年では、反対方向の問題も生じている:年率の数値が 0.3 から 0.9 パーセントポイントも過少に示されていたと著者たちは書いている。さまざまな予想では公式数値のたった 0.1〜0.2 パーセントポイント の上下変動で大騒ぎしているのを考えると、これは途方もない落差だ。

どれだけ落差が大きかったかわかるグラフを示そう:

実のところ、今回の訂正はぼくの予想よりもちょっとばかり大きかった。だが、彼らの手法が完璧でないとしても、基本的な論点は正しいことにほぼ疑問はない。経済の実際の市場物価を反映する代替の物価指標に比べて CPI は上下変動がおとなしい。

彼らが指摘している問題は、ぼくがかつて2009年に言及した問題に似ている。労働統計局は既存の契約での賃料支払いを計算につかっている。その数字には、現時点で賃貸物件が市場でいくらで貸し出されているのかが反映されない。不況時には、新しい店子が賃貸料1〜2ヶ月分を無料にしてもらえることはめずらしくない:

今回の研究を行なったのは、ペンシルバニア州立大学スミールカレッジオブビジネスの Brent Ambrose と Jiro Yoshida、そしてカリフォルニア大学 Merage Schoold of Business の Edward Coulson だ。研究の最新版は学術論文「住宅賃料とインフレ率」のタイトルで掲載されている。CPI との主なちがいは、新研究では新しい賃貸物件のみ(新しい店子の賃貸契約や以前からの店子が更新した契約を含む)を計測している点だ。これと対照的に、労働統計局は賃貸契約が直近の月に更新されていない店子が払った賃料も含めている。これにより、CPI は市場状況の変化を遅れて拾い上げることになっている。

CPI の重大な欠点にスポットライトを当てた Ambrose, Yoshida, Coulson の3人に拍手。多くのプロ経済学者たちはあまりに無批判に CPI を使ってしまっている。

スコット・サムナー「日本旅行を終えての感想」

Scott Sumner ”Back in the USATheMoneyIllusion, May 1, 2018

日本について書いた前回のポスト1 の続きをさらっと書いてみよう。小奇麗で魅力的,礼儀正しい成田空港を発ち,ごちゃごちゃしていてだらしなくて混沌としていて無秩序なロサンゼルス空港に到着すると,まさに横っ面をはたかれたような思いがする。特に最高なのは,まだ機内にいるうちに航空会社から税関申告書が配られるところだ。着陸した後,税関申告書を誰にも見せる機会はないのにだ。きっと乗客の時間つぶしのためとでも思っているんだろう。数独をやるのと同じように。その一方で,小さな家とコンクリートのビル,電線であふれた日本を訪れた後に見るオレンジ郡南部は楽園のようだ。アメリカと日本を比較するのは本当に難しい。お互いにそれぞれ違った長所と短所があるからだ。 [Read more…]

  1. 訳注;言及されている記事の邦訳はこちら(optical_frog氏訳) []

スコット・サムナー「大人向けSFとしての日本」

[Scott Sumner, “Japan as sci-fi for grown-ups,” The Money Illusion, May 2, 2018]

SFは,特に若者に人気だ.年をとるにつれ,宇宙旅行の物語への私の興味は薄れ,したがってSFを読むことは減って他の文学を読むことが増えた.でも,異世界の物語への興味が薄れたことはない.そして日本が面白いのはその点だ.東京の各部がそれほど未来的に見えるというわけじゃない.江戸時代の日本にだってある種 異世界の暮らしがあったし,それが西洋での暮らしより明らかに劣ってるってわけじゃなかった.実際,1700年まで戻ってみれば東京は世界最大の都市で,120万の人々が実に興味深い文化を育んでいた. [Read more…]

スコット・サムナー「日本は細部にあり」

[Scott Sumner, “Japan is in the details,” The Money Illusion, April 17, 2018]

ずっと前から日本にきてる人たちは、このポストは無視してほかのもっとためになるものを読んでもらった方がよさそうだ――たとえば、ノア・スミスの文章なんかがいいだろう。ともあれ、はじめての日本旅行についてちょっとばかりコメントを書こうと思う。現時点で、日程の6割を消化しているところだ。権威もないただの印象を書き綴った文章だと思ってほしい。
[Read more…]

スコット・サムナー「日本で何を見たらいい?」

Scott Sumner, “Japan Bleg”(TheMoneyIllusion, March 24, 2018)

来月、日本(東京、京都といくつかの地方)を訪問するので、どこに行ったらいいかオススメを教えてくれたらありがたい(食べるところよりも何を見るのがいいのかという路線で)。日本銀行には素晴らしい木版画の美術館があると聞いたが、ネット上で英語の情報を見つけられなかった。

若いとき僕が好きな国はイギリスだった。今は日本だ、そのほとんどの理由は日本美術だ。これは僕にとって初めての日本旅行になる。

それから、歩きの問題(足底筋膜炎かな?)についての提案もあったらありがたい。旅行中、僕はいつもたくさん歩くのだけど、ここ一ヶ月左足が痛む。

何年か振りの「本当の」休暇を楽しみにしてるよ!

スコット・サムナー 「マネーボールと『打率幻想』」(2011年11月3日)

●Scott Sumner, “Moneyball and “the batting average illusion””(TheMoneyIllusion, November 3, 2011)


野球界では打者(バッター)の力量を「打率」でもって測るという慣わしが何十年にもわたって続いていた。そんなある時のことだ。食品工場で夜間警備員の仕事をしていたビル・ジェームズという名の無名の人物が1970年代の後半に入って「王様は裸だ」と訴える一冊の本を出版した。野球界で重宝されている「打率」をはじめとした多くの指標は無価値だ――野球界に生きる誰も彼もが思い過ごしをしていて的外れな選手評価に明け暮れている(「打率」は打者の力量(攻撃力)を測る指標としては役立たずだ)――というのだ。

「打率」の計算ではシングルヒット(単打)もホームランも同等に扱われ、四球(フォアボール)は計算から除外される。四球を選ぶというのは一塁に進むためのまずまずの手であり得るにもかかわらずだ。私がビル・ジェームズの本を目にしたのは1980年代の初頭だったと記憶しているが、この本に書かれている内容に異を唱えられる人なんて誰もいないだろうと感じたものだ。ビル・ジェームズの主張の妥当性はそれほど歴然としていたのだ。「打率」の代わりにビル・ジェームズが考案したのが「OPS」――出塁率(OBP)と長打率(SLG)の和――だ。OPSでは「塁に出ること、塁を埋める走者を本塁まで生還させること」という「二つの目標」が同時に射程に収められている。

経済学の世界では「インフレ」および「インフレ目標」に肩入れする慣わしが長らく続いている。しかしながら、総需要ショックが原因でインフレが加速した場合も総供給ショックが原因でインフレが加速した場合もどちらも「インフレの加速」として同等に扱われるばかりか、インフレを測るための通常の物価指数では新築の住宅価格(住宅バブルの有無を読み取るための重要なデータ)は計算から除外されている。小さな大学に勤めるどこぞの無名の学者がひょっこり現れて「王様は裸だ」と声を上げるというのもありなんじゃなかろうか?

経済学の世界にも「OPS」のような単一の指標が必要とされている。(アメリカの中央銀行たる)Fedが掲げる「二つの目標」(「物価の安定+雇用の最大化」)がどちらも同時に射程に収められている指標、インフレだけではなく実体経済の動向にも目配りされていてFedがコントロール可能な指標。そんな指標が必要とされているのだ。何かいい候補ってある?

(追記)ビル・ジェームズは方々の出版社に自分のアイデアを売り込んだがどの出版社にも相手にされなかった。この男のアイデアを纏めた本を出したところで誰も興味を持ちはしないだろうと判断されたためだ。そのためビル・ジェームズは当初のうちは自費出版で本を出さざるを得なかった。翻って21世紀の今、金融政策の改革を訴える「改革派」の面々はおそらく己のアイデアをブログ上で「自費出版」せざるを得ないことだろう。

(追々記)ベックワースと私のどちらが(映画版『マネーボール』でビリー・ビーン役を演じた)ブラッド・ピットに似てると思う? 敵役は誰になるだろうね?(ロバート・マーフィーとか?)

(追々々記)ビル・ジェームズを乗り越えようと意気込む「統計オタク」もちらほらいる。出塁率と長打率をそのまま単純に足し合わせる(そうしてOPSを求める)のはいかがなものかと息巻いているようだ。心して聞いて欲しいが、「シンプルさの美」というのもあるのだよ。

(追々々々記)「ビル・ジェームズって誰?」という人のために告げておくと、ビル・ジェームズは2006年にタイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」のうちの一人に選出されている。野球に対する考え方を一変させたというのがその選出理由だ。

スコット・サムナー「日本は金融緩和をしていない,緩和が必要なのだ」

Scott Sumner “Japan doesn’t have easy money, but it needs itTheMoneyIllusion, March 4, 2018


金融政策にまつわる混乱については,時にやれやれと頭を振るしかないことがある。

日銀は2%のインフレ目標を設定している。インフレ率は少々上がっているものの,依然として目標には程遠い。もっと重要なのは,市場における指標は今後日本が2%目標を達成する見込みが薄いと示しているということだ。したがってこんな話はまったく意味が分からない。

「日銀政策委員会としては,2019年度頃には物価が2%に達すると見込んでいる。そうなった場合,出口について検討と議論を行うことに疑いはない」と黒田東彦日銀総裁は述べた。

誰か説明してくれないか?どうしてインフレが近いうちに2%に達するなんて日銀は考えているんだ?10年物国債の利回りは今のところゼロに近い。アメリカでは2.9%だというのに。

長引く緩和が銀行の利益を圧迫しているため,一部のアナリストは,2%の目標は20年もデフレに苦しんでいる国にとっては高すぎる水準であるとして,インフレが2%に達する前に金利を引き上げることを日銀に求めている。

インフレが2%に達する前に日銀が政策を引き締めても,1~2年の間に政策金利を再びゼロ%まで引き下げざるを得なくなることだろう。

追記:ここの表を私が誤読していないか誰か教えてくれないだろうか。ドルの先物ディスカウントの相場はベーシスポイントだろうか。この表では30年先物ドルがたった50円で取引されているということを示しているのだろうか。

スコット・サムナー 「イングラムの寓話の現実版?」(2013年1月17日)

●Scott Sumner, “Give that man the Bastiat Award!”(TheMoneyIllusion, January 17, 2013)


経済学の基礎を教える講義ではこんな感じの話が語られる。

ジェームズ・イングラム(James Ingram)が創作した寓話は自由貿易に伴っていかにして生産面での効率性の向上がもたらされるかを例証してもいる。イングラムが『International Economic Problems』(John Wiley, 1970)の中で物語っている寓話の主人公は「X氏」という名の秘密のベールに包まれた起業家。テレビに自動車、カメラ等々を安くで製造する驚くべき方法――穀物や石炭等々を原料としてテレビや自動車等々を作り出す方法――を発見した。X氏は世間に向けて公然とそう宣言すると早速ノースカロライナ州の沿岸部の広大な土地を買い取ってそこに工場を建設。企業秘密の厳守を条件に総勢5000名の従業員を雇い、穀物や石炭、各種機械の買い入れも開始。穀物や石炭を乗せた列車がX氏の工場になだれ込む一方で、テレビや自動車を乗せた列車がX氏の工場から全米の展示場へ向けて放たれる。「X氏はエジソンの再来だ!」、「いや、ベルの再来だ!」。X氏の名声は高まる一方。ウォール街の投資家たちの間でもX氏の会社は一目置かれる人気の会社へとのし上がっていくことに。

全米の消費者たちもX氏を称賛した。X氏の工場で作られる製品は従来のものよりもずっと安かったからだ。その一方で、同業のライバル他社がX氏を疎んじたことは言うまでもない。ライバル他社の間では議会に働きかけてそれぞれの工場に生産割り当てを課す法律を通そう(そうすることでX氏の工場の操業を縮小させよう)とする動きもあったが、その試みも水泡に帰する。「経済面での(痛みを伴う)調整は技術進歩に伴う避けられない副産物である」。そのように訴える某議員の議会演説は世間の語り草となったのであった。

そんなある日のことである。X氏の工場近くの海でとある少年がスキューバダイビングに励んでいた。買ったばかりの機材の調子を試すつもりで海中を泳いでいるうちにX氏の工場の周囲に張り巡らされている警戒網をたまたま潜り抜けてしまった少年はX氏の秘密を目の当たりにする。X氏の工場では何も作られてはいなかった。X氏の工場は輸出入品を積み降ろしするための巨大な倉庫に過ぎなかったのだ。X氏は穀物や石炭を海外に「輸出」して得られた代金でテレビや自動車を「輸入」する(海外から購入する)というかたちで穀物や石炭をテレビや自動車に変えていたのである。X氏の秘密はメディアを通じて暴露され、世間は一斉にX氏を糾弾、X氏の工場も閉鎖されてしまうことに。「アメリカ国民の生活が海外の安価な労働力に脅かされる危険から危機一髪のところで逃れることができた。アメリカ国内の産業技術の研究開発に向けてもっと公費を投入すべきだ」。議員連の間からはそのような訴えが口をついて出るのであった。

経済学の講義で学んだことを現実に応用するとその先にはどんな結果が待ち受けているかというと・・・1 

あまりに出来過ぎていて信じられないような話がネット上で広まっている。本当であって欲しい。是非とも本当であって欲しい。個人的にはそう思いたいところだ。ベライゾン社のブログによると、米国企業に雇われているソフトウェア開発者が自分の仕事を中国に外注しているのが判明したという。そして浮いた時間を使って何をしていたかというと、・・・YouTubeで猫の動画を見ていたというのだ。

・・・(中略)・・・

ベライゾン社の調査によると、ボブは自分が任されているプログラミングの仕事を(中国の)瀋陽を拠点とするソフトウェア専門のコンサルタントに外注し、社内ネットワークにアクセスするために必要な2段階認証のトークン(パスワード)もあわせて外注先に「郵送」してボブ名義のアカウントでログインできるように手を打っていたという。ボブは外注先に自分が受け取る6桁の給与の5分の1に相当する金額を支払い、浮いた時間を「その他の活動」に費やしていたという。

「その他の活動」の中身とは? 以下がそれだ。

午前9時 – 会社に到着。数時間ほどRedditの閲覧。YouTubeで猫の動画を見る。
午前11時30分 – 昼食
午後1時 – ebayに出没
午後2時頃 – Facebook、LinkedInの更新
午後4時30分 – 今日一日の業務の進捗状況をメールで上司に報告
午後5時 – 退社

カスタードクリーム入りのビスケットをひたすら満喫するかのような一日。天国のような一日だが、かといってボブの生産性に悪影響を及ぼすようなことにはならなかったようだ。とある情報によると、「ボブのプログラムは無駄がなくてよく書けている。納期もきちんと守る。人事評価で社内イチの開発者という評価も何度も受けている」とのこと。

The Registerが伝えるところによると、ボブは会社をクビになったそうだ。悲劇、大いなる悲劇だ。

昨日も漏らしたばかりだが、どうやら世間の皆々様方は経済学流の考え方が大いにお嫌いなようだ。

  1. 訳注;リンク切れ。代わりに例えばこちらを参照されたい。 []