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アセモグル他「偽情報:戦略的シェア、類友、内生的エコーチャンバー」(2021年6月30日)

Daron Acemoğlu, Asuman Ozdaglar, James Siderius “Misinformation: Strategic sharing, homophily, and endogenous echo chambersVOXEU, 30 June 2021

偽情報(misinformation)はソーシャルメディアプラットフォームで急速に広がる。本稿では、オンラインにおけるコンテンツシェアのモデルを用い、コンテンツへのエンゲージメントを最大化したいと考えるソーシャルメディアプラットフォームは極端な記事を最も極端な利用者たちに広めることを示す。「フィルターバブル」は極端な考えを持つ人たち以外にそうしたコンテンツが広がることを妨げ、偽情報がぐるぐると流れるエコーチャンバーを作り出す。検閲とそれによるエンゲージメントの喪失の脅威によってプラットフォームが自らファクトチェックを行うよう圧力をかけることができる一方、彼らのアルゴリズムに対する規制もフィルターバブルによる効果を軽減することができる。

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ホアン・コスタ=フォント「ワクチン接種の社会的価値とインセンティブ」(2021年6月29日)

Joan Costa-Font “Social value and incentives for vaccine uptakeVOXEU, 29 June 2021

新型コロナワクチンは、個人の感染防御効果を越える大きな正の波及効果をもたらし、そのためその価値は費用を大きく上回る。しかし、こうした便益は十分な人数が2回接種を受けた場合にのみ実現するものであり、したがって政策決定者はワクチン接種忌避を緩和するための適切なインセンティブを確保する必要がある。本稿では、考えられる様々なインセンティブを検討したうえで、ワクチンを受けることによる社会からの敬意についてのナラティブを生み出すことが、広範なワクチン接種を確保するうえでの最も効果的な方法となりうると主張する。

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オーター他「家庭環境の悪さは女子より男子に響く」(2021年6月11日)

David Autor, David Figlio, Krzysztof Karbownik, Jeffrey Roth, Melanie Wasserman “Low-performing boys are particularly affected by family environmentVOXEU, 11 June 2021

初等学校においては、たとえば女子の方が男子よりも読解の成績が良い傾向にあったり、停学になるような問題行動を起こす可能性が低いなど、わずかなジェンダー格差が表れる。本稿では、アメリカのフロリダ州のデータを用い、こうしたわずかな格差がその後の学業成果においては、中等教育の修了や高等教育への進学・卒業といった大きなジェンダー格差へとなぜ変わるのかを検討する。幼少期の家族環境が男子に及ぼす影響は異なり、特に学校成績や出席率で下位に分布する男子ほどそれが顕著であることが分かった。

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Ball et al.「アメリカのインフレ率:離陸確実か?」(2021年5月7日)

[Laurence Ball, Gita Gopinath, Daniel Leigh, Prachi Mishra, Antonio Spilimbergo, “US inflation: Set for take-off?” VoxEU, May 7, 2021]

いまアメリカで進行中の財政拡大はどこまでインフレを押し上げると見込まれるだろうか? 本コラムでは,次のことを示す新たな証拠を提示する――すなわち,COVID-19 危機がはじまって以降,これまでのところ,消費者物価指数 (CPI) の基調(加重中央値)は安定して下がってきている.これは,歴史的なフィリップス曲線の関係からおおむね予測されるとおりだ.一部の論者が予測するように進行中の財政拡大によって失業率が 1.5%~3.5% に下がったら,2023年までにインフレ率の基調は約 2.5%~3% にまで上がりうる.財政拡大が一時的なものにとどまり,金融政策が引き続き断固としたものでありつづけ,明快にこれが〔世間に〕伝えられつづければ,1960年代タイプのインフレスパイラルのリスクはほぼないにひとしい.
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Björkegren, Lindahl, Palme & Simeonova なぜ教育のある親の子供達は健康なのか:環境要素と遺伝要素 (2021年3月11日)

VoxEUのコラムの翻訳です。

裕福な家庭の子供達は貧しい子供達よりも健康的である事がおおいことはよく知られている。しかしそういった健康状態の原因が遺伝的なものか環境的なものなのかを区別するのは依然として困難だ。我々はスウェーデンの子供達についての大規模なデータを用いて、遺伝上の親に育てられた子供達と養子となったものたちを比較し、両親の教育水準と子供達の長期的な健康状態との間のつながりは、認知・非認知スキルの形成から健康に関連する生活習慣といった媒介要因によるものである事、そして主たる要因は子供達の人的資本への投資である事を発見した。

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Aghion et al. 「経済成長を確実にするべくゼロCovid-19を目指す」(2021年3月31日)

[Philippe Aghion, Patrick Artus, Miquel Oliu-Barton, Bary Pradelski, “Aiming for zero Covid-19 to ensure economic growth,” VoxEU, March 31, 2021]

【要旨】 パンデミックが1年以上も続くなかで,健康と経済のトレードオフはないことがはっきりしてきた.パンデミックの管理に成功をおさめるかどうかは,コロナウイルスのない安全地帯をめざしこれを守るかどうかに左右されてきた.本コラムでは,迅速な駆逐戦略を選択することで世界の数カ国はウイルスを制御下においたことを論じる.そうした国々は,死者数と不確実性を最低限におさえることでこれに成功し,いまやすでに経済の再建をすすめている.これと対照的に,大半の欧州諸国はストップ・アンド・ゴーの論理にしたがった.だが,ストップ・アンド・ゴーの方がより〔人々の自由への〕制限が強く,より危険で,経済への打撃がより大きかった.
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Coibion et al.「インフレ予想は家計の支出意志決定にどう影響するか」(2021年3月19日)

[Olivier Coibion, Yuriy Gorodnichenko, Michael Weber, “How inflation expectations affect households’ spending decisions,” VoxEU, March 19, 2021]

【要旨】 先進国の家計は,インフレについてかなり知識にとぼしい.それはつまり,家計は自分たちの経済的な意志決定にあたってインフレを無視しているということだろうか? 本コラムでは,無作為化対照実験・大規模調査・支出データをもちいて,その答えが「ノー」であることを示す.家計が自分たちのインフレ予想を変えると,それによって彼らの支出意志決定が因果的に変わる.このことから,家計の予想に影響を及ぼす〔中央銀行の〕コミュニケーション戦略は,家計の意志決定にも影響を及ぼすと予想できる.
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Gollin et al. 「農業が発展の原動力となるとき:グリーン革命からわかること」(2021年3月20日)

[Douglas Gollin, Casper Worm Hansen, Asger Mose Wingender, “When agriculture drives development: Lessons from the Green Revolution,” VoxEU, March 20, 2021]

【要旨】グリーン革命は,現代の育種技術と多収性品種の応用にもとづいて農業イノベーションがなされた重要なエピソードだった.本コラムでは,発展途上国におけるグリーン革命の文脈で農業生産性成長がもたらした経済効果を検討する.食用作物の収穫量,一人当たり GDP,学校教育,平均寿命に農業生産性はプラスの影響をもたらす.だが,その影響は国々で均等ではない.気候変動に直面するなかで,途上国向け農業科学への投資は,こうした利得を今後数十年にわたって維持する力を秘めているかもしれない.
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Taneja et al.「在宅勤務でイギリスの労働市場が様変わりしつつある」(2021年3月15日)

[Shivani Taneja, Paul Mizen, Nicholas Bloom, “Working from home is revolutionising the UK labour market,” VoxEU, March 15, 2021]

【要旨】 パンデミックが始まってから,在宅勤務についての考え方・評価は大きく変わってきている.本コラムでは,イギリスで勤労世代5,000名を対象に2021年1月から2月にかけて実施した調査から得られた知見を論じる.同調査からは,イギリスの労働力のおよそ半数がいま自宅から勤務しているのがうかがえる.ポスト・コロナウイルスの勤務パターンでもっとも多く予想されているのは,週2日を自宅で勤務するかたちだ.多くの大~中規模事業者にとって,これはさまざまな含意をもつ.

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マクリアド & ウルキオラ「合衆国に最良の研究大学がある理由:インセンティブ・リソース・好循環」(2021年2月22日)

[W. Bentley MacLeod & Miguel Urquiola, “Why the US currently has the best research universities: Incentives, resources, and virtuous circles,” VoxEU, February 22, 2021]

【要旨】1875年に,世界の先進的研究大学は合衆国内にひとつもなかった.今日,上位大学の大多数が合衆国内にある.多くの観測筋は,この逆転の要因として第二次世界大戦前後の出来事を引く.だが,合衆国の大学は第二次世界大戦の前から,研究の先頭集団になりはじめていた.本コラムでは,合衆国の大学が研究を先導するにいたった理由の説明は,もっと前の時期から始めなくてはならないと主張する.そこで注目するのは,南北戦争後にはじまった改革によって,制度が研究に振り向ける各種のインセンティブやリソースが強化された点だ.
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