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ブランコ・ミラノヴィッチ「民主主義サミットは(世界に)害悪を与えるアイデアである」(2021年12月7日)

The Summit of Democracies is a wrong idea (for the world)
Tuesday, December 7, 2021
Posted by Branko Milanovic

12月9~10日に開催される「民主主義サミット」は、100カ国以上から大統領、首相、国王の出席が予定されている。このサミットは、民主主義の原則が国政に適用されている(あるいは表向き適用されている)ことが参加条件となっている歴史上初の国際会議だ。

このサミットに関しては、3つの見解が寄せられている。ナイーブな見解では、集まった国々が自国内での民主主義の原則の適用を改善するため互いに学び合うことに関心をもって皆で集まる会合である、というものだ。(もっとも、そういった場は他にもたくさんあり、新たに創設する必要はなかったのだが…)。もっとリアリスティックな見解では、国連人権保障として具現化されている野心的な理想を適応する前提に立ち、自国の〔民主主義の〕統治モデルをグローバルに推し進めようとする国家間の穏やかな連合体を創設する試みである、というものだ。しかし、最もリアリスティック見解に立てば、中国やロシアとの地政学的対立が激化する渦中に、アメリカがイデオロギー的闘争を先導するための利用手段として、なりふり構わわない国家の連合体を創設する序曲である、と見做すことだろう。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「ノルウェーは新しい東インド会社?」(2021年7月23日)

Is Norway the new East India Company?
Friday, July 23, 2021
Posted by Branko Milanovic

18世紀、イギリスに主導された東インド会社は、インドを段階的にほぼ全土支配した。東インド会社による支配は、インドからすれば災難であったが、会社の役員や株主の多くは巨額の富を手に入れている。役員や株主らは、この富を利用して、イギリスの政界、知識人階層、財界で重要な役割を果たした。アダム・スミスは東インド会社を徹底的に批判し、「国家による排他的な商業企業は、おそらく、あらゆる国家とって最悪の政府である」と述べた。東インド会社によるあまりに酷い略奪行為を目にしたイギリス政府は、ナポレオン戦争の最中に、ついにインド貿易の独占権を剥奪している。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「孤独のグルメ…超競争社会の中で」(2017年11月2日)

Dining alone…in a hyper-competitive world
Thursday, November 2, 2017
Posted by Branko Milanovic

ニューヨークでほぼ一人4年間暮らし、少なくとも400回は一人で夕食を食べてきたので、孤食について…そしてそれが私たちが住む世界について何を教えてくれるかに意見を述べる権利を私は有していると思う。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「格差研究の歴史」(2020年11月8日)

The history of global inequality studies
Sunday, November 8, 2020
Posted by Branko Milanovic

 私はこの間、グローバル格差研究の起源について、クリスチャン・クリスチャンセンによって書かれた非常に素晴らしい論文を読んだ。この論文はまだ発表されていないためここで引用することはしないが、興味のある読者には、これと同じテーマを扱った、彼とスティーブン・ジェンセン(編集者)による素晴らしい著書『Histories of Global Inequality(グローバル格差の歴史)』に収められた、特にイントロダクションの論文を読むことを勧める。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』 いくつかのマルクス主義的論点:ロマリック・ゴダンの書評への返答」(2020年10月4日)

Branko Milanovic “On several Marxist themes in “Capitalism, Alone”: My reply to Romaric Godin’s reviewglobalinequality, October 4, 2020

 ロマリック・ゴダン1 が “Capitalism alone” 仏語版(邦訳『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』〔西川美樹訳、みすず書房、2021年〕)についてとても刺激的な書評を最近書いてくれた。「資本主義に関するブランコ・ミラノビッチの不完全な考察」といういくぶん挑発的なタイトルだ。以下では、考察が不完全にとどまらざるをえない場合がある理由に加え、私の考えを更に少しだけ明確化し、可能であれば議論をさらに前に進めるために数点はっきりとさせておきたい。

書評の最初の部分にある「資本主義だけ残った」の主要点についてのゴダンの要約は素晴らしい出来で全く異論はないが、その例外として共産主義に関する私の定義について明確化したい。その上で、ロマリック・ゴダンの非常に具体的な4つの批判をおさらいした上で、それらへの回答を試みることとする。

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  1. 訳注;経済分野を主とする仏ジャーナリスト。Mediapart所属。元La Tribune紙副編集長。 []

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』世界の芸術家の役割」(2021年2月8日)

The problems of authenticity under capitalism
Monday, February 8, 2021
Posted by Branko Milanovic

 『Capitalism, Alone』〔邦題『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』西川美樹訳、みすず書房、2021年〕の最終章で、私は、富の拡大によってもたらされる私生活の様々な変化(と、それによってこれまで家族の中で提供されていたサービスが商品として調達できるようになること)と、私生活の中に資本主義的関係性が「侵入」してくることによる、私生活の様々な変化について論じている。論じた問題の内の1つが、高度に商業化された社会では家族の有用性が低下し、社会が豊かになっていくにつれて、家族の人数が明らかに減少していく(というよりもむしろ、孤独な生活への選好が見られる)現象である。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』よくある批判への回答:アリッサ・バティストーニの書評について」(2021年5月14日)

Capital gains: My reply to Alyssa Battistoni
Friday, May 14, 2021
Posted by Branko Milanovic

アリッサ・バティストーニは、私の“Capitalism alone”〔『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』〔西川美樹訳、みすず書房、2021年〕〕への優れた書評で、私の本を非常に的確に要約し、良い指摘をたくさんしてくれたので、ぜひ一読されることをお勧めする。しかし、バティストーニは、本書で提示されたアイデアに同意しない点を3つ挙げている。

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ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』の著者が明かす四つの重要な裏テーマ」(2019年9月24日)

Capitalism, Alone: Four important–but somewhat hidden–themes
Tuesday, September 24, 2019
Posted by Branko Milanovic

〔訳注:本エントリで紹介されているミラノヴィッチの書籍“Capitalism, Alone”は、『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』〔西川美樹訳、みすず書房、2021年〕として邦訳出版されている〕

この記事では、私の著書“Capitalism, Alone”から、重要だが、すぐには見えてこないであろう四つのテーマを解説する。本記事ではやや抽象的で哲学的な問題を手短に解説しているが、書籍の方は読者やレビュアーの関心を引きそうな、もっと話題性のあるテーマを多く含んでいる。

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ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』ギリシャ語版出版記念インタビュー」(2021年1月16日)

On “Capitalism, Alone”: On the occasion of Greek-language publication
Saturday, January 16, 2021
Posted by Branko Milanovic

〔訳注:インタビュー対象となっているミラノヴィッチの書籍“Capitalism, Alone”は、『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』〔西川美樹訳、みすず書房、2021年〕として邦訳出版されている〕

――あなたが言っているように、資本主義にオルタナティブが存在しないのなら、フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』について語ったのは正しかったのでしょうか?

完全に賛成してはいません。フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」では、世界中が「リベラル資本主義」で支配されることが想定されていました。これは、私たちの観察事実と違っているでしょう。それどころか、〔資本主義の〕政治組織には様々な形態があり、1つの形態だけが存在するわけではありません。私が「政治的資本主義」と呼んでいる資本主義(中国、ベトナム、シンガポールなどが代表です)は、非リベラルな政治形態の一例となっています。もっとも、資本主義が、地理的にも価値観の点でも現状において優位であることに、議論の余地はないでしょう。ただ、そういった議論はいかなる時でも歴史的見地における発達過程として把握すべきであり、歴史の「終着点」として捉えるべきではありません。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「『資本主義だけ残った』:ブルガリア語版出版記念インタビュー」(2020年12月26日)

On “Capitalism, Alone”: A conversation
Saturday, December 26, 2020
Posted by Branko Milanovic

この記事は、ブルガリア語版『Capitalism, Alone』〔邦題『資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来』西川美樹訳、みすず書房、2021年〕の出版に際して、セガ新聞に寄せたインタビュー記事だ。ブルガリア語での記事はこちら

1. ユーゴスラビアで育ち、ベオグラード大学で博士号を取得したことは、あなたの世界観やあなたの研究にどのような影響を与えてきたと思いますか。

私に影響を与えたのは、主にユーゴスラビアの非同盟外交政策だったと思います。イデオロギー的な動機から学校で教えられたことの中にも、非同盟、つまり反帝国主義や反覇権主義(これはソ連のこと)に重点を置いたものがありました。このおかげで、私たちは世界の非ヨーロッパ圏にも心を開き、関心を持つことができたのです。全員に同じ影響があったわけではないでしょうが、私は10代の頃ですら、とても政治的でとても「第三世界主義(Tiermondiste)1 」的でした。私が知る限り、セルビアや旧ユーゴスラビアの他の地域の学校では、今では同じような考え方が見られず、残念に思うことがあります。現在は、欧州連合(EU)という形のヨーロッパ中心主義が支配的で、ヨーロッパ以外への関心が抑圧されています。 [Read more…]

  1. 訳註:米ソに与しない国々の団結を推進する考え方 []