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ブランコ・ミラノヴィッチ「不平等と新型コロナウイルス」(2020年9月15日)

Inequalities and Covid-19
Posted by Branko Milanovic on Tuesday, September 15, 2020

不平等というのは様々である。所得と富の格差だけではなく、性別、人種、年齢、国内の地域単位などにおいても不平等は存在している。ニューヨークのような街を散歩していると、あるエリアから別のエリアへと歩いただけで格差が見て取れる。

そのため、(様々な形で)不平等とパンデミックの影響にしばしば関連性が見られるのは特に不思議なことではない。私が思うに、これはアメリカにおいて非常に明白であるが、おそらく南アフリカやペルー、チリ、ブラジル、インドと言った甚大な被害を受けた他の国においても同じである。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ「コロナ後の世界」(2020年3月28日)

The world after corona
Posted by Branko Milanovic on Saturday, March 28, 2020

パンデミックが世界の所得分配に与える影響について何か言えるだろうか? パンデミックがいつまで続くのか、どれだけの国が影響を受けるのか、人が何人死ぬことになるのか、社会機構が崩壊してしまうのかどうか、今はこれらになんら意味のあることは言えない。我々は真っ暗闇の中にいるのだ。今日言ったことのほとんどは、明日には間違いだったと証明されるかもしれない。もし誰か正しい人がいれば、それはその人が必ずしも賢明なのでなく、運がよかっただけだ。ただ、このような危機下では、運は大いに価値がある。 [Read more…]

ブランコ・ミラノヴィッチ 「史上最も狡猾な敵」(2020年3月14日)

●Branko Milanovic, “The most insidious enemy”(globalinequality, March 14, 2020)


戦争よりも始末が悪い敵。そいつ(新型コロナウイルス)のせいで犠牲になる人の数は、戦争で犠牲になる人の数よりも少ないとしてもだ。

戦争よりも始末が悪いのはなぜか? 戦争では、線引きがはっきりとしているからだ。微塵も疑ったことがない隣人が敵になる。戦争では、そういうことがあり得る。しかし、両親が敵になることはない。兄弟姉妹が敵になることはない。我が子が敵になることはない。配偶者が敵になることはない。

そいつは、他人を愛する人を襲う。

そいつは、友を欲する人の命を奪う。世話好きの命を奪う。団欒(だんらん)好きの命を奪う。

そいつから逃れて平和に生きるためには、この世界から自分を切り離すしかない。孤独で氷のように冷たい世界に閉じこもって、そこから二度と出てこないでいられるだけの強い意志と冷淡さを持つしかない。

そいつの「目的」は、社会を破壊すること。

そいつの「目的」は、あなたを生かすために命も惜しまない人にあなたの命を奪わせること。

ブランコ・ミラノヴィッチ 「『労働の配分』と感染症」(2020年3月21日)

●Branko Milanovic, “Four types of labor and the epidemic”(globalinequality, March 21, 2020)


政策当局者にしても、一般大衆にしても、株価だの、会社の財政状況(資金繰り)だのといった「金融指標」に視線を注いでいるが、それは間違っている。フォーリン・アフェアーズ誌に寄稿したばかりの記事で、そのように述べた。株価を維持したり、会社の資金繰りを支援したりすることは、重要じゃないと言いたいわけではない。経済活動に深刻な混乱が生じているような状況では、戦争に類似した危機に見舞われている最中では、(第二次世界大戦中の米国も含めて、過去のあらゆる戦争時にそうであったように)「物理的な数量」にこそ目を向けるべきなのだ。「金融指標」への注目は、そのことから目を逸らせるだけでしかないのだ。

現下の問題を「労働の配分」という観点から考察してみるとしよう。とりあえず、世にある労働(職業)を以下の4つのタイプにおおまかに分類するとしよう。(A) 医者をはじめとした医療関係者, (B) オンライン小売業界で働く従業員, (C) 物理的な財の生産に従事する人々(工場労働者など), (D) 専門職(教師、エンジニア、デザイナーなど)。それぞれの部門の就業者数は、需要(求人)と供給(求職)が釣り合う水準に決まってくる。

「感染症の流行」のような甚大なショックは、部門別の労働需要にアンバランスな(不均一な)影響を及ぼすことになる。危機に見舞われた後の新しい状況では、それまでの「労働の配分」は理想的な配分から大きくかけ離れてしまうことになるのだ。 感染症の流行に伴って、(A) 部門における労働需要(求人数)は急激に増える。(B) 部門における労働需要も増えるだろう。外出が控えられて、ネットショッピングが増えるだろうからだ。その一方で、(C) 部門における労働需要は減る。(D) 部門に関しては、労働需要に大きな変化は無いだろう。感染症に特有の事象も考慮せねばならない。(B) 、(C)、(D) の三部門での経済活動が継続されたら、感染者が増える可能性が高いのだ(感染拡大の多くが職場内での感染というかたちをとるとすれば、だ)。そうなれば、(A) 部門で働く人々にさらに負担がかかることになる。あまりに忙しくなりすぎて、過労死で亡くなる人も出てくることだろう。ところで、(B) 、(C)、(D) の三部門の活動が完全に停止されたらどうなるだろうか。(B) 、(C)、(D) の三部門で働く人々全員に自宅待機が命じられたらどうなるだろうか。新たな感染者はきっと減るだろう。「隔離」の狙いも同じところにある。 [Read more…]