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タイラー・コーエン「スウェーデンでは,ワクチン接種した人にお金をあげるんですって(実験で)」(2021年7月26日)

[Tyler Cowen, “Sweden will pay people to get vaccinated,” Marginal Revolution, July 26, 2021]

少額の現金インセンティブでワクチン接種が改善できるかどうかを検証するヨーロッパ最大規模のテストで,スウェーデンのボランティアたちは免疫化に1人当たり17ポンド支払われる(…)

ルンド大学の経済学教授 Erik Wengstrom が主導するスウェーデンの研究では,もっと穏当な手法が用いられている.

今後数週間にわたって,60歳以下でワクチン未接種の人々 8,200名が複数のグループにわけられる.一部のグループは,ワクチンを接種すれば,たいていの店舗で利用できる200スウェーデンクローナ(およそ2,550円)相当のバウチャーが渡される.

このお金は,他国で検討中の金額に比べて数割だが,Wengstrom によれば,せいぜい25ドルも払えば人々にワクチン接種をなっとくさせられるという証拠がアメリカで得られているという.

Wengstrom は言う:「みんな,ワクチン接種を受ける意思ならもちあわせているのに,ほんのちょっとした面倒があったりいつも都合がつかなかったりしているのかもしれません.だったら,少額のインセンティブが役に立ちます.」

他のグループの参加者たちは,「ナッジ」手法の対象となる――ナッジとは,特定の選択肢に誘導することで人々の行動に影響を及ぼそうとする試みのことだ.

ワクチンの便益と副反応に関するリーフレットをもらう人たちもいるし,ワクチンを接種するよう他人を説得する最良の論証を考えるように頼まれる人たちもいる.そして,3つ目のグループは,自分の最愛の人たちのリストを書くように頼まれる.「ようするに,ワクチン接種で他人がどんな風に守れるかもしれないか考えるように後押ししているわけです」と Wengstrom は言う.

London Times の記事全文はこちら

タイラー・コーエン「どうして女性が STEM 系の広告を目にする機会は男性より少ないの?」(2021年7月26日)

[Tyler Cowen, “They modeled this — why women might see fewer STEM ads,” Marginal Revolution, July 26, 2021]

科学・テクノロジー系の各種職業に手引きする広告を女性が目にする機会は,男性よりも少ない.だが,企業が選り好みして男性を対象に広告を展開しているからではない――そうではなく,どうやら広告販売の経済事情の結果としてそうなっているらしい.
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タイラー・コーエン 「『精神病的傾向』が高いのは『保守派』ではなく『リベラル派』? ~社会科学の悲しき現状~」(2016年7月15日)

●Tyler Cowen, “How social science got the “psychoticism” factor wrong”(Marginal Revolution, July 15, 2016)


「『保守派』は『精神病的傾向』(を測る尺度の値)が高い傾向にある」との結果を得た論文1には統計データの処理で誤りがあって、本来は「『リベラル派』は『精神病的傾向』(を測る尺度の値)が高い傾向にある」というのが正しかった・・・ってな話があったのは覚えてるだろうか? そもそもの話として、いかにして誤りが起きたんだろうか? 誤りが修正されるまでに長い時間がかかったのはどうしてなんだろうか? この件についてジェシー・シンガル(Jesse Singal)がスクープを報じている。少しだけ引用しておくと、 [Read more…]

  1. 訳注;本サイトで訳出されている次のエントリーで紹介されている論文がそれ。 ●タイラー・コーエン 「パーソナリティーと政治意識の複雑な関係」(2021年7月19日) []

ノア・スミス「貧困との戦争は成功だった」(2021年7月9日)

[Noah Smith, “The War on Poverty was a success,” Noahsmith, July 9, 2021]

貧困はいまもアメリカ国内にあるけれど,ずいぶん減少した.リンドン・ジョンソンのおかげだ.

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アレックス・タバロック「ワクチンで死者数は劇的に減る」(2021年7月21日)

[Alex Tabarrok, “Vaccines Dramatically Reduce Deaths,” Marginal Revolution, July 21, 2021]

New Statesman に,すごくいいグラフが載っていた.ワクチンを接種すると,ウイルスと戦う体が大きく有利になる.そのおかげで,感染が広がったときにすら,死者数は劇的に減少する.これはイギリスのデータだけど,同じタイプの関係はどこでも成り立つはずだ.
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ノア・スミス「うん,専門家はたまに嘘をつくよ」(2021年3月28日)

[Noah Smith, “Yes, experts will lie to you sometimes: Econ gives us an example of when and why this happens,” Noahpinion, March 28, 2021]

いつ・どんなときに専門家が嘘をつくか,経済学者が一例を示そう.

[▲ 「真理なんておまえらの手に負えない! 真理が似つかわしくないんだよおまえらには! 真理を扱うおまえらの能力なんてお笑い草だ!]
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タイラー・コーエン 「パーソナリティーと政治意識の複雑な関係」(2016年3月8日)

●Tyler Cowen, “Does personality cause politics?”(Marginal Revolution, March 8, 2016)


まずはじめの分析では、性格特性(パーソナリティー)と政治意識(政治的態度)との間に統計的に有意な相関関係が見出された。とりわけ特筆すべき結果をまとめると、以下のようになる。アイゼンクのP〔Pというのは、「精神病的傾向」(“Psychoticism”)の頭文字を表している。いくらか複雑な尺度〕の値が高い人ほど1、(同性愛だとか中絶だとかに不寛容であり、安全保障問題でタカ派寄りという意味で)保守寄りの傾向が強い。社会的望ましさ(Social Desirability)を測る尺度の値が高い人ほど2、(同性愛だとか中絶だとかに寛容という意味で)社会問題に関してリベラル寄りの傾向が強い。神経症的な傾向を測る尺度の値が高い人ほど3、(経済的な弱者の救済を意図した公共政策に好意的という意味で)経済問題に関してリベラル寄りの傾向が強い〔ゴシック体による強調は、引用者によるもの〕。オーストラリア人を対象とした同様の研究 (Verhulst, Hatemi, and Martin 2010)でも、我々の分析と整合的な結果が得られている。

双子のデータが分析対象になっているとのこと。以下に引用する議論には、ひどく興味を引かれた。性格特性から政治意識へという因果の向きで片がつく話じゃないようだ。

本稿で得られた一連の結果は、性格特性こそが政治意識を育(はぐく)む原因であると想定しているいくつかの先行研究(例えば、Gerber et al. 2010; Mondak et al. 2010)に真っ向から異を唱える格好になっている。性格特性が原因でリベラル寄り(ないしは保守寄り)になるわけではなく、性格特性と政治意識との間にはそれとは別の二通りの関係性が成り立つ可能性があるのだ。同じ遺伝子の組が性格特性と政治意識の双方に影響を及ぼしているというのが第一の関係性だ。これはコレスキー分解と因果モデルの分析結果から示唆される関係性だが、遺伝子という先天的な要因こそが性格特性と政治意識との間の相関関係を成り立たせているというわけだ(図1の右側のパネルを参照)。さらには、因果モデルの分析結果によると、逆向きの因果――政治意識こそが性格特性を育むという第二の関係性――が成り立つ可能性も示唆されている。すなわち、政治意識の違いを生む遺伝子の組が性格特性の違いを生んでいる可能性があるのだ。これはいくつかの先行研究(例えば、Gerber et al. 2010; Mondak et al. 2010)で想定されているのとは正反対の因果関係だが、政治意識の違いを生む遺伝子が性格特性の個人差を徐々に育んでいく可能性があるわけだ。この観点からすると、政治意識というのは、行動や環境の選択を左右する生来の気質の一つということになろう――政治意識がはっきりとかたちをとる(リベラル寄りになるか、保守寄りになるかが決まる)までには、しばらく待つ必要があるとしても――。遺伝子という要因にすべてを帰すことができるのかどうか、性格特性と政治意識との間に双方向の因果関係が成り立つのかどうかという点については議論の余地があるが、いずれにせよ、性格特性こそが政治意識を育む原因であるとの広く受け入れられている想定を大きく見直す必要があるとは言えよう。

全文はこちら

  1. 訳注;アイゼンクのPの値が高いほど、頑固だったり、協調性が低かったりする傾向にある。 []
  2. 訳注;社会的望ましさを測る尺度の値が高いほど、周りからよく見られたい(自分をよく見せたい)と思う気持ちが強い傾向にある。 []
  3. 訳注;神経症的な傾向を測る尺度の値が高いほど、不安を感じやすくて悲観的な傾向にある。 []

ブランコ・ミラノヴィッチ「孤独のグルメ…超競争社会の中で」(2017年11月2日)

Dining alone…in a hyper-competitive world
Thursday, November 2, 2017
Posted by Branko Milanovic

ニューヨークでほぼ一人4年間暮らし、少なくとも400回は一人で夕食を食べてきたので、孤食について…そしてそれが私たちが住む世界について何を教えてくれるかに意見を述べる権利を私は有していると思う。 [Read more…]

アレックス・タバロック「どうして女性の稼ぎは男性よりも少ないの? バスと列車の乗務員たちから得られる証拠」(2021年7月14日)

[Alex Tabarrok, “Why Do Women Earn Less Than Men? Evidence from Bus and Train Operators,” Marginal Revolution, July 14, 2021]

近く刊行される『労働経済学ジャーナル』(Journal of Labor Economics) に掲載される優れた労働経済学者 Valentin Bolotnyy & Natalia Emanuel の論文(閲覧制限なし)から抜粋:
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ノア・スミス「経済学って,政府がなにもしないことの言い訳なんでしょ?」(2021年7月6日)

[Noah Smith, “Is economics an excuse for inaction?” Noahpinion, July 6, 2021]

いや,ちがうよ.でも,みんながそう思うだけの理由はあるよ.


〔▲ 労働階級(右)が支配階級/億万長者(左)に銃をぶっ放そうとしてるところに経済学者ではなくウォールストリート・ジャーナルが身を挺してかばう,の図〕
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