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アレックス・タバロック 「ウォー・ポリティクス ~国内景気、戦争、大統領選挙~」(2004年4月14日)

●Alex Tabarrok, “War Politics”(Marginal Revolution, April 14, 2004)


あれは1995年のこと。経済学の世界で最も権威のある学術雑誌であるアメリカン・エコノミック・レビュー誌に一篇の論文が掲載された。その論文とは、“War Politics: An Economic, Rational-Voter Framework”。著者はグレゴリー・ヘス(Gregory Hess)&アタナシオス・オルファニデス(Athanasios Orphanides)の二人。アメリカン・エコノミック・レビュー誌の長い歴史の中でも一二を争うくらい物議を醸した論文の一つだ。

「国内経済の舵を取る能力」に「戦争を指揮する能力」。有権者はその二つのマネジメント能力を行政府の長(大統領)に求める。本論文ではそのようにモデル化されている。二期目を狙う現職の大統領が再選を果たすためには、「国内経済の舵を取る能力」と「戦争を指揮する能力」の二つのマネジメント能力の面で挑戦者(対立候補)よりも秀でていることを有権者に納得してもらわねばならないというわけだ。 [Read more…]

アレックス・タバロック「透明性を高めすぎると世の中いっそう不透明になる」(2020年1月10日)

[Alex Tabarrok, “Too much transparency makes the world more opaque,” Marginal Revolution, January 10, 2020]

『ニューヨークタイムズ』のキャスリン・キンズバリーの論説ページを見ると,誇らしげにこう宣言している――これまで伝統的に,選挙の候補者たちとオフレコで話したあとに,自分たちが支持する候補を公表するやり方をとってきたけれど,今後は完全に「透明に」するんだそうだ.
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タイラー・コーエン「40年前のトラクターがいまアツい――実用品として」(2020年1月8日)

[Tyler Cowen, “40-year-old tractors are now a hot commodity,” Marginal Revolution, January 8, 2020]

1970年代後半から1980年代にかけて生産されたトラクターが中西部でこのごろ人気商品になっている――べつに,骨董品としてではない.

コストに敏感な農家は,お得な掘り出し物を探し求めている.この時代のトラクターは,つくりがしっかりしていて機能面も問題ない.しかも,洗練されたソフトウェアで動作する最近のモデルとちがってややこしくない上に修理代も高額にならない.

「こういうトラクターに囲まれて育った人間なら,愛着を覚えるもんで,それも要因ではありますがね.でも,それだけじゃないんですよ」とピーターソンは言う.「こいつらは頑丈そのものなんすよ.1万5000時間使ってもまだ動くし,どっか壊れたらすぐ直せちまう.」

ネブラスカを本拠とするディーラーの「BigIronオークション」は,先月,3,300台の農業機器をオンラインのオークションに出して2日でさばいた.このディーラーは,2019年に「ジョンディーア 4440」モデルのトラクターを 27台販売している.

ジョンディーア社がアイオワ州ウォータールーの工場で1977年から1982年にかけて製造した同モデルは,内部部品にいっそう強固で重いものを使用してより出力の大きいエンジンを支えたトラクターで,同社の「アイロンホース」シリーズのなかでも一番人気だった.大きく安全なキャビンをもち,1960年代に登場していまや標準になった設計をさらに発展させていた.

このトラクターが,動作時間が短い完動品の状態で売りに出ると――トラクターはたいてい 1万2000時間~1万5000時間の耐久性能がある――すぐさま競り合いの戦争がはじまる.レイクシティで農業機器オークションに動作時間 2,147時間の1980年製ジョンディーア 4440 が出てくると, 43,500ドルで落札された.8月にビンガムレイクで動作時間わずか 826時間の1979年製ジョンディーア 4640 がオークションに出ると,61,000ドルで落札された

もしかしてトラクターは大停滞してるのかも.ことによると,製品として後退してる部分すらあったり? Adam Belz の記事はこちら.(via Naju Mancheril)

アレックス・タバロック「原発は人命を救う」(2020年1月4日)

[Alex Tabarrok, “Nuclear Energy Saves Lives,” Marginal Revolution, January 4, 2020]

福島の事故を受けてドイツでは原子力発電所を閉鎖した.これによって,大気汚染が増加して数千もの人たちが亡くなり,数十億ドルのコストが生じている.「ドイツの原発廃止による私的コストと外的コスト」について,Stephen Jarvis, Olivier Deschenes & Akshaya Jha の論文はこう述べている:
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アレックス・タバロック「イノベーション版,囚人のジレンマ」(2019年12月30日)

[Alex Tabarrok, “The Innovation Prisoner’s Dilemmam,” Marginal Revolution, December 30, 2019]

ぼくは風車って美しいなって思うけど,そうは思わない人たちも大勢いる.環境保護の意識が高いドイツにすらたくさんいる.
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アレックス・タバロック「汚染と健康に関する『ランセット』委員会報告から」(2019年12月30日)

[Alex Tabarrok, “The Lancet Commission on Pollution and Health, and IQ,” Marginal Revolution, December 30, 2019]

〔医学系学術誌〕『ランセット』の汚染と健康に関する委員会から,10数名の傑出した共著者たちが執筆した権威あるレビューが出ている.汚染物質(とくに鉛)が IQ に及ぼす影響について,異例なほど率直に記している.そこに出てくる数字のなかには,大きすぎるように思えるものもある(とくに第3パラグラフ)けれど,方向は間違いなく正しい.

神経に害を及ぼす汚染物質は,子供たちの認知発達を阻害することで生産性を下げうる.鉛その他の金属(水銀やヒ素)の接触・摂取は IQ の低下という数値で計った認知能力を低下させる.

認知能力の低下・喪失は,学業や労働力参加での成功に直接影響し,間接的に生涯所得に影響する.アメリカでは,1920年代から1980年ごろまで加鉛ガソリンが広く使われていた結果,何百万人もの子供たちが過剰濃度の鉛を体内に取り込んだ.使用量がピークに達した1970年代に,ガソリンに使用されたテトラエチル鉛の年間消費量は10万トン近くに及んだ.

これによって生じた無症状の鉛中毒によって,傑出した知能(IQ スコア130ポイント以上)をもつ子供の数を50パーセント以上減らしえただろうと推測されている.また,これにともなって,IQ スコア 70以下の子供たちの数も 50% 以上増加することとなったとも推測される(図 14 参照).

鉛が原因となって認知能力が低下した子供たちは学業がふるわなかったり,特別な教育やレメディアル・プログラムを必要としたり,成人後に社会に十分に貢献できなかったりした.

グロスと共同研究者たちの報告によれば,神経に害を及ぼす汚染物質によって IQ スコアが 1ポイント下がるごとに,平均生涯所得は 1.76% 低下する結果となる.さらに,サルケヴァと共同研究者たちは,この分析を拡大して IQ が学業に及ぼす影響も含めて検討している.彼らの報告によれば,IQ が 1パーセントポイント低下すると,平均生涯所得が 2.38% 低下する.2000年代にアメリカのデータを用いてなされた研究群は,それまでに発見を支持しているが,IQ 1ポイントの低下ごとに所得に生じる悪影響は 1.1% だと主張している.鉛摂取と IQ 低下のつながりの分析からは,鉛の血中濃度が 1μg/dL 増えるごとに,平均生涯所得がおよそ 0.5% 低下することが示唆されている.2015年にチリで行われた研究では,汚染地域で鉛を摂取した子供たちを追跡調査して,この影響はそれよりずっと大きいと主張している.ミュエニグによる2016年の分析では,幼い時期に鉛を摂取したために生じる経済的な損失は,たんに認知的な障害によって生じるコストだけにとどまらず,後に鉛を摂取した子供たちによる社会福祉サービスの利用が増加することで生じるコストや〔精神病院などに〕収監される確率の上昇も含んでいると主張している.

タイラー・コーエン「知性格差が拡大中?」(2019年12月5日)

[Tyler Cowen, “Is the inequality of intelligence increasing?” Marginal Revolution, December 5, 2019]

「重大な格差とは~」と,かつてよく言われたものだけど:
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タイラー・コーエン「大卒プレミアムが *ゼロ* に?」(2019年12月26日)

[Tyler Cowen, “Is the college wealth premium *zero*?” Marginal Revolution, December 26, 2019]

これはなんともびっくりだ:

大卒でない家族の所得に比べて,大卒の世帯主がいること以外は似ている家族が余計に稼ぐ所得を大卒の所得プレミアムという.この大卒プレミアムはいまもプラスではあるものの,近年の卒業生を見てみると下落が続いている.大卒の資産プレミアム(〔大卒でないこと以外は似ている人たちと比べたときの〕追加の資産)は,1940年以降に生まれたすべての世代で顕著に下がり続けている.1980年代生まれの非ヒスパニック系白人世帯主を見ると,大卒の資産プレミアムは歴史的な低水準にある.他の人種・民族集団をみると,統計的にゼロと区別がつかない[太字強調はコーエンによるもの].2016年消費者金融調査ではじめて利用できるようになった変数を用いて検討したところ,本人の親の教育水準を揃えた場合,大卒と院卒の所得・資産プレミアムは 8%~18% 下がるのがわかった.また,回答者の金融に関する見識を示すさまざまな計測値――これには生得的な部分もあるかもしれない――を揃えて比較したところ,大卒・院卒の学位が加える価値は 30%~60% 低下していることもわかった.これらを総合すると,大学・大学院の教育を金融投資として見た場合,近年の卒業生では失敗になっていることが我々の分析結果からうかがえる.本稿では,さまざまな説明を検討し,大卒資産プレミアムが低下しているのは,生まれた年による偶然・金融の自由化・高等教育のコスト増大に起因しているかもしれないという結論を示す.

上記は,William R. Emmons, Ana H. Kent, Lowell R. Ricketts による論文からの引用だ.著者たちはセントルイス連銀の所属で,どこかの(大学で教育を受けた)変人ではないよ.

Via 優秀なる Samir Varma

ピーター・ターチン「繁栄の終焉:実質賃金は1970年代になぜ上昇が止まったのだろう?」(2013年4月4日)

The End of Prosperity: Why Did Real Wages Stop Growing in the 1970s?
Posted by Peter Turchin on April 04, 2013

1970年代に何かが起こっている。以下のグラフを見てみよう。

20世紀のほとんどの間――1970年代まで――アメリカにおいて労働者の賃金は、インフレよりも非常に速く成長した。1927年以降半世紀の間に、未熟練労働者の実質賃金は3.5倍、製造業労働者の賃金はインフレ調整したドル換算で4倍に上昇している。その後、折れたような低下が到来している。去年2012年だと、未熟練労働者と製造業労働者の実質賃金は1978年よりむしろ低下しているのだ。 [Read more…]

ビル・ミッチェル「日本式Q&A – Part 3」(2019年11月6日)

Bill Mitchell, “Q&A Japan style – Part 3“,  Bill Mitchell – Modern Monetary Theory, November 6, 2019.

Part1はこちら

Part2はこちら

これは今週の4部構成シリーズの第3部で、日本の諸派が提起した現代通貨理論(MMT)についてのいくつかの重要な質問に関するガイダンスを提供する。今日、私は東京にいる。日本のメディアでMMTを宣伝するために、1日の記者会見とテレビ撮影を行う予定だ。私はすでに(昨日)記者会見で非常に明確に論じた。彼ら(メディア)が日本の人々に我々の考えを正しく表してくれることを願っている。

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