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アレックス・タバロック「アクティブ・ラーニングは機能するけれど学生のお気には召さない」(2019年9月9日)

[Alex Tabarrok, “Active Learning Works But Students Don’t Like It,” Marginal Revolution, September 9, 2019]

一貫して同じ学生と教員を対象にして注意深く実施された実験により,アクティブ・ラーニング〔能動的学習〕の授業の方が学生たちはより多く学ぶものの,このスタイルの授業を学生は嫌い,学ぶものがそれほど多くないと考えていることが明らかになった.べつにものすごく意外な結果ではない――アクティブ・ラーニングは難しくて,学生はまるで自分がバカなような思いをしてしまうものだ.それよりも,イスにふんぞり返ってご立派な講師が巧みな講義でなにもかも単純なように思わせてくれるのを楽しんでいる方がずっとラクだ.

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ニック・ロウ「中銀に弾切れなし:農地の価格政策としての金融政策」(2019年8月23日)

[Nick Rowe, “On not “running out of ammo”: Monetary Policy as Farmland Price Policy,” Worthwhile Canadian Initiative, August 23, 2019]

〔それまで金本位制をとっていた〕とある国の中央銀行が農地の価格を決めて固定した場合を想像してみよう.中央銀行は,「これから1ヘクタールあたり1万ドルで無制限に農地を売買します」と宣言する.すると,「1ドル」は何オンスかの金(ゴールド)を意味しなくなる.1ドルが意味するのは,「1平方メートルの農地」を意味する.

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タイラー・コーエン「(特に日本の)経済学者はイデオロギーバイアスがあって権威に弱い?」

Tyler Cowen “Ideological bias and argument from authority among economists” Marginal Revolution, September 5, 2019 


と,いうのがモフセン・ジャブダーニとハジュン・チャンの新論文のテーマだ。以下は論文要旨からの抜粋。

19か国の経済学者に対してオンラインでのランダム化対照実験を行うことで,我々は経済学者たちの見解に対するイデオロギーバイアスの効果を検証した。我々は参加者に対して様々なテーマに関する有力な経済学者の言説を評価するよう求めるとともに,それぞれの言説の主張者の名前は参加者に知らせずにランダムに割り振った。各言説について,参加者は主流派経済学者の名前,イデオロギーの異なる非主流派ないしは主流派色の薄い経済学者の名前,名前なしのいずれかを提示された。我々は,イデオロギーの異なる非主流派ないしは主流派色の薄い経済学者の名前や,名前がないことが,言説に対して経済学者たちが同意を示すのを有意に減少させることを見出した。これは経済学者たちが自らに抱いているイメージとは相反する

以下は論文の本文内から

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マリ=アンヌ・ルキエ「フランシュ=コンテの白い黄金:塩の一歴史」

Marie-Anne Rouquier “L’or blanc de Franche-Comté : une histoire de sel” Bloc-notes-éco, Banque de France, le 11 avril 2019.

フランス銀行のブログであるBloc-notes-écoは,フランス銀行のネットワークを活用して地域に関する分析にも手を広げることにしました。そこで,Bloc-notes-écoは折に触れて産業,地域の経済機構,地元産品に関する分析をお届けします。今回の記事はその第一弾となります。


人間にとって不可欠な塩は,貴重な物資だ。歴史の中で取引用のお金や給料の媒体として用いられ,塩は19世紀まで経済の中心的な産品だった。その製塩場のおかげで,フランシュ=コンテ地域圏は地下に眠る「白い黄金」を採掘しつつ1000年以上も特筆すべき繁栄を享受したのだ。

アルケスナン製塩所 出典:Michel Pierre
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アレックス・タバロック「女子の読解における比較優位は数学関連分野での男女格差をだいたい説明する」

Alex Tabarrok “Girls’ comparative advantage in reading can largely explain the gender gap in math-related fields” Marginal Revolution, September 3, 2019


前に「男子の方が数学・科学に比較優位がある?(optical_frog氏による訳)」という記事で,男子は女子よりも読解がずっと下手だから数学に比較優位があることを示す証拠をご覧に入れた(男子が数学に大きな絶対優位をもつわけではないのだ)。みんなが自分の比較優位に特化するとすると,このことが女子よりも多くの男子が数学教育課程に入ることを容易に促してしまう。たとえ女子に男子と同じかそれ以上の才能があったとしてもだ。このことは以前書いたとおり。

さて,これで生徒たちにこう告げたらどうなるだろう――「得意なことをやってごらん!」 大雑把に言えば,状況はこんな具合になるだろう:女子はこう言う――「歴史と国語は A で科学と数学は B だから,長所をもっと伸ばして歴史や国語と同じ技能を活かすことにしよっと!」 一方,男子はこう言う――「科学と数学は B で歴史と国語は C だから,長所をもっと伸ばして科学や数学がからんでることをやろっと!」

米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されたブレダとナップの新論文は,この比較優位仮説についてもっと多くのことを見出している。ブレダとナップは,学習到達度調査(PISA)を受ける最大30万人の世界各地の学生の数学を勉強する意欲を調べた。

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クロディアナ・イストレフィ「金融政策決定者を選ぶ:Fedから学ぶ3つの教訓」

Klodiana Istrefi “Choisir les décideurs de la politique monétaire : trois leçons de la Fed” Bloc-notes Eco, Banque de France, 16 mai 2018

今日においては,金融政策は一般的に委員会によって決定されている。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)の歴史は,経済に関するFed議長の信条及び金融政策に関する委員会の選好の重力中心が意思決定において重要であることを示している。

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ダイアン・コイル「昔々,あるところに:物語と感染の経済学」(2019年8月29日)

[Diane Coyle, “Once upon a time,” The Englightened Economist, August 29, 2019.]

これほどいろんなところで物語への関心がぽこぽこ湧き出しているのはとても興味深い.王立協会は,人工知能における物語,ひいては科学における物語に,着目している.『投機バブル:根拠なき熱狂』の著者として(そしてノーベル賞受賞者として)名高いロバート・シラーが新しく出した本の題名は,『物語りの経済学:お話はいかにして伝播し大きな経済的事象を駆動するのか』という.この本のもとになっているのは,2年ほど前にシラーがやった講義だ.冒頭をこう書き出している:「本書は,経済変化の新理論の初手を提示し,定番の経済的要因リストに新しい重要要素を導入する:その要素とは,口コミや報道メディアやソーシャルメディアをつうじて人から人へと伝播して人気を博する感染力のあるお話だ.」

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サイモン・レン=ルイス「新たなマクロ経済政策割り当て」(2019年8月28日)

[Simon Wren-Lewis, “A New Macropolicy Assignment,” Mainly Macro, August 28, 2019]

次に景気後退が生じたときにこれを抑えられるかどうかについて中央銀行家たちが正しくも悲観的になるなか,中央銀行はインフレを目標値に維持しつつその責務を政治家に渡すときがきているのかもしれない.

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ジョセフ・ヒース「一分でわかる保守派の反理性主義の歴史」(2015年4月)

Joseph Heath, “A one-minute history of conservative anti-rationalism” (In Due Course, April, 2015)

〔訳注:本稿では、理性および理由という意味を強調するために原文における「rationalism」という言葉を、邦訳『 啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために』栗原百代訳, NTT出版, 2014年で使われている「合理主義」ではなく、「理性主義」と訳出しています。〕

左派の反理性主義はこれまでずっと害悪を撒き散らしてきたが、同時に左派が反理性主義でいるのは自分自身を破滅に至らしめる行為であると指摘しておきたい。というのも、左派というのはどんな形であれ常に進歩というアイディアにコミットしており、進歩とは理性の働きに依拠するものだからだ。我々の社会の中のおける社会的・経済的問題のほとんどは複雑であり、解決するには巧みさと集団行動が必要である。これらは直感に従えば成しえるというものでは、けしてない。そのためアメリカの「リベラル」が自分たちを「進歩派(プログレッシブ)」と再ブランディングしているのには大きな利点がある。はじめに、アメリカで使われている「左派」の同義語としての「リベラル」という言葉は語源的に根拠薄弱だし、歴史的に見て不正確であり、他の英語圏での使われ方と一致しない。ふたつめに、「進歩派」対「保守派」というのは、抽象的な「左派」「右派」より、政治的に何が問題とされているのかを実際によりはっきり捕らえている。左派と右派を分ける核になっているものはフランス革命とその後の反応であり、左派とは理性的洞察を道具として使ってより正しい社会を発展させることにコミットするものであり、右派とはその結果を恐れるか或いは「発展」という価値観に懐疑的なひとびとのことだった。なので、保守派の反理性主義は長い歴史と際立った伝統がある。いやまったく、反理性主義というのは歴史を通して存在する「保守派」の多様なイデオロギーに共通する数少ないもののひとつだ。最初であり最も有名なバージョンは、エドマンド・バーク(または20世紀にはマイケル・オークショット)に最も良く例示される進化論的保守主義の類である。 [Read more…]

タイラー・コーエン「金融政策は力を失ってしまった?」(2019年8月29日)

[Tyler Cowen, “Has monetary policy lost its power?” Marginal Revolution, August 29, 2019]

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