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タイラー・コーエン「チェスでは人間-機械の協力の時代が終わってしまった?」(2018年12月7日)

[Tyler Cowen, “Is the age of man-machine cooperation over in chess?,” Marginal Revolution, December 7, 2018]

AlphaZero がめざましい戦績を見せているさらなるデータを考えると,そう考えるべきなんじゃないかと Charles Murray が Twitter でぼくにそう訊ねてくれた.いまのところ,答えはもちろん「イエス」のようだ:AlphaZero に好きにやらせて人間から手出しをさせないでおけばいい.工場ネタのジョークみたいなところが少しある:「あそこに犬がいるのは人間を機械から遠ざけておくためだよ.そんで,人間は犬を守ってるわけ.」(というか逆かな?)
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サイモン・レン=ルイス「専門家とエリート」(2018年12月2日)

[Simon Wren-Lewis, “Experts and Elites,” Mainly Macro, December 2, 2018]

まるで2016年をそっくり再演しているかのようだ.前回の事例が多少でも基準になるとすれば,EU離脱シナリオのもとでイギリスがいまよりどれほど貧しくなるかに関する多くの予測は,イギリス国民のおよそ半数によって無視または等閑視されるだろう.おそらく,いったいどんな事態が進行中なのかを我らがイギリスの国会議員たちが理解できるようになるまで,専門家たちによる発言は完全かつ総体として閉ざしてしまうよう訴えた方がいいのかもしれない.
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タイラー・コーエン 「『穏健な抗議行動』と『暴力的な抗議行動』とではどちらがより効果的?」(2018年11月2日)

●Tyler Cowen, “Are peaceful or violent protests more effective?”(Marginal Revolution, November 2, 2018)


政策変更を促す上で「穏健な(暴力に頼らない)抗議行動」と「暴力的な抗議行動」とではどちらがより効果的なのだろうか? 本論文では公民権運動の一環として繰り広げられた(市民による)抗議行動が米下院における議員の投票行動にいかなる効果を及ぼしたかを検証する。具体的には、固定効果モデルを用いて出身選挙区別に議員の投票行動が抗議行動を受けて時とともに(1960年~1972年の間に)どのような変化を辿ったかを探る。本論文で得られた検証結果によると、「穏健な抗議行動」は(下院における法案の審議で)議員からリベラル寄りの――公民権運動の目的に沿う――投票を引き出す傾向にある一方で、「暴力的な抗議行動」は裏目に出てしまう――議員から保守寄りの投票を引き出す――傾向にあることが見出された。さらには、「穏健な抗議行動」のリベラル化効果(議員からリベラル寄りの投票を引き出す効果)が及ぶ範囲は公民権関連の審議に限定される一方で、「暴力的な抗議行動」の保守化効果(議員から保守寄りの投票を引き出す効果)が及ぶ範囲は福祉関連の審議にまで波及することも見出された。議員の投票行動の変化を説明し得るその他の代替的な仮説についても検討を加えて本論文の結論が頑健である(覆されない)ことも示す。「穏健な抗議行動」のリベラル化効果は議員の入れ替えが起きた(現職が選挙で敗れた)選挙区や白人比率の高い選挙区ほど大きい傾向にある。以上の結果は「抗議行動のシグナリングモデル」と整合的であり、抗議行動は(黒人ではなく)白人の有権者に対して新しい(よく知れ渡っていない)情報を伝える役目を担った可能性があることを示唆している。

以上、デューク大学の博士課程で学ぶガボール・ニェキ(Gábor Nyéki)ジョブ・マーケット・ペーパー(pdf)のアブストラクト(要旨)より。

オリヴィエ・ブランシャール 「フランスにおける『黄色いベスト運動』と『代議制民主主義の失敗』」(2018年12月3日)

●Olivier Blanchard, “The French “Yellow Vest” Movement and the (Current) Failure of Representative Democracy”(RealTime Economic Issues Watch, The Peterson Institute for International Economics, December 3, 2018)


フランスにおける「ジレ・ジョーヌ」(gilets jaunes;黄色いベスト)運動――抗議行動に参加している市民が揃って「黄色いベスト」を着用しているのにちなんでそのように名付けられている――の模様を収めた映像がメディアを賑わせている昨今である。「ジレ・ジューヌ」運動が広がりを見せているのはなぜなのか? その根っこにある原因は何かと突き詰めると共産主義の終焉にまで遡らねばならない。市場経済の代わりとして期待された計画経済が失敗に終わったことにまで遡る必要があるのだ。 [Read more…]

マーク・ソーマ 「消費経済の歴史は想像以上に古い?」(2005年9月8日)/ アレックス・タバロック 「自壊する絵 ~本物のアーティストがここに~」(2018年10月6日)

●Mark Thoma, “The Consumer Driven Economy”(Economist’s View, September 08, 2005)


消費経済(消費者主導の経済)の歴史は思っていたよりも古いようだ。


上の画像は大英博物館が公表した「嘘っぱち」の洞窟壁画。大英博物館に展示されていた作品で原始人がショッピングカートを押す姿が描かれている。作者は匿名の「アート・テロリスト」ことバンクシー(Banksy)。大英博物館に無断でこっそり置いていったという。・・・(略)・・・〔全文はこちら1

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●Alex Tabarrok, “Banksy is the Real Deal”(Marginal Revolution, October 6, 2018)


Hyperallergic: 金曜日の夜にロンドンで開催されたオークションでバンクシーの作品が「自壊」した

競売大手のサザビーズが取り仕切るオークションの午後の部の締め括りとして登場した(バンクシーの代表作である)『少女と風船』(2006年制作)。「95万3829ポンド(約1億4000万円)!」という印象的な掛け声とともにオークションは終了。

キャスターライン・グッドマンギャラリーの創業者であるロバート・キャスターライン(Robert Casterline)もオークション会場にいた一人。我々の取材に対して落札直後に何が起こったかを説明してくれた。「オークションの終了を告げる小槌が打ち鳴らされた瞬間でした。額縁の内側から警報音が鳴り響いてきたんです」。会場は「大混乱」。

「百万ドルを超える値で落札され、私も含めて聴衆の面々が席に座ろうとしたその時です。絵が突然動き出したんです」とキャスターライン。作品が収められている額縁もバンクシー本人が用意したものであり、シュレッダーが仕掛けられていたという。作品が落札されるやシュレッダーが作動して絵をバラバラに裁断し出したというのだ。「はじめのうちはすっかり混乱して何がなんだかわかりませんでしたが、しばらくすると興奮に襲われて震えましたね」とキャスターライン。

サザビースの現代アート部門(欧州地域)の責任者を務めるアレックス・ブランクチク(Alex Branczik)がアート・ニュースペーパーの取材に応じているが、どうやら彼も会場にいた一同と同じくらい仰天したようだ。

バンクシーって天才だね。

  1. 訳注;リンク切れ。ちなみに、バンクシーが件の作品を大英博物館に無許可で置き去ったのは2005年のことだが、今現在は晴れて「許可を得て」大英博物館に置かれているとのこと。大英博物館にて開催中の展覧会(会期は2018年9月6日~2019年1月20日)で正式な作品として展示されているらしいのだ。 []

アレックス・タバロック 「誰が彼を責められようか?」(2004年8月31日)/「『メタ』パフォーマンス・アート」(2007年7月15日)

●Alex Tabarrok, “Can you blame him?”(Marginal Revolution, August 31, 2004)


ロンドンにある国立美術館のテート・ブリテンに展示されていた作品の一つ(右の画像がそれ)が男性の清掃員によって誤って廃棄されるという事件が起こった。幸いなことに作者(であるグスタフ・メッツガー)が近くに居合わせており、(驚くべきことでもないだろうが)瞬く間に作り直されて事なきを得たということだ。

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●Alex Tabarrok, “Meta Performance Art”(Marginal Revolution, July 15, 2007)


パフォーマンス・アートの大ファンとは言えないのだが、つい最近大好きな「メタ」パフォーマンス・アートにめぐり合うことができた。事の始まりは(動物の死体を切り刻んだ作品死んだ牛の頭にウジ虫やハエを群がらせている作品で知られる)ダミアン・ハースト(Damien Hirst)が制作した現代アート史上最も高価な作品にある。8000個を超えるダイヤモンド――額にして数百万ドル――が散りばめられた頭蓋骨がそれだが、ロンドン在住のアーティストである「ローラ」(ローラ・キーブル)がそっくりな作品(パロディ)を仕上げたのだ。頭蓋骨に(ダイヤモンドの代わりに)スワロフスキー・クリスタル(スワロフスキー社製のクリスタル・ガラス)を散りばめて他のゴミと一緒に真夜中に美術館の外に展示。まさに「プライスレス」。

タイラー・コーエン「市場を嫌う大学人はなんでこんなに多いんだろう?」(2018年11月27日)

[Tyler Cowen, “Why do so many academics dislike the market?” Marginal Revolution, November 27, 2018]

どうやら結局ノージックは正しかったらしい.Raul Magni-Berton と Diego Rios の論文から抜粋:
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サイモン・レン=ルイス「メディアマクロなお健在:それが暗示する根深い問題」

[Simon Wren-Lewis, “Mediamacro is in rude health, and is also indicative of a deeper failure,” Mainly Macro, November 2, 2018]

今度出版された拙著 [AA] で大きく取り上げている問題に,メディアマクロがある.メディアマクロとは,あたかも政府が家計と同じであるかのように財政政策がメディアで扱われている有様のことだ.メディアでは,まるでケインズなんていなかったかのようだ――学術分野としてのマクロ経済学のはじまりとなった『一般理論』が存在しなかったかのような状況になっている.大学1年生向けの経済学教科書では,かならず「政府は家計とはちがう」と解説しているにもかかわらずだ.
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ポール・クルーグマン「失墜した経済思想」(2017年9月22日)

Paul Krugman, Discredited Ideas (Video VOX, 22 September 2017)

金融危機とその後の状況は私たちが思ったように理解不可能なものだったでしょうか。この動画では、ポール・クルーグマンは私たちが学ぶことのできる四つの見解をあげています。この動画は2017年9月22日に開催された「金融危機から10年」と題されたカンファレンスで録画されたものです。1  [Read more…]

  1. 訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。 []

サイモン・レン=ルイス「医療支出の推移」(2018年11月5日)

[Simon Wren-Lewis, “Health spending over time,” Mainly Macro, November 5, 2018]

NHS への支出が近年増加したことでイギリスの国家支出に医療予算の占める割合が伸びてきているという事実について論評が多少なされている.しばらく Flip Chart Fairy Tales(ブログ)の投稿がなくて物寂しいところでもあるし,今回はグラフ満載で記事を書いてみよう,政治報道で歯がゆいほどに伝えられていない明白な論点を1つ2つばかり指摘したい.
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