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サイモン・レン=ルイス「7月にコロナウイルス関連の制限をすべて撤廃した結果として,ジョンソンが何人の人々をみすみす死なせているか」(2021年10月12日)

[Simon Wren-Lewis, “How many people is Johnson allowing to die as a result of abolishing all COVID restrictions in July?” Mainly Macro, October 12, 2021]

もちろん,確かなところを知るのは不可能だ.ただ,下記のグラフからいくぶんなりとうかがい知れる.


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ノア・スミス「どうしてみんな政府の赤字を心配してるの?」(2021年10月8日)

[Noah Smith, “Why do people worry about deficits?” Noahpinion, October 8, 2021]

もっともな理由から馬鹿げた理由まで,一覧にまとめてみよう

▲ 赤い線はアメリカにおける家計債務の対 GDP 比,青い線は公的債務総額の対 GDP 比を表す.
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二コラ・シャトレ「GDPの落ち込みが激しいのは行動制限のせい:米欧の比較」(2021年9月27日)

Nicolas Chatelais “Covid-19 et divergence de baisses de PIB entre Europe et États-UnisBloc-note Eco, Banque de France, le 27 septembre 2021

2020年におけるGDPの落ち込みは、アメリカではヨーロッパよりも緩やかだった。感染拡大へ対処の一環として強制あるいは自粛として行われた行動と移動の制限は、フランス、イタリア、スペインではより強力であったことがアメリカとの差のうち40%以上を説明する。この要因は産業の特化の差(アメリカがデジタル産業に優位をもち、ヨーロッパは観光業の比重が大きい)によって増幅された。財政支出の違いによって説明できるのは差の20%以下である。

グラフ1:2020年における米欧間のGDP変化の格差の説明要因(出典:IMF、各国統計、著者による計算)

読み方:行動制限の違いがアメリカと仏+伊+西グループの間の成長率の差の40%を説明する。この3か国のグループが観光業への依存が最も高いことは、アメリカとの差の20%と少しを説明する。

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タイラー・コーエン「援助はエリートたちによって横取りされてる」(2021年10月12日)

Tyler Cowen “Elite capture of foreign aidMarginal Revolution, October 12, 2021

この証拠は海外の銀行口座から得られたものだ。以下は論文の要約。

エリートたちは外国の援助を横取りしているのだろうか。本論文は、援助に強く依存している国への援助金の拠出によって、秘匿性と個人資産管理で知られるオフショア金融センターにおいて銀行預金の急激な上昇が発生するが、それ以外の金融センターでは発生しないことを実証した。この推定は内戦、自然災害、金融危機などの同時期に起きたショックとは混同されておらず、事前に決定された援助コミットメントによる測定でも頑健である。示唆される漏洩率はサンプル中の中央値で約7.5%で、GDPに占める援助の割合に応じて高まる傾向にある。この発見は最も援助依存率の高く国における援助の横取りとも整合的である。


ケビン・ルイス御大の紹介による全文リンクはこちら。著者はヨルゲン・ジュエル・アンダーセン、ニールス・ヨハンセン、ボブ・リジカースで、誰でもアクセスできるバージョンはこちら

ノア・スミス「みんなが待ち望んでいた授賞:カード、アングリスト、インベンスのおかげで経済学はより科学的になった」(2021年10月12日)

Noah Smith ”The Econ Nobel we were all waiting for -Card, Angrist, and Imbens have made econ a more scientific field.-“, Noahpinion, October 12, 2021

新しい考えは全てを疑いに持ち込み、
火の元素は完全に消失し、
太陽も大地も失われ、誰の知恵をもっても
どこを探すべきかは教えてくれない

ジョン・ダン

2021年のノーベル経済学賞は、その実証経済学における業績によってデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。誰がノーベル経済学賞を受賞するかを予測するのにはとっても簡単なやり方がある。その分野においてまだ受賞してない最も影響力のある人たちを並べて、ミクロ理論家が2年連続で受賞することはないと仮定するんだ。最も影響力の強い人たち10人か20人そこらを、その研究がインパクトを与えた時点で見た場合の影響力の大きさの順に並べて、その中でもその影響力が一番昔にさかのぼる人が受賞する可能性が最も高い。(もちろんここで問題となるのは影響力が強いのはだれかを決めることだ。インパクトランキングや、経済学者に訊いてみたり、単にその分野で全体として何が起きているかの知識に基づいたりといったことの組合せでやるんだけど、思ったより難しくはない)

何年もの間、このやり方で僕も含めて多くの人たちがデビッド・カードがノーベル賞を受賞すると予想した。アラン・クルーガーとの共著による最低賃金に関する1994年の論文は経済学業界全体を揺さぶった衝撃的なもので、新時代の訪れを告げるものだった。それ以降、カードは実証労働経済学の最前線に立ち続け、教育から移民男女間の賃金差格差やその他ありとあらゆるものの研究に自らが先鞭をつけた技術を拡張・改善してきた。この分野におけるアングリストとインベンスの影響も同じようにとてつもないものなのだけれど、それが出てきたのはもっと後になってからなので、彼らが受賞するのはもっと後の年になっていたとしても不思議じゃなかった。でもカードの受賞は明らかに遅すぎだ。

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アレックス・タバロック「ノーベル経済学賞は信頼性革命に」(2021年10月11日)

Alex Tabarrok ”A Nobel Prize for the Credibility RevolutionMarginal Revolution, October 11, 2021

ノーベル経済学賞はデビッド・カード、ジョシュア・アングリスト、グイド・インベンスが受賞した。経済学における実証研究で有名誌に載っているもののほとんどすべて(そして有名誌に載らない大量の研究も)は、差分の差法、操作変数法、回帰不連続といった技術を使った自然実験の分析によるものだ。こうした技術は強力なものだが、それだけでなくその背後にある考え方は一般の人にも理解できるもので、このことが経済学者が一般に向けて話す際にとてつもない利点となっている。ひとつ例を出すとすれば、カード&クルーガー (1994) (全文はここから読める)による有名な最低賃金研究が挙げられる。この研究は、ニュージャージー州における1992年の最低賃金引上げがファーストフード店の雇用を減らさず、雇用を増やした可能性すらあるというその逆説的な発見によってよく知られている。しかし、この論文の真に偉いところは、カードとクルーガーが問題を研究するにあたって使用した手法の明快さなのだ。

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サイモン・レンルイス「イングランド銀行は金融政策を引き締めるべきか?」(2021年9月28日)

[Simon Wren-Lewis, “Should the MPC tighten monetary policy?” Mainly Macro, September 28, 2021]

世間では引き締めが予想されているが,それは正しいことだろうか?
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サイモン・レン=ルイス「ネオリベラリズム,企業,富の格差」(2021年9月21日)

[Simon Wren-Lewis, “Neoliberalism, Corporations and Wealth Inequality,” Mainly Macro, September 21, 2021]

ここで述べる考えは,James Meadway がネオリベラリズムについて書いたすばらしい論考と Terry Hathaway の「企業の力としてのネオリベラリズム」に触発されたものだ.どちらも,強くおすすめする.言うまでもなく,ここで私が述べることにどちらの著者も強く反対するかもしれない.ここで述べることは,例によって「洗練されていない」内容だ.

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ラジブ・カーン「日本人の主なルーツは縄文人や弥生人ではないかもしれない:日本人は西暦以降に登場した」(2021年9月18日)

The Japanese As A Creation Of The Christian Era
POSTED ON SEPTEMBER 18, 2021 BY RAZIB KHAN

日本は、弥生人と縄文人の統合体であり、弥生人が優位になって列島に稲作をもたらした、というのがこのブログでも以前に言及した伝統的な解釈である。しかしサイエンス誌に掲載された新しい論文によるなら、もっと複雑かもしれない。

古代のゲノム解析は、日本人個体群に3つの起源があることを明らかにする。

先史時代の日本は、3000年かけて、狩猟採集から始まり、水田での稲作、そして国家の形成へと急速な変化を遂げた。列島の日本人個体群は、狩猟採集を行っていた縄文人と、農耕民の弥生人の二重の先祖を持つ、との仮説が長年受け入れられてきている。しかし、農耕民族の移動とそれに伴う、社会文化の変化がどのようにゲノム的影響を与えたのかは依然不明となっている。本研究は、農耕前と農耕後の12人の日本人をゲノム解析した報告である。我々の分析によると、縄文人は数千年にわたって約1000人の小さな有効個体群を維持していたが、海面上昇によって2万年~1万5千年前に日本は島国化し、大陸の個体群と深い途絶に至ったことが分かった。稲作は、北東アジアを祖先とする個体群の流入によって導入されている。意外なことに、古墳時代になってから東アジアにルーツを持つ祖先の流入を我々は明らかにした。ゲノム的な起源によると、日本人はこの3つのルーツを持つと裏付けることが可能であり、これは現代日本人の個体群の特徴付けに引き継がれている。

古墳時代は、西暦300年頃に始まっているが、この論文によるなら、西暦以降にアジア大陸から日本列島への大規模な移住があったことが示唆されている。これは朝鮮半島からの移住だっただろう。最初の農耕民である弥生人は、土着の縄文人と中国北東部からの個体群との強い類縁を持つ混血体であったと考えられる。

以下のグラフは、各年代の構成要素を表したものだ。縄文人を興味深くしているのが、上記での諸研究結果において、有効個体群の少なさと、古代北部ユーラシア人との深い繋がりを示していることにある。また、縄文人は、更新世まで遡ることができる北東アジア人からの分岐群であるとも推察できる。

いずれにせよ、論文の著者達は、弥生人の標本採集が脆弱であることを認めているので、追加研究が必要となっている。もし現在日本人のほとんどが、古墳時代にルーツを持つことが明らかになれば、我々の歴史認識は大きく見直されることになるだろう。日本は7世紀になって歴史に登場するが、非常に若い国家だったことになる。

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テイヴス&ヴェジーナ「人民の敵による長期的発展」(2021年9月23日)

Gerhard Toews, Pierre-Louis Vézina “Enemies of the peopleVOXEU, September 23, 2021

「人民の敵」とは、教育を受けたエリートであるというだけの理由でソビエト体制の脅威になるとみなされた数百万人の芸術家、エンジニア、管理職、教授たちだった。数百万人の非政治犯とともに、彼らはグラーグ、すなわちソヴィエト全土にわたる労働収容所制度へと強制的に移住させられた。本稿では、この暗い移住エピソードによる長期的な影響を検討する。これにより、人民の敵が収容者中に占める割合が高かった収容所ほど、今日においてその周辺地域が繁栄していることを企業の賃金水準や利潤、人口当たりの夜間光量から捕捉した。

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