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フランシス・ウーリー 「フリマの経済学 ~同じ機種で色違いの中古の電話機。値段に差があるのはなぜ?~」(2013年8月23日)

●Frances Woolley, “Flea Market Economics”(Worthwhile Canadian Initiative, August 23, 2013)


(カナダは)オンタリオ州のパース市で開かれている蚤の市(フリーマーケット)に足を運んできたのだが(「ガラクタ買います。アンティーク売ります」がスローガン)、並べて売りに出されている二台の中古の電話機に目が留まった。違いといえば機体の色と値段だけ。その他はどこをとってもそっくりな二台。

(機体の色がベビーブルーの)青電話の言い値は160ドル。一方で、(機体が黄色の)黄電話の言い値は90ドル。青電話の方が70ドルも値段が高いわけだが、それはどうしてなのだろうか? その答えは至ってシンプル。「供給」と「需要」のバランス。それが答えだ。 [Read more…]

フランシス・ウーリー 「トリック・オア・トリート、互酬、社会関係資本」(2010年10月31日)

●Frances Woolley, “Trick or Treating, reciprocity and social capital”(Worthwhile Canadian Initiative, October 31, 2010)


幼少期はヒルスヴィルで過ごしたのだが、ハロウィンがやってくる度に「トリック・オア・トリート」と叫びながら近所を練り歩くのはワクワクする体験だったし、・・・物凄く疲れもしたものだ。歩く距離なんて大したことはなかったものの、こちとらひ弱な両の脚ときている。勾配が急な私道を歩くのはなかなかの重労働ですぐにも足が棒になってしまったものだ。

ヒルスヴィルにある家々を「トリック・オア・トリート」と叫びながら訪ね回る子供の数は減少傾向にある。その一方で、車で10分ほど離れた近場の郊外に「トリック・オア・トリート」の標的とするのにうってつけの条件を兼ね備えた住宅地が開発されるに至っている。その郊外に住む層の世帯所得は平均を上回っているし、隣近所には子供のいる家庭も多い。私道も短いし、車の交通量も少ない。住宅も密集している。

隣町へ(遠征して)の「トリック・オア・トリート」はあくまで例外的な現象に過ぎないのかどうかは詳しくは知らないが、「トリック・オア・トリート」の標的とするのにお薦めの場所のランキングを紹介している記事もあるようだ(私には思いも付かなかったのだが、ランキングを作成する上では犯罪発生率も重要な要因として加味されているようだ)。「トリック・オア・トリート」の狙い目となる地に遠征すれば、吸血鬼やライオンや幽霊になりきるのと引き換えに60分も練り歩けば(お菓子を詰め込むために携帯している)枕カバーをチョコレートでいっぱいにすることも可能というのは確かなようだ。

隣町へ(遠征して)の「トリック・オア・トリート」に関しては(好悪の入り混じった)何とも複雑な感情を抱いてしまうというのが正直なところだ。プラスの面ははっきりしている。住宅が密集している地域であれば、小柄な魔術師や魔女がそこらを闊歩しても安全だし心温まるものだ。私の住まいは「トリック・オア・トリート」の狙い目の只中にあるが(今のところ訪問者の数は55人、いやそれ以上を数えている)、ハロウィンに我が家の門を叩く訪問者の数が少ないとひどくがっかりすることだろう。現段階までに訪問者に差し出したキャンディの総額は15ドル相当。その一方で、その見返りとして金額に換算すると15ドル以上の喜び(満足)を得ている。痛みを伴わない所得再分配策の一種と言ってよかろう。

それと同時に少々すっきりしない思いを抱いているのはなぜなのか?

その理由の一部はハロウィンで訪問者に差し出されるキャンディはギフト(贈り物)の一種という思いにある。ギフトの贈呈には「互酬」という社会的な機能が備わっている。数年前にお隣さんは我が子にキャンディをくれた。今度は私がお返しする番だ。お隣さんの親切心に報いる機会だ、というわけだ。しかしながら、別の町から訪問者がやってくるとなるとどうだろうか? 「互酬」は分散されてしまうことになるだろう。

その子供がどこからやって来たかに応じてキャンディをあげたり出し渋ったりするというのは狭量ではあるが、話はそれだけにとどまらない。ハロウィンへの参加を拒む大人は無視できない数に上っているが、「ギフトをあげてもお返しがもらえないじゃないか」という思いもその一因となっている可能性があるやもしれないのだ。

ハロウィンは社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を構築する機会でもある。顔見知りの範囲を広げる機会、お互いの近況を報告し合う(情報を共有し合う)間柄を構築する機会でもある。子供たちが町の境界を越えて「トリック・オア・トリート」に出向くようになったら町ごとの社会関係資本は一体どうなってしまうだろうか? お隣さんと顔見知りになるにはどうしたらいいだろうか?

子供たちが町の境界を越えて「トリック・オア・トリート」に出向くようになったら若夫婦が集まるコミュニティの性格は一体どんな感じになるだろうか?

フランシス・ウーリー 「ウォルト・ディズニー、戦争、税金」(2010年9月18日)

●Frances Woolley, “Walt Disney, War and Taxes”(Worthwhile Canadian Initiative, September 18, 2010)


1940年代にウォルト・ディズニーはプロパガンダアニメの制作を通じてアメリカの戦争遂行に助けの手を差し伸べている。『The Spirit of 43』(「43年の精神」;日本語吹き替え版はこちら)の中でスクルージおじさん(スクルージ・マクダック)は給料が入ったばかりのドナルド・ダックに対して税金を納めるために貯金に励むよう諭している。曰く、「確かにそれは君のお金だ。でも、アメリカが戦っている戦争は君の戦争でもあるんだ」。というのも、「みんなが払う税金のおかげで民主主義が守られることになる」のだから。

The New Spirit』(「新しい精神」)も煽動的な内容だ。曰く、「君が払う税金。私が払う税金。みんなが払う税金。それが工場を動かす。みんなが払う税金のおかげでアメリカ中にある工場を朝から晩まで一日中稼動させることができるのだ。工場では銃が作られる。機関銃が作られる。対戦車砲が作られる。長距離砲が作られる。海の向こうからやってくる侵略者を吹き飛ばすためにありとあらゆる種類の銃が作られるのだ」。

税金を納めるのは愛国者としての義務。・・・だったはずだが、一体全体どうしたというのだろうか? イラク戦争の最中だというのにアメリカでは減税に踏み切られたのである。戦時中の減税はアメリカの歴史上で初の出来事だ。

アメリカでの減税論議は別のディズニー映画の筋書きをなぞっているのかもしれない。その映画とは『ロビン・フッド』(日本語版のウィキペディアはこちら)だ。邪悪な(蛇の)サー・ヒスの催眠術にかかったリチャード王は十字軍を指揮してはるばる中東まで遠征に向かう。兄であるリチャード王の不在中に代理で国を治めたプリンス・ジョンは国民に重税を課す。そこに登場するのがロビン・フッドを筆頭とする無法者の一味。国民の声を代弁して税負担を和らげるべく立ち上がったのだ。

だがしかし、人生はディズニー映画のようにはいかない。歳出の削減を伴わない減税は長い目で見ると苦難を招かざるを得ない。しかし、歳出の削減は誰かしらを不幸にせざるを得ない。私の目には無駄でしかないように見える補助金であっても、その補助金はアメリカ流の生活を維持するために必要不可欠な出費だという意見の持ち主もいることだろう。

「Worthwhile Canadian Initiative」という名の(カナダを拠点とする)ブログでアメリカの地で起こっている出来事(減税)についてあれこれ気を揉む必要なんてあるのだろうか? ピエール・トルドー(Pierre Trudeau)〔首相を2度務めたことのあるカナダの政治家〕がかつて言っていたではないか。「あなた方の隣国であるというのは象の傍らで眠るのといくらか似ているところがあります。獣――と呼ばせていただくのをお許し願いたいですが――の傍らにいるとその獣がいかに友好的で落ち着き払っていたとしてもその一挙一動(体のぴくつきやいびき)から影響を受けざるを得ないのです」。

フランシス・ウーリー「セックスの分布に関するいくつかの基本事実」

Frances Woolley “Some basic facts about the distribution of sex” Worthwhile Canadian Initiative, April 29, 2018


カナダ公衆保健調査は,カナダ統計局が行っている任意の年次調査で,保健の状況やリスク要因に関する幅広い情報を収集している。2013-14年の調査の一環では,15歳から49歳のカナダ人47,764人に対して性活動―これまでセックスをしたことがあるか,調査前年にはセックスをしたか―について質問がなされた。

調査を受けた人たちの大多数は下のグラフにあるように性的に活発だった。 [Read more…]

フランシス・ウーリー「初級経済学の試験に挑戦,ただし60年前の」

Frances Woolley “Could you pass a 1950s Econ 1000 exam?Worthwhile Canadian Initiative, March 29, 2018


経済原則の期末試験は,知らず知らずのうちに経済学という学問の核となる部分の一覧となっている。こうした試験問題は,経済学の基盤となる概念を問うように作られており,そうした概念は経済分析の基本となるアイデアだ。

というわけで,期末試験問題集と解答付のクリフォード・L・ジェームズ の「経済学の原則」(初版は1934年,参照したのは1956年の第9版)を手に取ったときに試験問題をスキャンしておいた。スキャンデータはのダウンロードはこちらから。私としては,経済学のという学問の60年前の基本原則と,それがどのように変わったかを知りたかったのだ。

数十年後の今も変わらないことの一つは,経済学が希少性と資源配分の問題から始まるということだ。

1.「豊富な経済」において,人々の欲求を満たす物とサービスは需要に比して希少に留まる。(正/誤)
2.生産における顕著な増加は,アメリカ経済における配分問題を完全に解決する。(正/誤)

希少性は避けることができない。人々は常にトレードオフに直面している。とはいえ,「豊富な経済」というのがどんなものであるかが分からない状況では,問題1の答えは「正」ではないかということもありえる。

1950年代では,希少性と資源配分は全く異なったツールで分析されていた。当時のアプローチはより制度的で,それは次の問題を見るとよく分かる。 [Read more…]

フランシス・ウーリー「ミルクはびっくりするほど安くなった」(2017年4月21日)

Frances Woolley, “Milk is mind-bogglingly cheap” (Worthwhile Canadian Initiative, April 21, 2017)

カナディアンクックブックは1923年に初版が出版された。私が持っているものは1949年出版のものだ。

この料理本は家政学の全盛期に作られている。科学原理を家庭生活に応用しようという時代だった。レシピには、栄養素情報、より洗練されたエチケットのガイド、今日でいうところの『金融リテラシー』が入っていた。

Canadian Cook Book

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フランシス・ウーリー「リベラルアーツを専攻した学生は後悔してる?」

[Frances Woolley, “Do students choosing liberal arts degrees regret it?” Worthwhile Canadian Initiatives, April 5, 2018]

学生たちがじぶんの受けた教育経験についてどれくらい満足しているか計測するには,卒業生にこう質問してみる手がある.「もしもう一度選べるとしたら,また同じ専攻を選びますか?」
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フランシス・ウーリー「銃を陳腐化する」(2018年3月5日)

Frances Woolley, “Making Guns Obsolete” (Worthwhile Canadian Initiative, March 5, 2018)

アメリカ合衆国は特異な銃文化を持っているとされている。しかし経済学者にとって文化というのはおもしろくない説明だ。私たちは文化の起源を探す、それを促進し維持しようとする経済的・社会的影響を探すのだ。

狩猟、開拓生活、そして戦争はアメリカの銃文化が如何に始まったかを説明することはできるが、維持についてはそうでもない。銃に親和的な地方は人口を失っており、人口増加は銃所持率の低い都市部と郊外に集中している。最も急激に増加しているアメリカの人口区分、すなわちヒスパニック、アジア系、黒人といった人々は、最も銃を所持しそうにない。それに、このトレンドは何十年も続いている。これは成人アメリカ人の銃非所持世帯率が1973年に50%だったのが、2014年には64%に増加した理由を説明できる(総合社会動向調査のデータはこちら)。 [Read more…]

フランシス・ウーリー 「トロントの方がオタワよりも暖かいのに屋外でスケートを滑れる期間が長いのはなぜ?」(2014年12月26日)

●Frances Woolley, “Why does Toronto have better outdoor ice than Ottawa?”(Worthwhile Canadian Initiative, December 26, 2014)


トロントはオタワに比べると気温が高い(暖かい)傾向にある。それにもかかわらず、トロントの方がオタワよりも屋外のスケートリンクに恵まれているのはどうしてなのだろうか?

 「そんなことはない」という反論もあることだろう。(オタワ市の中央を流れる)リドー運河を見ろ。冬になるとリドー運河は(凍結して)世界最長のスケートリンクに様変わりするではないか。それだけではない。市内の公園に足を運べばあちこちにスケートリンクがあるではないか。そんな反論の声が聞こえてきそうだ。しかしながら、オタワ市内の屋外にあるスケートリンクはほぼすべてが天然のリンクだ。気温が上がるとリンクは溶けて水たまりに一変してしまう(上の写真をご覧あれ)。

どうやら今シーズン(2014年から2015年にかけての冬場)に関してはオタワで屋外の(天然の)スケートリンクが姿を現すのは年明けの1月までずれ込みそうだ。その一方で、トロントでは屋外のスケートリンク場の営業はもう既に11月の終わり頃から始まっている。

トロントはオタワよりも3~4℃ほど気温が高いにもかかわらず屋外でスケートができる期間が1~2ヶ月も長いわけだ。一見すると奇妙に思える。しかしながら、トロントの方がオタワよりも屋外のスケートリンクに恵まれているのはトロントの方がオタワよりも暖かいからこそなのかもしれないのだ。 [Read more…]

フランシス・ウーリー「ビール品質格差指数」(2015年7月19日)

Frances Woolley, “The Beer IneQuality Index”(Worthwhile Canadian Initiative, July 19, 2015)

よくありがちなカナダ人のアメリカ産ビールに対する意見は、水っぽくてアルコールが弱いというものだ。しかしアメリカのビール醸造所は世界最高のビールをも生産している。アメリカ全土の地ビール醸造所の中に見事な品質のものが出てくるのだ。

アメリカについて驚愕するべきことは、国内の格差、もっと正確にいうと、ビールの品質の不均等さのレベルである。ドイツやベルギーといった国々、そしてスカンジナビア諸国も一般に、ビールの品質についてはそこまでばらつきはない。 [Read more…]