フランシス・ウーリー 「見えざる庇護者」(2013年7月11日)

あなたも誰かに密かに庇(かば)ってもらえているかもしれない。実は追い風が吹いているのに、気付けていないだけかもしれない。
画像の出典:https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=23971246

私には「庇護者」がいた。時間を食う割に何の役にも立たない学内の委員会の委員の候補として私の名前が挙がるたびに、「フランシスには他にもやらなきゃいけないことがたくさんあるんです。誰か他の人に声をかけてみましょう」と(私の知らないところで)発言してくれていたのだ。そんなふうにして私を庇(かば)ってくれていたなんて、つい最近まで知らなかった。面倒な委員会に出なくちゃいけない義務から突如として解放されて、研究に割ける時間が不思議と増えたのには気付いていたのだけれど。

Lean In』(邦訳『LEAN IN(リーン・イン):女性、仕事、リーダーへの意欲』)を読んでいたら、シェリル・サンドバーグ(Sheryl Sandberg)が似たような経験について「庇護者」としての側から想起していた。

Google社にいた時に一緒のチームで働いていた仲間の一人に、若くて才能豊かな女性がいた。その女性には目をかけていて、彼女が何か大きな決断を迫られるたびに私なりにアドバイスを送っていた。彼女の「庇護者」なんていうつもりはなかったが、彼女がスキルを磨くのを助けるために私なりにかなりの時間を割いていた。そのため、その彼女と話していて、「私には庇護者がいたことがないんです。私に目をかけてくれる人に巡り合えたことがないんです」ときっぱりと言い切られた時には、驚いてしまった。

誰が友(味方)なのか――あるいは、敵なのか――というのは、常に明らかだとは限らない 。組織の上の方(お偉方の中)にあなたの友(味方)がいるのに――あなたのために尽力してくれている人がいるのに――、そのことに気付けてさえいないということが時としてあるかもしれない。自転車に乗っていて後方から吹く風に押してもらっている(追い風が吹いている)のに気付けていないようなものだ。Uターンして(進路を180度変えて)顔に風を浴びないと、追い風が吹いていたことに気付けないのだ。


〔原文:“The invisible mentor”(Worthwhile Canadian Initiative, July 11, 2013)〕

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