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タイラー・コーエン 「『穏健な抗議行動』と『暴力的な抗議行動』とではどちらがより効果的?」(2018年11月2日)

●Tyler Cowen, “Are peaceful or violent protests more effective?”(Marginal Revolution, November 2, 2018)


政策変更を促す上で「穏健な(暴力に頼らない)抗議行動」と「暴力的な抗議行動」とではどちらがより効果的なのだろうか? 本論文では公民権運動の一環として繰り広げられた(市民による)抗議行動が米下院における議員の投票行動にいかなる効果を及ぼしたかを検証する。具体的には、固定効果モデルを用いて出身選挙区別に議員の投票行動が抗議行動を受けて時とともに(1960年~1972年の間に)どのような変化を辿ったかを探る。本論文で得られた検証結果によると、「穏健な抗議行動」は(下院における法案の審議で)議員からリベラル寄りの――公民権運動の目的に沿う――投票を引き出す傾向にある一方で、「暴力的な抗議行動」は裏目に出てしまう――議員から保守寄りの投票を引き出す――傾向にあることが見出された。さらには、「穏健な抗議行動」のリベラル化効果(議員からリベラル寄りの投票を引き出す効果)が及ぶ範囲は公民権関連の審議に限定される一方で、「暴力的な抗議行動」の保守化効果(議員から保守寄りの投票を引き出す効果)が及ぶ範囲は福祉関連の審議にまで波及することも見出された。議員の投票行動の変化を説明し得るその他の代替的な仮説についても検討を加えて本論文の結論が頑健である(覆されない)ことも示す。「穏健な抗議行動」のリベラル化効果は議員の入れ替えが起きた(現職が選挙で敗れた)選挙区や白人比率の高い選挙区ほど大きい傾向にある。以上の結果は「抗議行動のシグナリングモデル」と整合的であり、抗議行動は(黒人ではなく)白人の有権者に対して新しい(よく知れ渡っていない)情報を伝える役目を担った可能性があることを示唆している。

以上、デューク大学の博士課程で学ぶガボール・ニェキ(Gábor Nyéki)ジョブ・マーケット・ペーパー(pdf)のアブストラクト(要旨)より。

オリヴィエ・ブランシャール 「フランスにおける『黄色いベスト運動』と『代議制民主主義の失敗』」(2018年12月3日)

●Olivier Blanchard, “The French “Yellow Vest” Movement and the (Current) Failure of Representative Democracy”(RealTime Economic Issues Watch, The Peterson Institute for International Economics, December 3, 2018)


フランスにおける「ジレ・ジョーヌ」(gilets jaunes;黄色いベスト)運動――抗議行動に参加している市民が揃って「黄色いベスト」を着用しているのにちなんでそのように名付けられている――の模様を収めた映像がメディアを賑わせている昨今である。「ジレ・ジューヌ」運動が広がりを見せているのはなぜなのか? その根っこにある原因は何かと突き詰めると共産主義の終焉にまで遡らねばならない。市場経済の代わりとして期待された計画経済が失敗に終わったことにまで遡る必要があるのだ。 [Read more…]

マーク・ソーマ 「消費経済の歴史は想像以上に古い?」(2005年9月8日)/ アレックス・タバロック 「自壊する絵 ~本物のアーティストがここに~」(2018年10月6日)

●Mark Thoma, “The Consumer Driven Economy”(Economist’s View, September 08, 2005)


消費経済(消費者主導の経済)の歴史は思っていたよりも古いようだ。


上の画像は大英博物館が公表した「嘘っぱち」の洞窟壁画。大英博物館に展示されていた作品で原始人がショッピングカートを押す姿が描かれている。作者は匿名の「アート・テロリスト」ことバンクシー(Banksy)。大英博物館に無断でこっそり置いていったという。・・・(略)・・・〔全文はこちら1

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●Alex Tabarrok, “Banksy is the Real Deal”(Marginal Revolution, October 6, 2018)


Hyperallergic: 金曜日の夜にロンドンで開催されたオークションでバンクシーの作品が「自壊」した

競売大手のサザビーズが取り仕切るオークションの午後の部の締め括りとして登場した(バンクシーの代表作である)『少女と風船』(2006年制作)。「95万3829ポンド(約1億4000万円)!」という印象的な掛け声とともにオークションは終了。

キャスターライン・グッドマンギャラリーの創業者であるロバート・キャスターライン(Robert Casterline)もオークション会場にいた一人。我々の取材に対して落札直後に何が起こったかを説明してくれた。「オークションの終了を告げる小槌が打ち鳴らされた瞬間でした。額縁の内側から警報音が鳴り響いてきたんです」。会場は「大混乱」。

「百万ドルを超える値で落札され、私も含めて聴衆の面々が席に座ろうとしたその時です。絵が突然動き出したんです」とキャスターライン。作品が収められている額縁もバンクシー本人が用意したものであり、シュレッダーが仕掛けられていたという。作品が落札されるやシュレッダーが作動して絵をバラバラに裁断し出したというのだ。「はじめのうちはすっかり混乱して何がなんだかわかりませんでしたが、しばらくすると興奮に襲われて震えましたね」とキャスターライン。

サザビースの現代アート部門(欧州地域)の責任者を務めるアレックス・ブランクチク(Alex Branczik)がアート・ニュースペーパーの取材に応じているが、どうやら彼も会場にいた一同と同じくらい仰天したようだ。

バンクシーって天才だね。

  1. 訳注;リンク切れ。ちなみに、バンクシーが件の作品を大英博物館に無許可で置き去ったのは2005年のことだが、今現在は晴れて「許可を得て」大英博物館に置かれているとのこと。大英博物館にて開催中の展覧会(会期は2018年9月6日~2019年1月20日)で正式な作品として展示されているらしいのだ。 []

アレックス・タバロック 「誰が彼を責められようか?」(2004年8月31日)/「『メタ』パフォーマンス・アート」(2007年7月15日)

●Alex Tabarrok, “Can you blame him?”(Marginal Revolution, August 31, 2004)


ロンドンにある国立美術館のテート・ブリテンに展示されていた作品の一つ(右の画像がそれ)が男性の清掃員によって誤って廃棄されるという事件が起こった。幸いなことに作者(であるグスタフ・メッツガー)が近くに居合わせており、(驚くべきことでもないだろうが)瞬く間に作り直されて事なきを得たということだ。

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●Alex Tabarrok, “Meta Performance Art”(Marginal Revolution, July 15, 2007)


パフォーマンス・アートの大ファンとは言えないのだが、つい最近大好きな「メタ」パフォーマンス・アートにめぐり合うことができた。事の始まりは(動物の死体を切り刻んだ作品死んだ牛の頭にウジ虫やハエを群がらせている作品で知られる)ダミアン・ハースト(Damien Hirst)が制作した現代アート史上最も高価な作品にある。8000個を超えるダイヤモンド――額にして数百万ドル――が散りばめられた頭蓋骨がそれだが、ロンドン在住のアーティストである「ローラ」(ローラ・キーブル)がそっくりな作品(パロディ)を仕上げたのだ。頭蓋骨に(ダイヤモンドの代わりに)スワロフスキー・クリスタル(スワロフスキー社製のクリスタル・ガラス)を散りばめて他のゴミと一緒に真夜中に美術館の外に展示。まさに「プライスレス」。

タイラー・コーエン 「『リパブリカン・クラブ』 ~この絵から何が読み取れる?~」(2018年11月23日)

●Tyler Cowen, “The Republican Club — why is this painting interesting?”(Marginal Revolution, November 23, 2018)


『リパブリカン・クラブ』と題された上の絵はホワイトハウスの壁にかけられていてトランプ大統領もお気に入りらしい。何か目に付くところがあるだろうか? 私なりに思うところをいくつか列挙してみるとしよう。 [Read more…]

ブラッド・デロング 「星条旗の色ってこないでしたっけ? ~星条旗の塗り絵でポカをやらかしたトランプ大統領~」(2018年8月26日)

●Brad DeLong, “How Much Is Left of Donald Trump’s Brain? The Level of Cognitive Decline Here is Close to Being Absolute…”(Grasping Reality with at Least Three Hands, August 26, 2018)


(星条旗の色を塗り間違える大統領。

こちらからは以上です。)

続けてロブ・ベスキッツァ(Rob Beschizza)の記事より。

President Trump colors U.S. flag wrongly in classroom photo op”(「塗り絵の授業で星条旗の色を間違って塗るトランプ大統領。その様子を写真に収められる」);トランプ大統領は星条旗の前でしばらく跪く時間を持つべきなのかもしれない。そうすれば星条旗がどんな見た目かわかるだろうから。以下に「トランパメリカ」国旗を再現したのでご堪能あれ。

タイラー・コーエン 「至る所に市場あり ~寿命が1時間の製品~」(2012年7月17日)/「至る所に市場あり ~あの旗も中国製~」(2008年4月29日)

●Tyler Cowen, “Optimal product durability (Pakistani markets in everything)”(Marginal Revolution, July 17, 2012)


・・・(略)・・・宗教団体が主導する(反米を掲げる)抗議デモの多くはどれもこれも同じパフォーマンスでもってお開きとなる。(アメリカの国旗である)星条旗を燃やして終わるのだ。

・・・(略)・・・宗教団体向けに星条旗を売りつけるサプライチェーンの過半を牛耳っている人物がいる。マムーン・ウル・ラシード氏。30歳。1998年にパキスタンが核実験を行ったことを受けてクリントン政権が経済制裁を発動。学生だったラシード氏はそのことに激怒。それ以来、反米のメッセージが刻まれたプラカードや自家製の星条旗を作るようになったという。昔に比べると比較的冷静な気持ちで星条旗作りに励んでいるとのこと。可燃性の自社製品の寿命の短さについても冷静に受け止めているという。

「丹精を込めて製品を作らせてもらっています。わざわざお買い上げいただくわけですからね」とラシード氏。オフィスはカラチ市でも古くから労働者階級が多く住む地域の一つとして知られているグルシャン・エ・イクバールに構えられている。8フィート×6フィートの間取りの部屋の大部分を占めるデスク。その背後にある椅子に腰掛けて取材に応じるラシード氏。頭には迷彩柄のベースボールキャップを被っている。

「燃やされてしまうことについてどう思うかですって? 我が社の使命は寿命が1時間の(少なくとも1時間は持つ)国旗(星条旗)を作ることにあります。残念な話ではありますが、『買ってから1時間。それだけ持ってくれればいい』というのがお客様の要望であれば我々としてはその声に従うまでです」とラシード氏。

詳しくはこちらを参照されたい。情報を寄せてくれたJake McGuireに感謝。

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●Tyler Cowen, “Markets in everything, China fact of the day edition”(Marginal Revolution, April 29, 2008)


香港メディアの報道によると、中国の南部にある工場がチベットの旗を製造していたために警察の調べを受けたという。広東省にある工場に海外(中国国外)から旗の製作を依頼する注文が入ったのだが、その旗というのがチベット亡命政府の旗だったというのだ。

リンクはこちら。情報を寄せてくれたChristopher Hayesに感謝。

タイラー・コーエン 「国旗のデザインランキング」(2008年1月14日)

●Tyler Cowen, “Which countries have the best and worst flags?”(Marginal Revolution, January 14, 2008)


バージニア・ポストレル(Virginia Postrel)が紹介していて知ったのだが、世界各国の国旗をデザインの良し悪しに応じてランク付けしている試みがあるようだ。どの国の国旗がデザイン面で優れているか(あるいは劣っているか)という問いは思いのほか啓発されるところの多い問いだ。詳細はこちらのページをご覧あれ。ガンビアの国旗第一位に輝いているようだが解せないね。個人的に一番のお気に入りはずっと変わらずブラジルの国旗だ(ブラジルに行ったことがないと気付かないかもしれないが、国旗の中央には「秩序と進歩」という言葉がポルトガル語で記されている)。あとはハイチの国旗もお気に入りだが、その理由の一部は国旗の背後にある歴史――宗主国だったフランスに抗して蜂起するのにあわせてフランス国旗(トリコロール)の白色の部分を取り除いて出来たのがはじまり――にある。日本やスイスの国旗もいいね(記号っぽいという意見もあるだろうけれど)1。月と星が描かれているトルコの国旗なんかはクールなデザインだなあと昔から感じているものだ。

敗者(ランキング下位の国)の一覧はこちらだが、見ていて一番面白いのはこっちだね。AK-47(カラシニコフ銃)が描かれているモザンビークの国旗は最下位争いをしているようだ。フォークランド諸島の旗も「欠陥品」との評価を頂戴しているようだね。

件のランキングを作成しているのはオタゴ大学に籍を置く研究者2。彼がこれまでに公けにした論文の一覧はこちら。ランキングの作成手法の詳細についてはこちらを参照のこと。

  1. 訳注;ちなみに、件のランキングでは日本の国旗は第三位という評価になっている。 []
  2. 訳注;ランキングの作成者であるジョシュ・パーソンズ(Josh Parsons)氏は2017年に44歳の若さで亡くなっているようだ。 []

タイラー・コーエン 「一国の通貨にはいかなる特徴を備えた図柄を描き込むべきか?」(2005年12月17日)

●Tyler Cowen, “What is currency good for?”(Marginal Revolution, December 17, 2005)


素敵なレストランで友人とディナー。楽しいひと時を終えて勘定を払いにレジへと向かう。財布から200フラン紙幣を取り出すとそこにはエイズウイルスが描かれている。

・・・てな事態がスイスで現実のものとなるやもしれない1。とは言え、中央銀行には拒否権があるとのことなのでどうなるかはまだわからない。詳しくはこちらを参照されたい(フラン紙幣の新デザイン案の画像もいくつか紹介されている)。ところで、スイスの通貨は昔からお気に入りの一つだ。中でも一番のお気に入りはオイラー紙幣(数学者のレオンハルト・オイラーの肖像が描かれた旧10フラン紙幣)。物理学者や数学者の肖像が描かれている紙幣の例についてはこちらを参照のこと。

ついでにもう少し一般性のある問いについても検討してみるとしようか。一国の通貨に描かれる図柄はどんな特徴を備えている(どんな役割を担う)べきだろうか? 考え得る候補をいくつか列挙するとしよう。 [Read more…]

  1. 訳注;2005年にスイスで新紙幣の導入にあわせてデザインコンぺが開催され、紙幣の図柄としては一風変わったデザインの作品がグランプリを獲得したことがある。この話題については本サイトで訳出されている次の記事も参照されたい。 ●マーク・ソーマ 「アートとしてのお金」(2018年11月25日) []

タイラー・コーエン 「紙幣の肖像として一番出番が多い人物は誰?」(2004年6月22日)

●Tyler Cowen, “Whose face appears on the most banknotes?”(Marginal Revolution, June 22, 2004)


答えはエリザベス女王(エリザベス2世)。合計で32カ国の紙幣にその肖像が描かれた経験ありとのことだ。2位以下は誰だかわかるだろうか? 結果は以下の通り。

2. クリストファー・コロンブス(12カ国の紙幣に登場)
3. シモン・ボリバル(4カ国の紙幣に登場)
4. ジョージ・ワシントン(4カ国の紙幣に登場)
5. ウラジミール・レーニン(2カ国の紙幣に登場)

データの出所はフォーリン・ポリシー誌2004年7・8月号の31ページだ。

——————————————————————————————————-【訳者による補足】エリザベス女王の肖像が描かれた紙幣の情報についてはこちらのページ(英語)に詳しくまとめられている。折角なので数ある中からほんの一例として以下に二枚ほど画像を紹介しておくとしよう。一枚目に描かれているのは8歳時のエリザベス2世(王女)、二枚目に描かれているのは85歳時のエリザベス2世(女王)。いずれもカナダの20ドル紙幣。