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サイモン・レン=ルイス「増税は不可避になるか?」(2020年9月1日)

[Simon Wren-Lewis, “Will taxes have to rise?” Mainly Macro, September 1, 2020]

――という問いが,ジョナサン・ポーツとビル・ミッチェルの討議で取り上げられている.今回の議論は私から見て実にいらだつものだった.というのも,なにかもっと根本的な問題を論じているかのように見えて,実は中期的なインフレ予想をめぐって論議しているからだ.いまのパンデミックがもたらす財政コストを「まかなう」ために増税する必要がないという点は,ミッチェルもポーツも同意している.この超低金利の時代に,グローバル金融危機やパンデミックのような事態で対 GDP 比でみた債務にショックが発生しても,債務にかかる金利を経済成長率が上回っているかぎり,時間をかけて徐々に減少させていくのにまかせるべきだ.債務を減らそうとして財政赤字をゼロに近づけたり,それどころかオズボーンがやったように財政黒字にしようと図ったりすれば,景気の完全回復を妨げてしまう.
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サイモン・レン=ルイス「コロナウイルス感染再拡大の政治経済と心理」(2020年8月11日)

[Simon Wren-Lewis, “The political economy and psychology of COVID rebounds,” Mainly Macro, August 11, 2020]

現状は,第二波と呼んでもいいし,第一波のぶり返しと呼んでもいい.どう呼ぶにせよ,ヨーロッパの一部の国々では,新規感染者数がいったん低下ないし安定した期間が長く続いたのちに,いまや,一貫して(ときに急激に)新規感染者数が増加している.
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サイモン・レンルイス「景気回復のサボタージュ」(2020年7月7日)

[Simon Wren-Lewis, “Sabotaging the recovery,” Mainly Macro, July 7, 2020]

先週は,イギリスにおける都市封鎖(ロックダウン)を時期尚早に緩和すればいっそう多くの人命を失うことになるだろう理由について書いた.今回の文章では,時期尚早な封鎖緩和を行って生じる景気回復は低調なものとなり,一部の事業は倒産し多くの雇用が失われる見込みが大きい理由について述べよう.
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サイモン・レン=ルイス「イギリスは本当に「破綻寸前」だったのか?」(2020年6月25日)

[Simon Wren-Lewis, “Did the UK really almost go bankrupt?” Mainly Macro, June 25, 2020]

訳者の註記:イングランド銀行総裁アンドリュー・ベイリーが Sky News のインタビューに答えて「もしも中央銀行が介入していなかったら政府は資金調達に苦しんだだろう」と発言して,そこから「イギリス政府は3月に破綻寸前だった」と報道されました.このブログは,その一件についての話です.


このブログの記事はいつも週の前半に投稿しているけれども,出すつもりでいた記事が諸事情で止まっている.投稿するまで,もう一日かかりそうだ.一方で,『ガーディアン』紙の寄稿をようやくすませたところだ.こちらの文章では,イングランド銀行総裁〔アンドリュー・ベイリー〕のインタビューをとりあげた.総裁の発言は,のちに「イギリスが破綻寸前」だというナンセンスな見出しをつけて報じられている.拙稿では,「破綻寸前」云々の件がナンセンスである理由を解説している.ただ,ここでひとつ註記を加えておいた方がよさそうだ.「破綻寸前」だといった類いの話は古典的なメディアのマクロ経済学で,「政府は家計みたいなもの」という考え方に訴えかける.
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サイモン・レンルイス「いまは失敗を批判すべき時ではない?」(2020年4月20日)

[Simon Wren-Lewis, “Now is not the time?” Mainly Macro, April 20, 2020]

このポストは4月19日付 Sunday Times 記事の前に書かれた文章で,あの記事を踏まえて少し書き換えてある.政府がおかしたとくに深刻な失敗は,事態を追いかけて見ている人たちなら誰でも知っていたことだ.この記事では時系列をおいかけるのではなく,なされた失敗の種別に注目する.
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サイモン・レン=ルイス「政府債務に関するいくつかの神話」(2020年4月14日)

[Simon Wren-Lewis, “Some myths about government debt and how it is financed,” Mainly Macro, April 14, 2020]

先週の木曜(4月9日)にイングランド銀行が対政府貸付機関 Ways and Means Facility の上限を一時的に撤廃したことが,少しばかり物議をかもした.今回の上限撤廃により,事実上,イングランド銀行は今回の危機に当たって必要なだけのお金を政府に貸し付けられるようになった.これがああいう物議をかもすのを見るに,政府債務をめぐる多くの神話がどれほど世間に定着しているのかがよくわかる.そうした神話のうち,おなじみの例を3つとりあげよう.
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サイモン・レン=ルイス「財政ルール: 財政のための手引き」(2020年3月9日)

[Simon Wren-Lewis, “Fiscal rules: a primer for the budget,” Mainly Macro, March 9, 2020]

財政ルールに債務の GDP 比や債務金利その他のストックの数値を含ませるべきでないのはなぜか,公共投資は財政ルールの一部となるべきでないのはなぜか――こうしたことを知りたい読者は,ぜひ続きを読んでほしい.ただ,その前にまずは2つの重要な原則を立てておかないといけない.
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サイモン・レン=ルイス「いまだに緊縮はよい考えだったと思う人なんているだろうか?」(2020年4月7日)

[Simon Wren-Lewis, “Who still thinks austerity was a good idea?” Mainly Macro, April 7. 2020]

〔こんな新聞記事を想像してみよう〕もうすぐ2020年も秋を迎える.検査/追跡・隔離の新体制がとられ,一部地域がときおり封鎖されている.これはうまくいっているようだ.経済は,第2四半期に前年比 30% の GDP 下落のあとに回復し始めている.だが,この景気回復はメディアが伝えているものとは異なる.GDP の減少と政府による支援策実施にともなう当然の帰結として,政府の財政赤字は大幅に増えた.メディアはもっぱらこの赤字について語っている.こうしたメディアの懸念に対応して,政府は今後5カ年にわたって政府支出を削減すると公表する.ただし,国民保健サービス (NHS) は「守られる」とのことだ.
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サイモン・レン=ルイス「パンデミックの経済的影響」(2020年3月2日)

[Simon Wren-Lewis, “The economic effects of a pandemic,” Mainly Macro, March 2, 2020]

10年少し前,医療の専門家たちから連絡をもらった.なんらかのインフルエンザ・パンデミックが発生した場合の経済的な影響を知りたいのだという.彼らが必要としていたのは,一般均衡での影響を見るためのマクロ経済モデルだった.1990年代に,私は小さなチームを率いて,COMPACT というモデルを構築していた.連絡をくれた専門家たちと私で論文を1本書き,のちに Health Economics に掲載された.論文では,それまでになされていた他の研究も参照している.
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サイモン・レン=ルイス「金融政策と財政政策の協調:経済状態に応じて政策割り当てを切り替えるべき理由」(2020年1月14日)

[Sinon Wren-Lewis, “Monetary and fiscal cooperation: the case for a state dependent assignment,” Mainly Macro, January 14, 2020]

去年の12月にマーク・カーニー〔イングランド銀行総裁〕はこう発言した

世界的な流動性の罠において,中央銀行のみが「なすべきことはなんでもやる」政策担当者となることはありえません.他の政策,とくに財政政策との協調から明確に得られるものはあります.

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