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タイラー・コーエン 「『コンフォート・フード』の人気が再燃?」(2020年4月26日)/「『コンフォート・ミュージック』への回帰?」(2020年4月28日)

●Tyler Cowen, “Comfort foods make a comeback”(Marginal Revolution, April 26, 2020)


大手の食品メーカーが手掛ける「コンフォート・フード」(comfort foods)1人気が再燃しているコロナ禍の中で、消費者が馴染みやすさと利便性を追い求めているのがその一因と見られている。

大手の食品メーカーの加工食品よりも、新鮮な食材や特産品、あるいは、小売店が独自に販売する安価なブランド。消費者の近年の好みの傾向はそうなっていたが、大手の食品メーカーの幹部が語るところによると、ロックダウン(都市封鎖)の発令により自宅で食事をする機会が増えたのに伴って、冷凍ピザ、パスタソース、マカロニ&チーズの売り上げが伸びているという。

世界最大の食品メーカーであるネスレが金曜日に発表したレポートもここのところのトレンドを裏付けている。ディジョルノ・ピザ、ストファーズの冷凍食品、ホットポケット・サンドイッチの売れ行きが好調で、既存事業の第1四半期の売上高が伸びに伸びているというのだ。ネスレの子会社ブランドであるトール・ハウスやカーネーションのベーカリー製品(クッキーなど)の売れ行きも好調だという。

調査会社大手のニールセンがまとめたレポートによると、(2020年)4月11日までの1週間の間に、米全土でのスープの売上高は37%増、肉の缶詰の売上高は60%増、冷凍ピザの売上高は51%増をそれぞれ記録しているという。

「消費者が不安を感じたり恐怖にさらされると、大手メーカーが勢いを取り戻すというのはこれまでに何度も繰り返されてきたパターンです」と語るのは、ユニリーバのCEOを務めるアラン・ヨーペ氏。大手メーカーの巻き返しは今後数年は続くのではないかとも付け加える。

全文はこちらだが、どのくらい一般的な現象なんだろうね? 食品以外の分野でも似たような傾向が見られるんだろうかね? 例えば、本(小説)の話になるが、分厚い古典の売り上げが伸びてるっていうデータがある。個人的に肌で感じたレベルの話でいうと、車を運転している時に――といっても、車を運転する機会もめっきり減ってるわけだが(だって、どこにお出かけすればいいっていうんだ?)――、衛星ラジオのビートルズチャンネルにあわせると、「ヘイ・ジュード」とか「イン・マイ・ライフ」とかが前よりも頻繁に流れてくるような気がする。わざわざ車を20分かそこら走らせて、6分超も尺がある(ジョージ・ハリソンが作詞・作曲した)「イッツ・オール・トゥ・マッチ」を聞きたいって思う人がいるだろうかね?

食べ物の件で言うと、個人的には、持ち運びが楽で、保存するのが簡単な食品を買う傾向が強まってる。あと、冷凍に向いてるやつ。持ち運びが楽で、保存するのが簡単で、冷凍に向いてるっていう条件を満たす食品というと、肉とか豆とかってことになる。その一方で、生の果物とかパンとかは条件から外れることになる。最も条件に合うのは、冷凍コーンだ。あと、ピクルスも。野菜で言うと、比較的長持ちするやつを選ぶようにしている。カリフラワーとかスカッシュとか。ホウレンソウは傷みやすいんで、ごめんなさいだ。コンフォート・フードそれ自体を贔屓にしているわけじゃないが、できるだけ少ない食材で出来る料理を作りたいんで(食材をたくさん使う料理はたぶん作れないだろうからね。私の腕ではね)、そうなると結果的にコンフォート・フードを買い求めるってことになる。 [Read more…]

  1. 訳注;自宅で簡単に調理できて、「家庭の味」を思い起こさせてくれる食品。心に安らぎを与えてくれる食品。 []

タイラー・コーエン 「ウィズコロナ時代の恋愛のかたち」(2020年8月25日)

●Tyler Cowen, “The new marginal revolution”(Marginal Revolution, August 25, 2020)


サラ――フィラデルフィア在住の31歳女性――も、キスには大きなリスクが伴うことはわかっている。だからこそ、「誰かとキスするんなら、一気に何段もすっ飛ばしてそのまま一夜を共にしちゃった方がいいんじゃないかしらね」とのこと。

全文はこちら。こんな記事にそのうちお目にかかるんじゃないかって気になっていたものだ。他にも興味深い箇所を引用しておこう。

ウィズコロナ時代には、初デートまで行き着く前に(コロナ絡みの)尋問がネット経由で繰り返される。そのおかげで、まだ直接会わないうちから、二人の間では親密さがいや増すことになる。フォアマンは次のように語る。「初めてのデートでキスしたら・・・、キスできるのはそれまでにいくつもの尋問を受けてきたからですけど、もう4回目のデートを迎えたようなもんです。たとえ彼女になってもらえなくても、どちらとも羽を伸ばしたくて仕方ないんです。何ヶ月も耐えてきたんですからね」。

もう一丁、興味深い・・・というよりは、議論を呼びそうな箇所を引用しておこう。

過去数ヶ月は注意深く過ごしてきたというマーチン。しかし、今では、安心そうと感じた相手とは一夜限りの関係を持っているという。

コロナ禍でのゆきずりの恋の安全性(危険性?)について信頼できるデータを手に入れられそうな見込みは・・・無さそうだ。

タイラー・コーエン 「ヒトは無意識のうちに自分の匂いを頻繁に嗅いでいる?」(2020年4月24日)

●Tyler Cowen, “Are humans constantly but subconsciously smelling themselves?”(Marginal Revolution, April 24, 2020)


以下に引用するのは、オフェル・パール(Ofer Perl)率いる研究チームの論文のアブストラクト(長~いアブストラクト)の冒頭部分だ。自分の顔を手で触らずにいるのがなかなか難しい理由を説明する一助になるかもしれない。

人間をはじめとして霊長類に属する生物は、かなりの頻度で自分の顔を触ることが知られているが、その機能についてもその由来についても未だもって不明なままである。本稿では、人間が自分の顔を触るのは自分の手の匂いを嗅ぐためではないかとの仮説を提示する。まずはじめに、人間がかなりの頻度で自分の顔を触っている事実を確認するために先行研究を展望する。次いで、人間が自分の顔を触るのは自分の手の匂いを嗅ぐためであることを示唆する実験結果を詳しく取り上げる。その実験結果によると、被験者が手で自分の顔を触るのに伴って鼻の呼気量が大きく増えるだけでなく、被験者に気付かれないように香水やステロイド化合物を振りかけると、それに伴って手で顔を触る頻度が増えたり減ったりする(香水を振りかけた場合は増え、ステロイド化合物を振りかけた場合は減る)ことが確認されている。自分の顔を触って自分の手の匂いを嗅ぐのは大体において無意識の行為である可能性が高いが、人間は(自分の顔を触る以外の方法で)意識的にも自分の匂いをかなりの頻度で嗅いでいるようである。

「滅多に問われない疑問集」にまた一つ追加だ。情報を寄せてくれたミシェル・ドーソンに感謝。

タイラー・コーエン「無神論者はどうしてこんなに不人気なのか?」(2021年3月1日)

[Tyler Cowen, “Why are atheists so unpopular?” Marginal Revolution, March 1, 2021]

Tomas Ståhl の新研究論文から:
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タイラー・コーエン「2番目に安いワインはボッタクリってほんと?」(2021年6月1日)

[Tyler Cowen, “Is the second-cheapest wine a rip-off?” Marginal Revolution, June 1, 2021]

Mussa & Rosen (1978) の研究で示された製品ラインの標準的経済分析からは,より高品質な製品ほど,絶対的な利幅は高くなることが含意される.一方,ワイン・リストにはこの特徴が当てはまらないと広く主張されている.レストラン経営者は2番目に安いワインを割高に設定していると信じられている.そうする理由は,知識のないディナー客が最安の選択肢を選ぶのを恥ずかしがるのを利用するためなのだと言われる.本稿では,どちらの説が正しいのかを検討する.本研究では,2番目に安いワインの利幅は,それより価格が高い4つのワインよりも顕著に小さいのが見出される.2番目に安いワインがとりわけろくでもない買い物だというのは,都市伝説だ.パーセンテージで見た利幅は,中価格帯のワインでもっとも大きくなっている.これは,行動の要素がなく垂直に差別化された製品ラインでの利潤最大化価格設定と整合する.ただし,他の要因もこの価格パターンに寄与しているかもしれない.

上記の抜粋は,David de Meza & Vikram Pathania による新論文から.via The Browser(ここはお金を払う値打ちがあるよ).

タイラー・コーエン「Twitter の作用についてマット・イグレシアスが語ってること」(2021年5月27日)

[Tyler Cowen, “Matt Yglesias on the dynamics of Twitter,” Marginal Revolution, May 27, 2021]

ソーシャルメディアはまぎれもなく社会的(ソーシャル)だ――つまり,ソーシャルメディアでは,ウチ集団とソト集団をつくってウチ集団に順応する圧力が信じられないほど強くかかる.コットンやポンペオを尊崇していて世間にコットン=ポンペオ思想の信奉者として知られたがってでもいないかぎり,科学者どうしの内輪で少数派の見解をわざわざ声に出して語ろうなんて気はそうそう起きないものだ.科学にいそしむこともできるのに,日がな一日 Twitter で言葉の泥仕合をしてすごす理由なんてあるだろうか? Twitter をざっと眺めて,これぞ「科学者」って感じの人たちがしかじかの話題について考えてることの印象を固めたところで,ありもしない共通見解を認識してしまう.賛否が7対3で分かれる話題があったとして,その3割が声を潜めていたら,傍目には 98対2 に賛否がわかれてるように見えてしまったりする.

ぼくは科学にはあまり通じてないから,これが一般にどれほど当てはまるものなのか見識を持ち合わせてはいない.

でも,経済学の場合だったら,よく知ってる.経済学では,これは大問題だ.誰かが,キミと同意見のツイートをしたとしよう.それなら,RT したりちっちゃいハートマークの「いいね」をつけたりして歓迎しやすい.誰かのツイートに異論を挟むとなると,ケンカがはじまってしまう.逆に,ケンカをおっぱじめるよりも,いっぱい RT されたり「いいね」がつけられたりして歓迎されるツイートをする方が,ずっと心地いい.そんなわけで,経済学で Ph.D をとった人たちと話した経験からぼくが知ってることを言うと,自分の属している界隈で不人気だと思ってることを発言しないように経済学 Ph.D もちのほぼ誰もが多くの場合に避けてる.〔Twitter など人目がある場所にくらべて〕もっとくつろいだかたちで時間を割いて話をしてみないかぎり,思っている以上に異論や意見の衝突は多いんだとわからない.

これはいろんな専門領域に当てはまるんじゃないかとぼくは強く疑ってる.そのせいで,あちこちでニセの共通見解の錯覚にとじこめるバブルがたくさん生まれていて,すごく人々の誤解を誘うことになりうるんじゃないだろうか.そして,ぼくには解決案のもちあわせがない.

イグレシアスの Substack 投稿全文はこちら.ぼくはよろこんで有料購読者になった.もちろん,もっと射程の広い問いもある.つまり,こうした問題をどうすれば制限できるんだろうか? 偽名ツイッタラーや執筆者がもっと増えればいい? 自分の評判を大して気にかけない気むずかし屋の年配者がもっと増えればいい? Substack で書く人がもっと増えればいい? 他の案は?

タイラー・コーエン「大集団での協力にも適するようにヒトは進化した?」(2021年5月23日)

[Tyler Cowen, “Did humans evolve to be suited for large-scale cooperation as well?” Marginal Revolution, May 23, 2021]

ボイド & リチャーソンの新しい論文から:

本稿では,移住しながら狩猟・採集で暮らしていた社会が大勢で協力して共同財を生み出していた証拠を提示する.狩猟民たちは大規模な共同体での狩猟に従事し,共有の資本設備をつくりあげていた.彼らは地域環境の改善に共同で投資していた.さらに,戦争・同盟関係・交易にも参加していた.大規模な集団行動は,生存するうえできわめて重要な役割を果たすことも多かった.公共財をもたらす際には,多人数の共同行動がなされ,個々人の貢献は小さなものにとどまった.この証拠からは,ヒト進化史の大半にわたって続いた更新世社会で大規模協力が発生し,したがって,小集団でのやりとりでのみ進化し形成された心の仕組みから完新世の食物生産社会がうまれ,そこで大規模な協力がなされるようになった見込みは薄いことが,うかがいしれる.ヒトの大規模な協力は適応として説明される必要がある.その根っこは,ヒトに独特な生物学的仕組み・文法をもつ言語・向上した認知能力・累積的な文化適応にある見込みが大きい.

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タイラー・コーエン「人口から規制が予想できる――けど,なんでだろ?」(2021年5月21日)

[Tyler Cowen, “Population predicts regulation — but why?” Marginal Revolution, May 21, 2021]

全米の州で,人口規模が2倍になると規制が 23%~33% 増える.


〔※ヨコ軸は2000年時点の人口(百万),タテ軸は2018年時点の規制総数(千)〕

この規制と人口の相関は驚くほど頑健だ――オーストラリアの州でもカナダの州でも成り立っているし,限られたデータにもとづいて言えば,さまざまな国々どうしにも成り立っているらしい(たとえば,「自由市場」の合衆国の方が,カナダよりも規制が10倍多い――そして,人口も10倍だ)

相関ははっきりしている一方で,この相関がそこまで強い理由はそんなにはっきりしない.Mulligan & Sheifer の研究では,その理由を規制の固定費に求めている:つまり,政体の規模が大きくなればなるほど,より多くの人たちにそのコストを分散できるので,規制の平均コストは安上がりになる.それで,人口の大きい国ほど規制をやりがちってわけだ.他にも説明が2つ思いつく:政体が大きいほど規制に見あるだけの外部性が生じるのかもしれないし,あるいは,規制によって生じる便益は一部に集中しつつもコストは広く分散するとしたら,人口が大きくなればなるほど規制に打撃を受ける人たちが団結して反対しにくくなるのかもしれない.

引用した James Bailey のブログ記事が参照してる研究は,James Bailey, James Broughel & Patrick McLaughlin によるもの.3人のうち,Broughel と McLaughlin は Mercatus〔ジョージメイスン大学の研究所〕の同僚だ.

タイラー・コーエン「インフレのトリレンマ」(2021年5月13日)

[Tyler Cowen, “The inflation trilemma,” Marginal Revolution, May 13, 2021]

みんなも知っているとおり,物価インフレ率は 4.2% という数値が出てきた.予想よりもずっと高い.これを見ても大した問題じゃないと言い続けたい人たちは多いし,もしかしたら彼らは正しいのかもしれない.でも,次の3つの見解は同時にとれない:
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タイラー・コーエン「小集団のネットワーク構造と災害での生存率」(2021年5月10日)

[Tyler Cowen, “Network Structure in Small Groups and Survival in Disasters,” Marginal Revolution, May 10, 2021]

こういう研究結果が当てはまるのは,もしかして災害にかぎられないんじゃないかな:
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