Browsing Category

タイラー・コーエン

857 posts

Tyler Cowen ジョージ・メイソン大学経済学教授。貨幣経済学、ミクロ経済学、政治哲学、社会哲学を専門とする。The Great Stagnation(邦訳『大停滞』)の著者。ハーバード大学よりPh. D. (経済学)取得。

タイラー・コーエン 「ナチスによる財政政策の真相(その2)」(2009年4月2日)

ナチスが政権を握った1933年の時点では、ドイツの軍事費(軍事支出)の対GDP比は2%にとどまっていた。その後、その値は着実に上昇を続け、1940年の時点で44%に達した。この間にGDPの計測値は高まったが、その分だけ国民の福利が増進した(という意味で豊かになった)かというとそういうわけじゃない。ナチスによる財政政策は、経済の真のパイを増やしはしなかったのだ。

タイラー・コーエン 「ナチスによる民営化」(2008年12月27日)

1930年代のナチスによる民営化は、イデオロギーによって突き動かされていたわけではなく、複数の目的を達成するために試みられた意図的な政策の一環だった。近年における民営化の多くのケース――とりわけ、EU(欧州連合)諸国におけるケース――と同じく、国庫の厳しい資金繰りの改善(=財政収支の改善)というのが肝心な動機の一つだったのである。それに加えて、政治的な思惑も込められていた。ナチスにとって民営化というのは、政権および党に対する支持を強化するための手段でもあったのである。