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タイラー・コーエン「世界はストレス下の心理測定を実施中」(2020年3月27日)

[Tyler Cowen, “The world is running a disturbing psychometric test,” Marginal Revolution, March 27, 2020]

小さなお子さんがいる人たちは(それほど小さくないお子さんがいる人たちも)除外して,人々を観察してみよう.今回のパンデミックで生産性が加速してるだろうか,それとも,生産性がガタガタになってるだろうか.そこを見れば,その人がストレスにどう対処できるかを計る物差しになる.それに,苦しい状況ですばやく適応して仕事を進める必要がある大きなプロジェクトやスタートアップをやろうというとき,その人が信頼できるかどうかをはかる物差しにもなる.
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タイラー・コーエン「コロナウイルスによって進歩派左翼は死んだ」

Tyler Cowen  “The Coronavirus Killed the Progressive LeftMarginal Revolution, March 20, 2020

タイトルは僕の最新のBloombergコラムのトピックから。もちろん釣りタイトルなんだけど,糸の先に付いてる餌は真実だ。以下はそこからちょこちょこ抜粋したもの。

― 進歩派左翼の平等主義もまた,おぼろげな記憶のようになるだろう。エリートは自分に害がないときであればたいてい富の再分配を支持するし,実際にカリフォルニアや北東部の海岸沿いの金持ちエリートは進歩主義運動の屋台骨となっている。しかし,こうした人々が自身の生活や職業が脅かされていると感じる,あるいは彼らの子供たちの未来が突如として安泰ではないように思われてしまうと,再分配はそんな魅力的な理想ではなくなってしまうだろう…

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タイラー・コーエン 「アルバート・ハーシュマンの経済学」(2006年8月15日)

●Tyler Cowen, “Albert Hirschman”(Marginal Revolution, August 15, 2006)


HenryがCrooked Timberブログで問うている

リバタリアンの面々は、ハーシュマンの議論についてどう思ってるんだろうか? そもそも、ハーシュマンを読んだことあるんだろうか? ハーシュマンについて、いくらか練られた意見を持ってたりするんだろうか?

アルバート・ハーシュマンは、ノーベル経済学賞を受賞するにふさわしい人物だ。不均衡発展に関する初期の研究(邦訳『経済発展の戦略』)は、経済発展論(開発経済学)の分野における先駆的な業績だし、 『The Rhetoric of Reaction』(邦訳『反動のレトリック』)は、知識人による自己欺瞞(self-deception)に関する優れた研究だ。さらには、思想史の研究者としても優れた業績を残している。例えば、商業活動が世俗の道徳をいかにして形作ったかを跡付けた研究(邦訳『情念の政治経済学』)がそれだ。

しかしながら、もし仮にノーベル経済学賞がハーシュマンに授与されるようなことがあるとすれば、その理由は、経済学者や政治学者の注目をボイスという現象(邦訳『離脱・発言・忠誠』)に振り向けさせた点に求められることだろう。ボイス(抗議)とは何かというと、消費者や有権者が不満の声をあげることで、企業や政府が提供する財やサービスの質の改善を促すことを指している。ハーシュマンは、ボイスのメカニズム1 についてシステマティックに考え抜いた最初の学者、現代の社会科学界のパイオニアなのだ。 [Read more…]

  1. 訳注;ボイスを通じた規律付け効果 []

タイラー・コーエン 「公共選択論を学ぶ上で何を読んだらいいか;推薦文献リスト」(2011年1月20日)

●Tyler Cowen, “Public choice: what to read”(Marginal Revolution, January 20, 2011)


Jonathan G がこんな質問を投げかけている。

公共選択論の概念のうちで、リベラルな人間(liberals)にあまり馴染みのない概念としては、どんなものがあるだろうか? 公共選択論について学ぶ上で、お薦めの本なり、論文なりがあれば、紹介してもらえないだろうか?

「リベラルな思想の持ち主」(“liberals”)というのが具体的に何を意味しているのかちょっとわかりかねるので、「公共選択論について学ぶ上で、お薦めの本なり、論文なりと言えば?」という質問に的を絞って、私なりに答えてみるとしよう。私のお薦めは、以下の通り。 [Read more…]

タイラー・コーエン「新刊『あなたの起源:子供時代がいかにのちの人生を形成するか』」(2020年3月7日)

[Tyler Cowen, “*The Origins of You: How Childhood Shapes Later Life*,” Marginal Revolution, March 7, 2020]

本書は Jay Belsky, Avshalom Caspi, Terrie E. Moffitt, & Richie Poulton の共著による近刊だ.きっと,この数年でなされた最重要にして最良の研究だと認められることだろう.想像してみてほしい.ニュージーランドのダニーディンに住む人々 1,000人余りの人生を出生から38歳まで追跡して多岐にわたるデータを記録し,さらに,15カ所でイギリス人の双子たちを20歳まで,アメリカ人の子供たちを15歳まで同じように追跡調査していくなんて,いったいどれほどのことがわかるだろう.想像できるかな.
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タイラー・コーエン「誰でもトイレを使えるようにしたスターバックスの顛末」(2020年3月7日)

[Tyler Cowen, “Facts about Starbucks against free bathrooms charge them all,” Marginal Revolution, March 7, 2020]

2018年5月に,抗議の声に応じてスターバックスは全国で方針を変更し,商品を買わなくても誰もが客席やトイレを利用できるようにした.本研究では,匿名化した携帯電話位置情報データを大量に用いて推計を行った.これによれば,新方針により,近隣のコーヒーショップやレストランに比べて,スターバックスの店舗への訪問が7.3% 低下することにつながっている.立ち寄りの低下は,スタバックスが公に開示している情報からは計算できない.開示情報には,他のコーヒーショップという対照群が欠けているためだ.訪問者の減少は,ホームレスシェルターの近くにある店舗ではおよそ 84% 大きくなっている.また,新方針により,集約的限界需要にも影響している:すなわち,新方針の実施後に立ち寄った顧客は,近隣のコーヒーショップに比べてスターバックスでの滞在時間が 4.1% 減っている.より裕福な顧客ほどスターバックス店舗への訪問を減らしているが,〔人種だけに注目すると〕黒人・白人どちらの顧客も同程度に訪問しなくなっている.新方針により,スターバックス店舗近隣では立ち小便の処罰件数が減っているが,社会秩序を乱す他の類似した犯罪にはなんら影響が見られない.こうした結果から,企業が公共財を提供しようと試みても,支払いをしない人々によって潜在的な顧客たちが閉め出されるために困難が生じることがわかる.

上記は,Umit Gurun, Jordan Nickerson, & David H. Solomon による新論文からの抜粋だ.Kevin Lewis の洞察力は誰にも疑いようがないんじゃない?

タイラー・コーエン「イギリスによるナイジェリア植民地支配」(2020年3月4日)

[Tyler Cowen, “British colonialism in Nigeria,” Marginal Revolution, March 4, 2020]

イギリスによるナイジェリア植民地支配は60年ほど続いた(…).当初,イギリスはナイジェリア統治を安上がりにすませようと模索した.このため,間接統治が好まれることとなった.植民地統治の実務の多くは,伝統的なアフリカの権威と共同作業でなされた.中央集権化された支配・整然とした武力・専門的な行政職員を創出することに,イギリスは労力をほとんど注がなかった.イギリスがつくりあげてナイジェリアに残した国家の質は,かなりおそまつなものだった(…)

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タイラー・コーエン「コロナウイルスで科学と出版の文化はどう変化しているか」(2020年2月27日)

[Tyler Cowen, “How the coronavirus is changing the culture of science and publication,” Marginal Revolution, February 27, 2020]

10年前には存在すらしていなかったプレプリント・サーバーに次々と大量のデータが公表され,正式なピアレビューがはじまる前からSlack や Twitter といったプラットフォームやメディアで分析・検討されている.学術誌のスタッフは時間外労働までして記録的な速度で草稿を査読に回し,編集し,出版している.格式ある New England Journal of Medicine (NEJM) では,COVID-19 に関する論文を投稿から48時間以内で掲載した.すでに 200以上ものウイルスゲノムが GISAID というプラットフォームに投稿され,進化生物学者たちの大軍によってすぐさま分析されている.彼らはプレプリントとソーシャルメディアでウイルスの系統発生ツリーを共有している.

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タイラー・コーエン「予測市場で景気後退のリスクが上昇中」(2020年3月1日)

[Tyler Cowen, “Recession risk is rising,” Marginal Revolution, March 1, 2020]

2020 @PredictIt recession prediction market probabilities are now above 40% amid #Coronavirus concerns.
コロナウイルスの懸念が広まるなか,2020 @PredictIt の予測市場で,景気後退の確率がいまや 40% を超えている.

That is from Jon Hartley, and here is his closely related new paper “Recession Prediction Markets and Macroeconomic Risk in Asset Prices.” Here is the prediction market page, at 47 as I am writing.
上記は Jon Hartley のツイート.これと密接に関連する新論文「景気後退の予測市場と資産価格のマクロ経済リスク」はこちら.予測市場のページはこちら.これを書いてるいま,確率は 47% だ.

タイラー・コーエン「著作家が賞味期限を長く延ばす方法」(2020年2月6日)

[Tyler Cowen, “How public intellectuals can extend their shelf lives,” Marginal Revolution,February 6, 2020]

知識人が質のいい著作活動を続ける期間がああも短い理由について, Scholar’s Stage が長文記事を書いている.著作家が賞味期限を延ばすコツについて,ぼくなりにいくらか書いてみよう.べつに,ぼく自身がそういうコツを全部きっちりやってってわけじゃない.ぼくのやってることじゃなくて言ってることを参考にしてもらいたい.
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