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タイラー・コーエン「(特に日本の)経済学者はイデオロギーバイアスがあって権威に弱い?」

Tyler Cowen “Ideological bias and argument from authority among economists” Marginal Revolution, September 5, 2019 


と,いうのがモフセン・ジャブダーニとハジュン・チャンの新論文のテーマだ。以下は論文要旨からの抜粋。

19か国の経済学者に対してオンラインでのランダム化対照実験を行うことで,我々は経済学者たちの見解に対するイデオロギーバイアスの効果を検証した。我々は参加者に対して様々なテーマに関する有力な経済学者の言説を評価するよう求めるとともに,それぞれの言説の主張者の名前は参加者に知らせずにランダムに割り振った。各言説について,参加者は主流派経済学者の名前,イデオロギーの異なる非主流派ないしは主流派色の薄い経済学者の名前,名前なしのいずれかを提示された。我々は,イデオロギーの異なる非主流派ないしは主流派色の薄い経済学者の名前や,名前がないことが,言説に対して経済学者たちが同意を示すのを有意に減少させることを見出した。これは経済学者たちが自らに抱いているイメージとは相反する

以下は論文の本文内から

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タイラー・コーエン「金融政策は力を失ってしまった?」(2019年8月29日)

[Tyler Cowen, “Has monetary policy lost its power?” Marginal Revolution, August 29, 2019]

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タイラー・コーエン「いたるところに市場あり:日本のカーレンタル編」(2019年7月8日)

[Tyler Cowen, “Japanese car rental markets in everything,” Marginal Revolution, July 8, 2019]

車を借りるといっても,べつに運転するためじゃない場合もある:

同社の調査に回答した人のなかには,こんな人もいた.昼寝の場所にするために借りていったり,仕事場に使うために借りていく人たちがいましたよ.また,近くのコインロッカーが全て塞がっているときにカバンその他の手荷物を収納するために車を借りたという人もいる. 2011年の大震災と津波に見舞われたあと,レンタルカーは携帯電話の充電にも利用された. 「コンビニで買った弁当を食べるのに車を借りました.他に昼飯を食べられる場所が見つけられなかったもので.」 そう語るのは東京に近い埼玉県に住む会社従業員の31歳男性だ. 「いつもなら,うちのお客さんに会いに行くときに昼寝できる唯一の場所といったら駅前のネットカフェなんですが,車を借りて車内で寝てもほんの数百円で,ネカフェに行くのとほぼ同額ですみますね.」

アンドリュー・ホーキンスによる記事全文はこちら.via Samir Varma & Michael Rosenwald.

タイラー・コーエン「世界各国の正直さ」

Tyler Cowen “Civic honesty around the globe” Marginal Revolution, June 22, 2019


旅行に出てて話題にちょっと乗り遅れてしまったけれど,とにかくもこの件を蒸し返してみよう。

市民の正直さは社会資本と経済発展の必須要素であるが,しばしば物質的な利己心と対立する。私たちは世界40か国355都市における実地実験を用い,正直さと利己心とのトレードオフを検討した。私たちは異なる金額が入った17000個以上の財布を公的機関や民間機関に届け出,財布を受け取った側が返却のために持ち主に連絡を取るかを計測した。ほぼすべての国において,入っている金額が大きいほど市民が財布を返却する可能性が高かった。この結果は非専門家及び専門家の双方が予想しえなかったものだ。追加的なデータは,私たちの主要な発見が利他的な配慮及び自分自身が泥棒であると見なしてしまうことへの忌避の組み合わさったものであることを示唆しており,後者は不正直であることによる物質的な利益が高まることで増大する。

以上がアラン・コーン,マイケル・アンドレ・マレシャル,デビッド・タンネンバウム,クリスティアン・ルーカス・ズンドの新論文の要旨だ。これを後だしで言うのは簡単だけれど,この結果は直感的にしっくりくるものだと思う。下の図が各所で話題になっている各国ごとの結果だ1

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  1. 訳注;なお,日本は調査対象に含まれていない。 []

タイラー・コーエン 「ネットに転がる経済学のフリー教材」(2014年2月11日)

●Tyler Cowen, “Free economics resources on-line”(Marginal Revolution, February 11, 2014)


オースティン・フラクト(Austin Frakt)のブログエントリーより。

無料で利用できる(ないしは廉価で手に入る)経済学の教材(ただし、良質でなきゃいけない)を探しているところだ。独学用としても使えそうな教材。これまでの調査の成果を以下に掲げておくが、すべてに細かく目を通したわけではないので質に関しては(「良質」と言えるかというと)保証はできない。個人的には(私の専門である)医療経済学の方面に特にこだわりがあるわけではなく、どちらかというとミクロとマクロの対比に興味がある(とは言え、そこまで強いこだわりがあるわけではない)。経済学であれば細かい分野は問わない。何かしらめぼしい教材を御存知であれば(あるいは以下に掲げる教材を実際に利用した経験がおありなようなら)ご意見を頂戴できたら幸いだ。

教科書についてもご意見をお聞かせ願いたい。新品で買うとかなり値が張る品もあるかもしれないが、そのあたりのことは気にせずに好きな教科書をお教え願いたい。中古だったり古い版であれば独学者でも買ってもいいと思える値段で手に入る場合もあるかもしれないしね。参考になるかどうかはわからないが、私がここ最近で一番じっくり読んだ教科書はコーエンとタバロックが共著で執筆している『Modern Principles』だ。ミクロ編には強い感銘を受けたし、マクロ編も楽しく読ませてもらった(コーエン&タバロック本に対する私なりの所見は例えばこちらのエントリーを参照してもらいたい)。サンテール(Rexford Santerre)&ノイン(Stephen Neun)の(医療経済学のテキストである)『Health Economics』も読んだばかり。少しばかり協力させてもらったということもあり、バイアス込みでお薦めしておくとしよう。

コメント欄を一時的に開けておくのでご意見をお寄せいただきたいと思う。

ウォルター・アントニオッティ(Walter Antoniotti)がこちらのページに経済学のフリー教材のリンクをまとめている。タバロックに相談したらプレストン・マカフィー(Preston McAfee)の(無料の)テキストをお薦めされた。

タイラー・コーエン「エコノミスト 売春宿へ行く」

Tyler Cowen “An Economist Walks into a Brothel” Marginal Revolution, April 20, 2019

というのがアリソン・シュレーガーの新著のタイトル。副題は「そしてその他のリスクを理解するための予期せぬ場所」,以下はその本からの抜粋。

多くの点で,その売春宿はほかのどんな職場とも似ていた。しばしば週ごとのスタッフミーティング(多くの企業と異なるのは,女性たちがしばしば奇抜な帽子を被ったりお茶を飲んでいたりするところだ),金融アドバイザー,歩合ボーナス,そして社宅すらあった…

しかし,ホフ(オーナー店長)が価値を提供したところといえば,買い手と売り手双方のリスクを低減したことによる。

その売春宿で一番稼ぐ女性は年間で60万ドルの売り上げを誇り,その約半分がホフの懐に入る。そしてその売春宿のオーディションのため,女性たちは事前の費用(旅費,服装)としておよそ1,500ドルの投資を行うが,最終的に仕事を得られるかの保証はない。

米公共ラジオ局によるアリソンのインタビューはこちら

タイラー・コーエン「セックス景気の後退」(2018年11月14日)

Tyler Cowen ”The sex recession” Marginal Revolution, November 14, 2018


以下はThe Atlanticのケイト・ジュリアンの記事

ジェネレーションX1 やベビーブーマー世代2 も,過去の世代が自分と同年齢だったときよりもセックスする回数が少ない可能性がある。トウェンジは総合的社会調査によるデータを用いることで,1990年代から2014年にかけて平均的な大人のセックス回数は年62回から54回に減少したことを発見した。個人レベルの話であればこの減少に気づくことはないかもしれないが,国として見た場合には大量のセックスが失われていることになる。最近トウェンジは最新の総合的社会調査による2016年以降のデータを観察し,それによれば彼女が研究を行ってから2年の間にセックスの頻度はさらに落ち込んだという。

一部の社会科学者は,トウェンジの分析面に反論を行っている。それ以外にも,彼女のデータ参照元は高い評価を受けているもののセックス研究に完璧に合ったものではないという声も聞かれる。しかしながら私がこの研究についてインタビューを行ったそうした多くの専門家のうち,2018年の平均的な若年成人は数十年前の世代が同年代だった頃と比べてセックスの回数が少ないという考えにまともに異を唱えた人はいない。また,この現実が一般の認識と齟齬をきたしていることを疑う人もいなかった。すなわち,私たちのほとんどはほかの人は実際よりもずっと多くのセックスをしているといまだに考えているのだ。

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  1. 訳注;おおよそ1960年代と1970年代生まれの世代 []
  2. 訳注;第二次大戦後~1960年代半ばの世代 []

タイラー・コーエン「なんでみんなセックスしないの?」(2005年5月9日)

Tyler Cowen “Why don’t people have more sex?” Marginal Revolution, May 9, 2005


以下は当ブログの熱心な読者であるマイケル・ヴァッサーのコメント

どのような形態の帰結主義も,性的な行動の解釈に多大な困難を伴います。端的にいえば,説明できないセックスの不足があるのです。女性も男性もその他のほとんどの活動よりもセックスを楽しく思う(これは平均としての話で,私がそう感じるかは別の話です)ことを示す研究や,セックスが本質的に低コストであることを踏まえれば,おおざっぱな推定に推定したとしても,効用を最大化する人はほとんどの人よりもおそらく多くの時間をセックスすることに費やすように思えます。この点に関する経済学的な議論を何かご存知でしょうか。

僕らに必要なのは正当事由というよりも,取引を拒むことから利益が生じる理由だ。いくつか考えられるところを挙げてみよう。 [Read more…]

タイラー・コーエン 「大学院時代の思い出 ~マイルズ・キンボールはじめその他大勢の同窓と過ごしたハーバード大学の博士課程での日々を振り返る~」(2012年7月10日)/「アラン・クルーガーよ、安らかなれ」(2019年3月18日)

●Tyler Cowen, “Reminiscences of Miles Kimball, and others”(Marginal Revolution, July 10, 2012)


マイルズ(キンボール)は私と時を同じくしてハーバード大学の博士課程に進学した同窓の一人だ。同窓の院生の中で経済理論への理解の面で誰よりもキレキレだったのはマイルズとアビジット・バナジー(Abhijit Banerjee)の二人。彼らを相手に講義で何かを教えるというのはとんでもない恐怖だったに違いない。二人ともこの上なく紳士的な人物ではあったが、講義の最中に黒板の上に書き付けられる説明だったり論文の中の記述だったりに間違いや曖昧なところがあれば二人によってツッコミが入れられること間違いなしだったものだ。マクロ経済学の最終試験でのこと。アビジットが問題の一つを解いていると教授陣が用意しているであろう模範解答は間違いであることに気付き、そのことを指摘。自力で正しい解を導き出すだけではなく、その他にも答え(解となる均衡)が複数あり得ることまで発見。そこまでやって試験の残り時間はまだたっぷり・・・なんて出来事もあったものだ。スティーヴン・カプラン(Steven Kaplan)も同窓の一人。今では実証家(実証研究を専門とする学者)として知られている彼だが、院生時代には理論家として秀でた才能を示していた。マイルズ、アビジット、スティーヴンの三人が仲間内での理論談義の多くで主役を務めていたものだ。物静かな性格ということもあって理論談義にはあまり口を出さなかったものの、マティアス・ドュワトリポン(Mathias Dewatripont)も理論をお手の物としていた一人だった。二年上の先輩にはアラン・クルーガー(Alan Krueger)がいたが、数ある実証論文の中から一体どれが重要なものかを見抜くピカイチの鑑識眼を備えているだけではなく、実証研究のイロハに精通してもいる人物との評判を勝ち得ていたものだ。アランはラリー・サマーズ(Larry Summers)から多くを学んだようだ。ヌリエル・ルビーニ(Nouriel Roubini)も同窓の一人。何もかも知り尽くしているかのようなオーラを放っていていささかお疲れ気味なように見えることも時にあったが、概して物静かだったという印象だ。 [Read more…]

タイラー・コーエン「良い仕事はみんなどこへいってしまったの?」(2019年2月26日)

Tyler Cowen, “Not Working: Where have all the good jobs gone?“(Marginal Revolution, Feb 26, 2019

これはデヴィッド・G・ブランチフラワー著の新しい本のタイトルだ。以下は本文の抜粋のひとつ。

学歴の高くない人々向けの給与が高くて労組のある民間部門の仕事はなくなって久しい。1982-84年を基準にした恒常ドルで見ると、アメリカ合衆国の2018年4月の民間生産および非管理職労働者(現業職)の実質週給は、ピークだった1973年に比べて約10%低い。イギリスでは2018年の実質賃金は2008年の水準より6%低い。

そして、

金融危機後は、労働市場不振の主な指標として、不完全雇用1 が失業の代わりになっていることがあげられる。

これは今日の労働市場に何が起こっているのか再考したいひとにはとても良い本だ。彼の見解では、低迷している賃金動向からも明らかなように、まだたくさん〔労働の〕余裕がある。6月に発売予定だが、ここで予約できる。

  1. 完全雇用に達していない雇用水準。低賃金や労働時間の過不足、社会保障のない非正規雇用など労働者の能力や希望に満たない条件で雇用されている状態 []