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アレックス・タバロック「国際的な数学の才能の無駄遣い(の改善)」(2018年7月18日)

[Alex Tabarrok “The Misallocation of International Math Talent,” Marginal Revolution, July 18, 2018]

豊かな国ほど,科学や工学に割り振られる労働者の割合は大きくなる.そして,科学や工学がもたらすアイディアはみんなの利益になることも多い.だからこそ,他国が豊かになるとじぶんたちも得をするわけだ.とはいえ,科学者やエンジニアの人数だけが重要なわけじゃない.Agarwal & Gaule はかしこい論文を発表している.この論文では,同等な才能をもつ人たちであっても,より豊かな国にいる方が生産性が高くなることが示されている.
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タイラー・コーエン「よい科学者ほどよく笑う?」(2018年7月9日)

[Tyler Cowen, “Do better scientists smile more?” Marginal Revolution, July 9, 2018]

理論からも実証からも,頻繁にプラスの情動が生じる個人ほど日常生活や仕事で目標をうまく達成できることがシメされている.本研究では,つくりものでないプラスの情動の表情を科学者が表に出すことと仕事に関連した達成に正の相関があるかどうかを検討した.仕事に関連した達成を,ここでは文献面の計量(e.g.被引用数)と対人面の計量(学術的な更新のフォロワー数)で定義する.研究者向けソーシャルネットワーキング・ウェブサイトから440名の科学者を標本に取り出し,彼らが公開している写真がどれくらい笑っているかの度合い(満面の笑み,やや笑顔,まったく笑みがない)を複数名の評価役で数値化した.満面の笑みを掲載している科学者たちの方が,それほどプラスの情動の表情を見せていない科学者たちと比べて,更新を追いかけるフォロワー数をより多く引き寄せ,同じ公表論文数でも質(e.g. 論文1本あたりの被引用数)でまさっていることがわかった.プラスの情動がもたらす有益な効果に対してシン・スライシング・アプローチは,実験による証拠や長期的な追跡による証拠を補完する生態学的に妥当なアプローチとなる.プラスの情動を示す表情と科学上の影響・対人的な影響を結びつける証拠は,プラスの情動のモデルを拡大・構築する支えとなる.

これが当てはまりそうにない研究分野ってどこかにないかな…?

この論文には共著者がたくさんいる.ぼくの同僚 Todd B. Kashda もその一人だ.via 華麗なる Kevin Lewis

〔※訳者の註記: 原文のコメント欄では,「それって成功をおさめてる科学者ほどしあわせで笑顔になってるんじゃないの? そのへんをコントロールするのってむずかしいよね」と指摘が入っている.〕

アレックス・タバロック 「遺伝子 -> 教育 -> 社会的流動性」(2018年7月11日)

[Alex Tabarrok, “Genes->Education->Social Mobility,” Marginal Revolution, July 11, 2018]

子供の家族の社会経済的な地位と,その子が長じてからの所得・富・業績などさまざまな結果がどうなるかに相関を見出して,さらにその相関が因果関係なのだと主張する研究は何万件とある.そうした研究のうち,遺伝を統制する研究はほんのわずかしかない.双子の養子を追跡した研究では遺伝が重要だと提起されているにもかかわらずだ.だが,ゲノム分析が安上がりになったことで,双子研究にとどまらない研究が可能になった.たとえば,とある新研究では,同一の家庭で育てられた一卵性でない双子を対象にして,教育に関連する遺伝子のちがいに着目している.するとわかったのは,教育に関連した遺伝子が多い子供ほど教育面での成績がすぐれていて,大きくなってからの所得も大きくなるということだ.つまり,家庭どうしでも同じ家庭内でも,遺伝が部分的に原動力となって子供の残す結果が異なっているわけだ.
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ノア・スミス「ノア・スミス流日本旅行ガイド:後編」(2018年6月30日)

[Noah Smith, “Noah Smith’s Japan Travel Guide,” Noahpinion, June 30, 2018]

(前編はこちら

大阪

大阪だと,あちこち見て回る移動手段は地下鉄中心になる.大阪市営地下鉄〔現・大阪メトロ〕は全世界最高の運行がなされている地下鉄網だ.日本では〔エスカレータなどで〕たいてい左側を歩くけれど,大阪ではみんな右側を歩く.ぜひ心に留めておいてほしい.他の都市から大阪に来た人たちとぶつかること確実だ.あと,自転車には要注意.
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ノア・スミス「ノア・スミス流日本旅行ガイド:前編」(2018年6月30日)

[Noah Smith, “Noah Smith’s Japan Travel Guide,” Noahpinion, June 30, 2018]

日本旅行に出かけるなら,いまが絶好のタイミングだ.日本はほんとうに海外から訪れやすくなった.これも,アベノミクス,円安,そして目前に迫った東京オリンピックのおかげだ.それに,新テクノロジーのおかげで日本のあちこちを回るのもイケてるものを見つけるのもかんたんになった.日本はいま海外からの旅行ブームにわきたっている.これがいつまで続くかはなんちゃらのみぞ知るというやつだ.ここはひとつ日本に行ってみるか,という人もいるだろう.世界に乗り出して日本に旅行してみよう.
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アレックス・タバロック「どうして性差別と人種差別は減っていかないんだろう――誰もが性別差別も人種差別もあまりやらなくなってるのに」

[Alex Tabarrok, “Why Sexism and Racism Never Diminish–Even When Everyone Becomes Less Sexist and Racist,” Marginal Revolution, June 30, 2018]

概念は参照クラスしだいでちがってくるという考えはべつに新しくもない.背の低いバスケ選手は背が高いし,貧しいアメリカ人はお金もちだ.とはいえ,青い点はとにかく青い点だろ,と思ったことがある人はいるだろう.青色は波長で定義できる.だから,青いかどうかの線引きにはあいまいなところがあるにしても,「背が低い」「お金もちだ」といった相対的概念とちがって青い点の背後にはなんらかの客観的な現実がある,というわけだ.ところが,Levari, Gilbert, Wilson, Sievers, Amodio & Wheatley のオールスター研究チームによる Science 掲載論文が実に思考を触発する報告をしている.ぼくらが青だと判定する範囲は,青の刺激出現率 [prevalence] が低下するのにともなって拡大していくんだそうだ.
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サイモン・レン=ルイス「TV局は首相のウソをどう扱うべきか」(2018年6月19日)

[Simon Wren-Lewis, “How Broadcasters should handle the Prime Minister lying,” Mainly Macro, June 19, 2018]

このポストで取り上げる話題は,「EU離脱の清算金」と TV局がこれを扱うべき方法だ.ただ,その前に極端な例からはじめるとしよう:ドナルド・トランプだ.トランプが考察の第一歩にふさわしい理由は,メディアによるトランプと敵対手の扱い方が彼の大統領選出に貢献した部分が大きいからだ.トランプは世間を騒がせる発言をしては知名度を高めていった.その知名度のおかげで世論調査でトランプの支持率は上昇し,世論調査で支持が強まっているおかげでメディアで好意的に扱われるようになりはじめた.(この仕組みについては,こちらでもっと詳しく説明した.) トランプが共和党の大統領候補になると,釣り合いをとらずにいられないメディアの強迫観念によって,トランプのあれこれの嘘(税金を払っているのかいないのか,当局を買収しているのかどうか,女性に暴行したのかどうか)に割くのと同じだけの時間が,クリントンの些細なメール問題にもあてられるようになった
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アレックス・タバロック「サプライチェーンを張り巡らせた世界の貿易戦争は高くつく」(2018年6月25日)

[Alex Tabarrok, “Trade War Costs in a Supply Chain World,” Marginal Revolution, June 25, 2018]

アメリカ人がメキシコから車を1台買ったとしよう.このとき,買ったもののほぼ半分はもともとアメリカから輸入されたものだ(自動車関連で海外からメキシコに輸入されるものの74パーセントはアメリカからで,海外からの輸入と労働力がその価値の 2/3 をしめる.すると,0.74 * 0.66 = 48.44%となる――前のバージョンから修正した).
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サイモン・レン=ルイス「金融政策の新たな責務」(2018年6月21日)

[Simon Wren-Lewis, “A new mandate for monetary policy,” Mainly Macro, une 21, 2018]

ジョン・マクダネルがこんな提案をしている――イギリスの投資を増やすために,法人税減税をするのではなく,金融部門のあちこちから出てくる資金を資産ではなくイギリス企業による新規投資に振り向けようじゃないか.目標は実にけっこう.だが,イングランド銀行に 3% の生産性向上目標の任務を与えたところで,これを達成する最善の方法にはならない.とはいえ,べつに中央銀行は生産性に影響を及ぼせないと考えているからこう言うのではない.
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レヴィ・ボクセル「インターネット,ソーシャルメディア,政治的二極化」(2017年10月)

[Levi Boxell, “The internet, social media, and political polarisation,” VoxEU, Oct.1, 2017.]

これまで,政治的二極化が近年になって高まっているのはインターネットのせいだと多大な非難が向けられてきた.だが,政治的二極化が全体的に高まる傾向は少なくとも70年代までさかのぼり,そこにインターネットはなんら有意な役割を果たしていないことをこのコラムでは論じよう.使用するのはアメリカのデータだ.さまざまな研究結果を見ていくと,わかりやすい物語による説明に安んじずにもっと奥深く見通すことの重要さが際立ってくる.政治的な感情を押し動かす要因をもっと深く理解することが重要なのだ.
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