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サイモン・レン=ルイス「英米におけるメディアの急進化」(2021年2月8日)

[Simon Wren-Lewis, “Media radicalisation in the US and UK,” Mainly Macro, February 8, 2021]

合衆国でおきたキャピトルヒル襲撃がどれほど危険なものだったか,おそらく,合衆国外の多くの人々は認識していないだろう.議事堂の外から見た様子は,すぐにメディアで伝えられた.それでもまだ,十分に無害なものに見えた.現実は,それと大きく異なっている.5名の死者が出た.これには警官も含まれる.警官隊のバリケードを押し通って議事堂のなかになだれ込もうとしていた人々の顔を見て,ある共和党議員が述べたように――
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タイラー・コーエン「警官の人種・性別で取り締まり方は異なるか」(2021年2月14日)

[Tyler Cowen, “Diversity in policing,” Marginal Revolution, February 14, 2021]

黒人アメリカ人に警官が発砲する事件が人々の耳目を集めるなか,警官と市民それぞれの人種と性別によって両者のやりとりにちがいが生じるかどうかを知るのが重要となっている.Ba et al. の研究はこれまでのデータにあった制約を克服して,ヒスパニック系警官と黒人警官は白人警官にくらべて市民を呼び止めたり逮捕したりする回数がはるかに少ないことを見出している.この差は,とくに相手が黒人市民の場合に顕著だ.こうしたちがいは,シカゴ市内の黒人が多数を占める地域でもっとも大きくなっている(the Perspective by Goff を参照).また,女性警官も男性警官にくらべて実力を行使する回数が少ない.こうした結果は,警官隊の内部がますます多様になることに効能があることを支持している.

この抜粋は,Science に掲載された Bocar A. Ba, Dean Knox, Jonathan Mummolo, & Roman Rivera の新論文から.Via Anecdotal.

サイモン・レンルイス「緊縮の2つの側面」(2021年1月25日)

[Simon Wren-Lewis, “The two sides of austerity,” Mainly Macro, January 25, 2021]

『フィナンシャル・タイムズ』が〔財政政策に関する〕過去の誤りを認めたのをきっかけに,世間の議論で見落とされやすい論点を述べておこうと思う.イギリスで2010年からごく最近まで継続されて人々を苦しめた緊縮はひどいものだった.それには,2種類の理由がある.第一に,政府支出の削減(国家規模の縮小)は,たんに無駄を削ぐどころではなく支出をあれこれと切り詰めて紛れもない苦しみを引き起こした.この点に,大半の人々は関心を集中させている.第二に,マクロ経済に関わる理由がある.景気後退期に政府支出を削減するのは,けっしてよい考えではない.しかも,金利がゼロ下限にあるときに政府支出を削減したのは,災厄だった.
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ノア・スミス「最低賃金への反論を考える」(2021年1月27日)

[Noah Smith, “The minimum wage pushback,” Noahpinion, January 27, 2021]

もっともな懸念もあれば,そうでもない懸念もある

2週間ほど前,連邦最低賃金がかなり安全な政策である理由について長文の記事を書いた翻訳〕.あのあと,最低賃金懐疑派の人たちから手厳しい反論が出てきた.なかには,ぼくの同僚もいる.そうした反論は,ただ罵倒して却下するのではなくまじめに取り上げる値打ちがある.そこで,反論をひとつずつ取り上げていこう.ただ,まずは,政策全般について,費用・便益・リスクの話をしておきたい.
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タイラー・コーエン「買い手独占じゃないんだよなぁ」(2021年2月9日)

[Tyler Cowen, “Monopsony it ain’t,” Marginal Revolution, February 9, 2021]

連邦最低賃金を15ドルにしようって提案は覚えてるかな?

連邦議会予算局が推定した平均値では,雇用が140万件,すなわち 0.9% 減少する(…)

議会予算局の報告書から抜粋した.

Cagé et al.「英雄と悪漢:影響力ある有名人ネットワークがいかにして世界屈指の民主主義体制の崩壊と人種差別的かつ権威主義的国家の正当化に寄与したか」(2021年1月17日)

[Julia Cagé, Anna Dagorret, Pauline Grosjean, Saumitra Jha, “Heroes and villains: How networks of influential individuals helped destroy one of the world’s most durable democracies and legitimise a racist, authoritarian state,” VoxEU, January 17, 2021]

要旨

合衆国のキャピトルヒルで今月おきた出来事を彷彿とさせる重大局面が歴史上にはいくたびか起きている.そうした局面では,退役軍人や政治的英雄までもが国家に反抗する暴徒たちに加わっていた.このコラムでは,フランスにおける極右支持者やナチ協力者たちに関する新しい証拠を利用して,軍事的英雄などの影響力ある人々の外生的ネットワークによって民主的価値観がいかに損なわれうるかを示す.「オーバートンの窓」を広げてそれまで極めて不快だと思われていた考え方をまともなものに思わせるうえで,英雄たちは特別な立場にある.そうしたアイデンティティを共有する人々の社交ネットワークは,この影響を伝播し強化して,思想信条への傾倒を深め政治的立場を固くしバイアスの修正をいっそう難しくすることにつながりうる.

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タイラー・コーエン「韓国の最低賃金引き上げ」(2021年1月22日)

[Tyler Cowen, “The South Korean minimum wage hike,” Marginal Revolution, January 22, 2021]

法定最低賃金の大幅引き上げがもたらした影響に関する,論争を呼びそうな研究が火曜に公表された.来年度の標準賃金を決める交渉が行われているさなかでの公表で,雇用主と従業員の対立を呼びそうだ.

2018年に,低所得労働者たちの賃金水準〔最低賃金〕が 〔前年比で〕16.4パーセント引き上げられた.これが及ぼした影響を分析した韓国経済研究所の研究者たちによれば,多くの低賃金雇用が消失した一方で,すでに雇用されていた人々はより高い給与を享受している.同研究所は,韓国のトップ企業ロビーである the Federation of Korean Industries とつながりがある.

最低賃金は年度ごとに更新される.現在のレートは,時給 8.590ウォン($7.10)だ.2018年に,レートは前年の 6,470ウォンから 7,530ウォンへと,16.4パーセント引き上げられた.これは,過去17年間でもっとも急激な引き上げだった.

韓国経済研究所の報告によれば,この引き上げの対象となった労働者たち――2018年の法廷最低賃金未満の給与を2017年に受け取っていた人々――のあいだでは,雇用率が他の所得グループに比べて実に 4.6パーセントポイント低くなっているという.

このグループの 15.1パーセントほどが,2018年に無職者となっている.

同研究の計算では,失業事例の 27.4パーセントから 30.5パーセントが,最低賃金引き上げで雇用主たちが雇用削減を後押しされたことに起因するという.

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タイラー・コーエン「15ドル連邦最低賃金?」(2021年1月21日)

[Tyler Cowen, “Federal minimum wage of $15?” Marginal Revolution, January 21, 2021]

決定打がでた.連邦最低賃金をいまの倍にすれば――2009年からずっと $7.25 だったのを15ドルまで引き上げれば―技能や経験がほとんどない労働者の雇用機会が大幅に減少する件の,決定打だ.労働統計局から出ているデータによれば,2019年(パンデミック以前),47の州において,全労働者の少なくとも4分の1は時給 $15 未満で働いている.20の州では,全労働者の半数が時給 $18 未満で働いていて,さらに 30の州では,時給換算の賃金の中央値が $19 未満だ.

こうした統計からは,$15 が賃金下限としてすごく高いことがわかる.雇用主たちがいまの従業員たちを全員雇用し続けようとすれば,全米の労働力のうちものすごく大きな割合の賃金を引き上げる必要がある.でも,最低賃金引き上げの対象になる労働者たちがあまりに多すぎて,いまのまま雇用が維持されることはなさそうだ.かわりに,低賃金労働力の雇用数はしぼむだろう.

非党派の議会予算局が,この直観を裏付けている.その推計によれば,全米の最低時給が $15 に引き上げられたら失業者が 130万人増える[コーエンの註記: しかもこれはパンデミック以前の推計だ].また,この政策は企業収益も減少させ,消費者物価を引き上げ,GDP を減らすだろうと,議会予算局は結論している.

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アレックス・タバロック「2021年のうちにとにかくアメリカは集団免疫を達成する」(2021年1月20日)

[Alex Tabarrok, “We Will Get to Herd Immunity in 2021…One Way or Another,” Marginal Revolution, January 20, 2021]

7月には,ぜんぶ終わる.問題は,いまからそれまでにいったい何人が亡くなってしまうのか,ただそれだけだ.
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ノア・スミス「時給15ドルの最低賃金がかなり安全な理由」(2021年1月15日)

[Noah Smith, “Why $15 minimum wage is pretty safe,” Noahpinion, January 15, 2021]

最低賃金について経済学者たちが考えを改めた理由

1994年に,デイヴィッド・カードとアラン・クルーガーが画期的な研究を発表した.最低賃金を大幅に引き上げても,(大半の経済学者の予測に反して)失業が増えないというのが,その内容だった.カードは,多くの同僚たちに能動的に無視された.彼らは,最低賃金が雇用をつぶすという理論に深く傾倒していた:
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