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アレックス・タバロック「テクノロジーの文化的継承:試行錯誤で学習…はしないけど改善はするみたい」

[Alex Tabarrok, “Improving But Not Learning by Doing,” Marginal Revolution, October 4, 2018]

名著『人類が成功した秘訣』で,ジョー・ヘンリックは知性がもたらしたのではない複雑な技術製品や営みの事例をいくつも挙げている.そうした製品や営みを産み出したのは,仕組みをろくに理解しないまま文化的に世代をまたいで継承されてきた無数のささやかな改善の積み重ねだ.Derex et al. は,この文化的な世代継承仮説を検証するたくみな実験を披露している.
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サイモン・レン=ルイス「左派はこうして労働者階級の政党であることをやめた」(2018年10月6日)

[Simon Wren-Lewis, “How the left stopped being a party of the working class,” Mainly Macro, October 6, 2018]

トマ・ピケティが最近出した論文について,そのうち書こう書こうと思っていた.ピケティ論文は,第二次世界大戦後のフランス・イギリス・アメリカでどんな特徴が有権者が左派または右派への投票行動に影響したのかを検討している.(サイモン・クーパーがうまいタイトルの記事〔「2つのエリート層の対立:持てる者とヨット持てる者の闘い」〕でこの研究をうまくまとめている.) 下のグラフを見てもらうと,第二次世界大戦後に教育水準の高い有権者たちが右派に投票しがちになっていたのがいまや左派に投票しがちになっている様子がわかる(所得・年齢その他で統制したあとでもこの傾向は変わらない――ボックス内を参照)
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「OECD18ヶ国における中国からの輸入と国内雇用」(VOXEU, 2018年9月)

[Stefan Thewissen & Olaf van Vliet, “Chinese imports and domestic employment across 18 OECD countries,” VoxEU, September 6, 2018]

近年,保護主義が息を吹き返している.この背景にあるのは,輸入(とくに中国からの輸入)が国内雇用におよぼす影響への関心の高まりだ.本コラムでは,OECD18ヶ国の17部門で中国からの輸入と国内雇用への効果の関係を,多様な労働市場制度とともに考察する.これまでの研究結果から,中国からの輸入にさらされている部門ほど雇用が減少していることが示されている.とくに顕著なのが,低技能労働者の雇用減少だ.
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アレックス・タバロック「男子の方が数学・科学に比較優位がある?」

[Alex Tabarrok, “Do Boys Have a Comparative Advantage in Math and Science?” Marginal Revolution, September 17, 2018]

疑問の形をとっていても,このタイトル「男子の方が数学・科学に比較優位がある?」はきっと性差別的に見えてしまうだろう.「タバロックは,男子の方が女子よりも数学と科学に秀でてるって言いたいの?」 いや,ぼくが言わんとしてるのは,男子の方が劣ってるかもしれないってことだ..
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サイモン・レン=ルイス「危機を予測するには」(2018年9月17日)

[Simon Wren-Lewis, “How to predict a crisis,” Mainly Macro, September 17, 2018]

週末に昔の論文を整理していたら(わけは聞かないでほしい),1990年10月19日付けの『フィナンシャル・タイムズ』に書いた論考がでてきた.1990年10月といえば,イギリスが欧州為替相場メカニズム (ERM) に加わった月でもある.この論考では,以前に国立経済社会研究所の同僚たちとやった研究にもとづいて(最終稿はこちら),イギリスは誤った為替レートで加盟しようとしていると論じた.最後の段落では,こんな風に書いてある:
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アレックス・タバロック「却下された方が論文は引用されやすくなる?(それはどうかな)」(2018年9月10日)

[Alex Tabarrok, “Rejection is Good for Citation (maybe),” Marginal Revolution, September 10, 2018]

Science に掲載されたとある論文が,923の科学誌の論文8万本以上を検討して,こんなことがわかったと言っている――却下された論文の方が一発で掲載された論文よりも最終的には引用されやすくなる.
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タイラー・コーエン「履歴書不要,先着順で雇います」

[Tyler Cowen, “Open hiring,” Marginal Revolution, September 8, 2018]

履歴書不要.面接ナシ.身元確認ナシ.

一部の企業では,伝統的な採用方法をやめて,応募者を誰でも先着で雇いはじめている――その他は一切不問だ.

ニューヨーク州ヨンカーズにあるグレイストン・ベーカリーはこの採用方式をトレードマークにして,「不問採用」(open hiring) と称している.ファースト・カンパニーによると,同ベーカリーとこの採用方式は36年前にバーニー・グラスマンがつくったのだという.(略)

「やり方は単純ですよ」とブレイディは『ニューヨーク・ビジネス・ジャーナル』に語った.「ベーカリーをざっと見て知ってもらって,名簿に名前と電話番号とメールアドレスを書いてもらって,人員の空きができたらこちらから電話をかけて,『働きに来てもらう用意はできてますが』と伝える,それだけです」

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アレックス・タバロック「ウソでした:ヒステリーをバイブで処置してた説」

[Alex Tabarrok, “Hysteria Was Not Treated With Vibrators,” Marginal Revolution, September 2, 2018]

こんな話をご存知だろうか?――「ビクトリア朝時代に、「ヒステリー」の処置用に新しく発明された労働節約的な機械式バイブレータを使ったために、男性医師たちは意図せずして女性患者たちにオーガズムをきたさせてしまった。」 これはただの都市伝説とはちょっぴりちがう。学術書や論文で広まった話なんだ。Hallie Lieberman と Eric Shcatzberg が書いた新論文「学術的な品質管理の失敗例:オーガズムのテクノロジー」では、不正行為という言葉こそ使ってはいないけれど、ほぼそれに近い言い方をしている。
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スコット・サムナー「どんな情報を消費すべき?」(2018年9月3日)

[Scott Sumner, “What information should we consume?The Money Illusion, September 3, 2018]

「TEDトーク」はこれで2回目だ.テッドからの質問:

世の中に関する情報を消費するときに選別バイアスがかからないようにする対策はどうしてる?

ひとつの答えは「なんでも消費する」だ.タイラー・コーエンみたいにやればいい.

とはいえ,「そんな時間なんてないよ」という人もいるだろう.その場合には,読むものを「多様に」取りそろえてそれに集中する.多様にあれこれ読むということは,たんにイデオロギーによるバイアスをもっとたくさん避けるのにとどまらず,もっといろんなことをすることになる(イデオロギーのバイアスを避けるのも大事だけど).
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サイモン・レン=ルイス「BBCのバランス報道とダメなシンクタンクはこうして証拠にもとづく政策の妨げとなる」(2018年8月1日)

[Simon Wren-Lewis, “How BBC balance and bad think tanks discourage evidence based policy,” Mainly Macro, August 1, 2018]

《知識伝達メカニズム》(The Knowledge Transmission Mechanism; KTM) とは、大学の学者その他の研究者たちが生産した知識が公共政策に応用される仕組みだ。証拠にもとづく政策は、この仕組みがうまく機能した結果できあがる。理論上、メディアは KTM の重要な伝達経路にあたる: メディアが研究を世間に広め、政策担当者がメディアを見て/聞いて/読んで、公僕たちに研究を調査させる。あるいは、メディアはしかじかの問題に関する政策の合意を伝え、政治家はこの合意を踏襲していない理由をメディアに質される。
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