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タイラー・コーエン「これは現代の奴隷制と戦うのにふさわしい方法ではない」(2020年8月2日)

[Tyler Cowen, “How not to fight modern-day slavery,” Marginal Revolution, August 2, 2020]

――というのが,今回『ブルームバーグ』に書いたコラムの話題だ.ちょっと抜粋しよう.
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タイラー・コーエン「ロックダウン以後に就業時間の過ごし方はどう変わってるかな」(2020年8月4日)

[Tyler Cowen, “How the workday is changing post-lockdown,” Marginal Revolution, August 4, 2020]

3,143,270名のユーザーによる会議とメール利用について得られたメタデータを匿名化して集積して用いたところ,パンデミック以前の水準に比べて,一人当たりの会議回数が増加し(+12.9パーセント),会議1回あたりの出席者数も増加している(+13.5パーセント)一方で,会議の平均時間は減少している(-20.1パーセント).全体を総合して見ると,ロックダウン期間以後に,一日当たりの会議時間は減っている(-11.5パーセント).また,就業時間の平均的な長さは顕著に持続して伸びている(+8.2パーセント,すなわち +48.5分).さらに,電子メール利用時間も短期的に増加している.

上記の抜粋は,Evan DeFilippis, Stephen Michael Impink, Madison Singell, Jeffrey T. Polzer, & Raffaella Sadun による新しい NBER 論文から引用した.この研究は,ヨーロッパ・北米・中東から得られたデータに基づいている.

スコット・サムナー「人種差別の真実」(2020年7月25日)

[Scott Sumner, “The truth of racism,” TheMoneyIllusion, July 25, 2020]

人種差別の真実を解説する前に,真実の真実を解説しておく必要がある.たまにこんなことを言う人たちがいる――「あいつは人種差別で非難されてるけど,あいつはホントに人種差別者なのかな?」 この言葉遣いはややこしい.そこで,まずはなにを問題にしてるのか整理しておこう.
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サイモン・レンルイス「景気回復のサボタージュ」(2020年7月7日)

[Simon Wren-Lewis, “Sabotaging the recovery,” Mainly Macro, July 7, 2020]

先週は,イギリスにおける都市封鎖(ロックダウン)を時期尚早に緩和すればいっそう多くの人命を失うことになるだろう理由について書いた.今回の文章では,時期尚早な封鎖緩和を行って生じる景気回復は低調なものとなり,一部の事業は倒産し多くの雇用が失われる見込みが大きい理由について述べよう.
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VoxEUアブストラクト:「マスクの義務的着用とその他の都市封鎖政策による合衆国における COVID-19 の感染拡大は減少した」(2020年7月15日)

[Victor Chernozhukov, Hiro Kasahara, Paul Schrimpf, “Mask mandates and other lockdown policies reduced the spread of COVID-19 in the US,” VoxEU, July 15, 2020]

COVID-19 に直面して,人々は合理的かつ自発的にリスク情報に対応して行動をとった.このため,封じ込め政策の効果を自発的対処の効果から区別しにくくなっている.このコラムでは,合衆国において義務的なマスク着用政策が COVID-19 の感染者数と死者数にどう影響したか検討する.もしも,合衆国において,2020年4月1日時点で,不特定多数と接触する事業者にマスクの着用をするようが全面的に義務づけられていたなら,6月初めの時点で死者数は 40% 近く少なくなっていただろう.封じ込め政策は,直接には感染率を減少させることによって,そして間接には人々の行動を制約することによって,COVID-19 の感染者数と死者数に多大な影響を及ぼした.その影響は,感染者数と死者数の増加率で実際に観察された変化のおよそ半分を占める.

(コラム全文(英語)はこちら.)

タイラー・コーエン「どうしてアメリカ人のリーダーたちはこんなに高齢なんだろう?」(2020年7月18日)

[Tyler Cowen, “Why does America have such old leaders?” Marginal Revolution, July 18, 2020]

1950年いらい,OECE に加盟する30ヶ国ほどの政府首脳陣の平均年齢は一貫して下がってきている.当初の平均年齢は60歳以上だったのが,今日では平均54歳だ.OECE 加盟国首脳陣の平均年齢は,いまやトランプ氏より20歳ほど若い――バイデン氏に比べると,さらに四半世紀近くも若い(…)

高齢なのは,アメリカの大統領だけではない.議員の平均年齢も,数十年にわたって高齢化している.下院議長ナンシー・ペロシは80歳,上院多数党院内総務ミッチ・マコーネルは78歳だ.最高裁判事9名の平均年齢は67歳を超えている.トランプ氏の閣僚たちの平均年齢は,OECD諸国で最高齢となっている.

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スコット・サムナー「アイデンティティ派 vs. リベラル派」(2020年7月8日)

[Scott Sumner, “Identitarians vs. liberals,” TheMoneyIllusion, July 8, 2020]

[これよりずっといい記事を Econlog の方に書いてる.話題は貨幣経済学だ.]

多くの知識人は,政治というと「左派 vs. 右派」の切り口で考える.今日,左右よりももっと大きな分断が,アイデンティティ政治に取り憑かれている人々と,そうでない人々のあいだにある.つまり,アイデンティティ問題にとりつかれている左派イデオローグは,主流のリベラル派(進歩派と古典的リベラルの両方)よりも白人ナショナリストに近い.

マット・イグレシアスが冴えたツイートでこの概念を図解してる:
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タイラー・コーエン「ハーバードでのシグナリングと資質認定」(2020年7月7日)

[Tyler Cowen, “Signaling vs. certification at Harvard,” Marginal Revolution, July 7, 2020]

ハーバードは秋学期の教育をオンラインだけでやる予定だ(一部の学生は寮生活をする).それでも,学費は全額請求するそうだ.この件を論評している人たちの多くは,教育のシグナリング理論を支持する証拠がここからもたらされると主張している.
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サイモン・レン=ルイス「イギリスは本当に「破綻寸前」だったのか?」(2020年6月25日)

[Simon Wren-Lewis, “Did the UK really almost go bankrupt?” Mainly Macro, June 25, 2020]

訳者の註記:イングランド銀行総裁アンドリュー・ベイリーが Sky News のインタビューに答えて「もしも中央銀行が介入していなかったら政府は資金調達に苦しんだだろう」と発言して,そこから「イギリス政府は3月に破綻寸前だった」と報道されました.このブログは,その一件についての話です.


このブログの記事はいつも週の前半に投稿しているけれども,出すつもりでいた記事が諸事情で止まっている.投稿するまで,もう一日かかりそうだ.一方で,『ガーディアン』紙の寄稿をようやくすませたところだ.こちらの文章では,イングランド銀行総裁〔アンドリュー・ベイリー〕のインタビューをとりあげた.総裁の発言は,のちに「イギリスが破綻寸前」だというナンセンスな見出しをつけて報じられている.拙稿では,「破綻寸前」云々の件がナンセンスである理由を解説している.ただ,ここでひとつ註記を加えておいた方がよさそうだ.「破綻寸前」だといった類いの話は古典的なメディアのマクロ経済学で,「政府は家計みたいなもの」という考え方に訴えかける.
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タイラー・コーエン「美徳ある犠牲者のシグナリングは《暗黒三幅対》性格の指標」(2020年7月6日)

[Tyler Cowen, “Signaling virtuous victimhood as indicators of Dark Triad personalities,” Marginal Revolution, July 6, 2020]

本稿では,犠牲者であることのシグナルと美徳シグナルを発する帰結と予測要因を検討する.最初に示す3つの研究では,美徳ある犠牲者だと伝えるシグナルは,そのシグナル発信者に他人から見返り不要のリソース移転が起こりやすくしうることを示す.次に,犠牲者シグナリング尺度を開発・検証し,美徳シグナリングを計測するのに確立されている方法とこの尺度を組み合わせて,美徳ある犠牲者という構成概念を操作概念にする.《暗黒三幅対(ダークトライアド)》――マキャベリズム・自己愛・サイコパシーの3つ――を備える個人の方が,美徳ある犠牲者のシグナルを発する頻度が大きいことを示す.これは,西洋社会で犠牲者になることに一般的に関連している人口統計的・社会経済的な各種変数で統制した上での相違だ.研究 5 では,マキャベリズムをはかる特定の尺度――没道徳的な対人操作――と,自らが向社会性に優れていると信じていることを反映する一種の自己愛によって,その人物がより頻繁に美徳ある犠牲者シグナリングをすることが予測されるのを示す.研究 3, 4, 6 では,美徳ある犠牲者シグナルを発する頻度から次のようなことが予測されるという仮説を検証する:ボーナスをえるために嘘をつくなどの倫理的に疑わしい行動をよしと考えてそう行動する意志,偽造商品を購入する意志,偽造者についての道徳的な判断,組織活動の文脈で危害を加えられたことについて誇張した主張をすること.

上記は,E. Ok, et al. による新論文からの抜粋(via 本ブログ愛読者).同論文の様々なバージョンはこちらから.