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ブラッド・デロング「クルーグマン:機能的ファイナンスのどこが問題か」(2019年2月14日)

[Brad DeLong, “Paul Krugman: What’s Wrong With Functional Finance?,” Grasping Reality with Both Hands, February 14, 2019]

ポール・クルーグマン:機能的ファイナンスのどこが問題か:「MMT はアバ・ラーナーの「機能的ファイナンス」[pdf] とだいたい同じものに思える(…).そこで,このメモでやりたいのは,ラーナーの機能的ファイナンスをぼくが全面的には信じていないワケを説明することだ.この批判は MMT にも当てはまると思う.ただ,これまでのいろんな論争の経験から何事かが示唆されるとすれば,きっとすぐさまこんな風に言われることだろう,「クルーグマンはわかってない」「あいつは寡頭政治の腐った手先だ」とかなんとか.(…)
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サイモン・レン=ルイス「金利下限の罠,そして罠を脱出不可能にしている思想」(2019年2月2日)

[Simon Wren-Lewis, “The Interest Rate Lower Bound Trap and the ideas that keep us there,” Mainly Macro, February 2, 2019]

日本では,中央銀行が設定する短期金利が1990年代中盤からゼロ近傍にとどまっている.イギリスでこれに相当する短期金利も,2009年からゼロ近傍にある.ユーロ圏では,2014年からだ [1].べつに意図してこういう状況になっているわけではない.そして,アメリカでは短期金利がゼロより上にあるため,アメリカ中心のマクロ経済学業界ではしかるべき関心がこの状況に払われていない.
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タイラー・コーエン「IQ経済学 > 行動経済学」(2019年1月31日)

[Tyler Cowen, “IQ economics > behavioral economics,” Marginal Revolution, January 31, 2019]

本稿では,行政データと調査にもとづくデータを用いて,認知能力 (IQ),経済予想の形成,代表的な男性人口の選択の関係を研究する.中央値を上回る IQ の男性(高 IQ 男性)は,そうでない男性にくらべて,インフレ予想の誤りが 50% 低い.高 IQ 男性ではインフレ予想とインフレ認知が時間経過とともに正の相関を示す一方で,そうでない男性ではこの相関が見られない.また,高 IQ 男性は数字を大まかに丸めたりありそうもない数字を予想する場合がより少なかった.選択について見ると,高 IQ 男性だけは,消費者オイラー方程式が推奨するようにインフレ率が高くなると予想したときにだけ消費性向を高める.教育水準・所得・社会経済的な地位・雇用状況は,重要ではあるものの,IQ によって予想や選択が異なる傾向を説明しない.我々の研究結果からは,家計消費・貯蓄・投資に関して〔IQのちがいに応じて〕信念が異なるモデルにさまざまな含意が導かれる.

この引用は,Francesco D’Acunto, Daniel Hoang, Maritta Paloviita, & Michael Weber が新しく出した NBER ワーキングペーパーから.

タイラー・コーエン「奴隷制と《啓蒙》に関するスティーブン・ピンカーの考え」(2019年1月26日)

[Tyler Cowen, “Steven Pinker on slavery and the Enlightenment,” Marginal Revolution, January 26, 2019]

ピンカーがいろんな批判に Quillette で反論している.そのなかから,彼の反論をひとつ引こう:
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サイモン・レン=ルイス「所得最上位層に高い税率をかけるべき理由は金銭的でもあり政治的でもある」(2019年1月24日)

[Simon Wren-Lewis, “The key arguments for high top rates of income tax are political as well as pecuniary,” Mainly Macro, January 24, 2019]

「ネオリベラルなんて無意味な概念だ」という批判を聞いたら,相手にこう教えた方がよさそうだ――「アメリカやイギリスにかぎらず他の国でも,1980年ごろから所得税の最高税率はこんな具合になっているよ」(出典; Marcel Fratzscher のご教示に感謝)
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スコット・サムナー「人々はどこに移住してる? そのワケは?」(2018年12月21日)

[Scott Sumner, “Where are people moving? And why?” TheMoneyIllusion, December 21st, 2018]

Econlog の方に投稿したポストで,アメリカの人口増加が減速しているという話を書いた.2018年現在は 0.6% という伸び率になっている(1937年いらいもっとも鈍い伸びだ).『ウォールストリートジャーナル』の記事にも,アメリカの州別にみた人口増加に関する面白いデータが掲載されている:
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タイラー・コーエン「チェスでは人間-機械の協力の時代が終わってしまった?」(2018年12月7日)

[Tyler Cowen, “Is the age of man-machine cooperation over in chess?,” Marginal Revolution, December 7, 2018]

AlphaZero がめざましい戦績を見せているさらなるデータを考えると,そう考えるべきなんじゃないかと Charles Murray が Twitter でぼくにそう訊ねてくれた.いまのところ,答えはもちろん「イエス」のようだ:AlphaZero に好きにやらせて人間から手出しをさせないでおけばいい.工場ネタのジョークみたいなところが少しある:「あそこに犬がいるのは人間を機械から遠ざけておくためだよ.そんで,人間は犬を守ってるわけ.」(というか逆かな?)
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サイモン・レン=ルイス「専門家とエリート」(2018年12月2日)

[Simon Wren-Lewis, “Experts and Elites,” Mainly Macro, December 2, 2018]

まるで2016年をそっくり再演しているかのようだ.前回の事例が多少でも基準になるとすれば,EU離脱シナリオのもとでイギリスがいまよりどれほど貧しくなるかに関する多くの予測は,イギリス国民のおよそ半数によって無視または等閑視されるだろう.おそらく,いったいどんな事態が進行中なのかを我らがイギリスの国会議員たちが理解できるようになるまで,専門家たちによる発言は完全かつ総体として閉ざしてしまうよう訴えた方がいいのかもしれない.
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タイラー・コーエン「市場を嫌う大学人はなんでこんなに多いんだろう?」(2018年11月27日)

[Tyler Cowen, “Why do so many academics dislike the market?” Marginal Revolution, November 27, 2018]

どうやら結局ノージックは正しかったらしい.Raul Magni-Berton と Diego Rios の論文から抜粋:
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サイモン・レン=ルイス「メディアマクロなお健在:それが暗示する根深い問題」

[Simon Wren-Lewis, “Mediamacro is in rude health, and is also indicative of a deeper failure,” Mainly Macro, November 2, 2018]

今度出版された拙著 [AA] で大きく取り上げている問題に,メディアマクロがある.メディアマクロとは,あたかも政府が家計と同じであるかのように財政政策がメディアで扱われている有様のことだ.メディアでは,まるでケインズなんていなかったかのようだ――学術分野としてのマクロ経済学のはじまりとなった『一般理論』が存在しなかったかのような状況になっている.大学1年生向けの経済学教科書では,かならず「政府は家計とはちがう」と解説しているにもかかわらずだ.
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